「詭弁・ご飯論法」は、アベ政治の本質が生み出したもの
- 2018年 11月 30日
- 評論・紹介・意見
- 弁護士澤藤統一郎
行く道に大道と詭道とがあり、弁ずるに正論と詭弁とがある。大道を行く者は正論を称え、詭道を行く者は詭弁を弄す。
大道は道義と道理に通じる。これを行く者は真理と真実に導かれ、その発する言葉にはウソとごまかしはない。道義と道理を恐れるがゆえに大道を踏みはずす者は、私利と私欲に通じる詭道によろめく。そこに真理と真実はなく、まことの言葉も失せている。代わって響き合っているものが、真理と真実をおそれて、これを覆い隠さんとする詭弁であり、「ウソとごまかし」にほかならない。
アベ政治とは、憲政が大道を踏みはずして詭道をよろめく姿である。道義と道理を欠くゆえに詭弁を弄すること甚だしく、その詭弁は、いま「ご飯論法」と名付けられている。この詭弁を弄びつつ行くアベの詭道は亡びに至る道である。
上西充子教授の名とともに、一躍有名になった「アベ政権のご飯論法」。次のように紹介されている。
Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので…」
Q「では、何か食べたんですか?」
A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂(と)る、というのは健康のために大切であります」
Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」
A「ですから…」
Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか」
A「そのように一つ一つのお尋ねにこたえていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので」
昨日(11月28日)の毎日新聞夕刊「特集ワイド」は、「安倍政権の言い換え体質」を取りあげている。
安倍晋三内閣では、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制を「平和安全法制」、南スーダンでの戦闘を「武力衝突」、消費増税の延期を「新しい判断」と言い換えた。今も、ある。言い換えを見逃していいのか。
FTA ⇒ 「TGA」
移民 ⇒ 「外国人材」
徴用工 ⇒ 「労働者」
ヘリ墜落 ⇒ 「不時着」
共謀罪 ⇒ 「テロ等準備罪」
公約違反 ⇒ 「新しい判断」
カジノ ⇒ 「統合型リゾート」
武器輸出 ⇒ 「防衛装備移転」
安保法制 ⇒ 「平和安全法制」
情報隠し ⇒ 「特定秘密保護」
なるほど、こう並べてみるとアベ政権のごまかし体質が明確に浮かびあがる。真っ当に国民に説明できないからこうなる。国民をごまかして票を掠めとろうというさもしい根性が、このような詭弁を生み出すのだ。この特集記事では上西教授も取材対象となっている。同教授の口から、アベ政権の「厚顔無恥話法」が話題とされている。これも実に適切なネーミングではないか。
「言い換え」とは、「ごまかし」のことである。全滅を「玉砕」と言い、退却を「転進」と言い換えた大本営発表いらいの我が日本の伝統芸。これこそ、アベ政権が取り戻そうという麗しい日本のかつての得意技。
2018ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート30語が11月7日に発表されている。その中に、「ご飯論法」もはいっている。選者にアベ政権の忖度なければ、「ご飯論法」は有力な受賞候補ではないか。選の発表は12月3日(月)。たまたま、「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証」院内集会の日。もしかしたら、講演予定の上西教授から、朗報が聞けるかも知れない。
(2018年11月29日)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2018.11.29より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=11606
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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