2020年ちきゅう座からの年頭のご挨拶
- 2020年 1月 1日
- ちきゅう座からのお知らせ
- ちきゅう座運営委員会
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は大変お世話になりました、衷心よりお礼申し述べさせていただくとともに、本年も引き続き、ちきゅう座へのご支援、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
さて、旧年を振り返ってみますと、最初に思い当たるのは、米・中両大国を中心に、世界の情勢が激しく揺れ動いている、というよりも明らかに振り回されている感があるということです。従来の東西両陣営という対立図式に代わって、今やはっきりと米・中関係の動向如何によって世界の趨勢が決められるといっても過言ではないようです。両大国を軸に世界の再編成が図られていて、経済対立はもとより、いかなる地域の紛争にまでも、両国の影が見え隠れしているようです。
そこには中国の台頭ということがあるのは勿論ですが、今まで一強を誇ってきたアメリカの力の相対的な衰退があるのではないかと思われます。そしてアメリカの焦りとパラレルに、かの戦争大国のなりふり構わない軍事的な威圧・恫喝の度合いの高まりを感じます。
世界中に新たな火種を作りだすこと(対北朝鮮のみならず、今度は対イランとの緊張関係が勃発)以外に円滑な国家運営が出来ない「戦争国家」の先行きには、どう考えてみても明るい未来があるとは思えません。
「アメリカファースト」で、従来の強国路線を突っ走るか、あるいは思い切ったかじ取りをして、いわば「社会民主主義的」な方向へと転換するのか、この事が次回のアメリカの選挙戦で問われていると思います。
民主党の候補として、エリザベス・ウォーレン上院議員、バーニー・サンダース上院議員といった「社民論者」に加えて、アジア系アメリカ人(台湾系アメリカ人二世)のアンドリュー・ヤン候補が「毎月1,000ドルのベーシック・インカムを支払う“自由の配当(freedom dividend)”」を公約に掲げて登場してきたことは、新たなアメリカの選択を迫るものではないでしょうか。
ここでは世界中にまき散らされている不安材料、紛争の種子にいちいち触れることは省かせていただきますが、わが国の現状に対してのみ簡単に振り返って考えてみたいと思います。
ここ数年で顕著になった「アベ政権」の特徴は、国家財産の私物化とネポティズム(身内びいきの馴れ合い主義nepotism)であるといっても良いと考えます。「モリ・カケ」問題、更には「観桜会」招待客問題、など次々に暴かれるアベ一族の専横な振舞いは、この政権の末路を物語るとともに、こういう政権を成立させている体制そのものの近未来の姿をも彷彿とさせるものでしょう。「奢れるもの久しからず」という名言は、洋の東西や時間軸にかかわらず妥当しているのではないでしょうか。
1789年のフランス革命も、当時のルイ16世の乱脈がその発端をなしました、1917年のロシア革命はロマノフ王朝の専制政治が引き起こしたものですし、1991年のソ連崩壊は、1930年代後半から1950年代にかけてのスターリン独裁体制の当然の結果であったと考えられます。
「アベ政権」の今日の状態は、明らかに政権の腐敗であり、これ以上ない末期症状です。
そして、それを支える官僚層の堕落もひどいものです。彼らは、「ミーイズム」(自己中心主義)に取りつかれ、自己保身、小役人根性、追従(忖度)、俗物、無責任、体制順応に終始しているようです。「公文書の改竄」はその最たるものです。元文科省次官の前川喜平さんはこの事を最も適切に指摘しているように思えます。
ささやかな抵抗勢力としてのちきゅう座の任務と課題
先日の「NHKスペシャル」≪永田町・権力の興亡 最長権力の内幕に迫る 安保法・解散・改ざん 危機の舞台裏で何が?≫は、そのタイトルからして大いに期待させるもののようでした。
しかし、全く予期に反して、従来通りの「アベ政権」一派の口先だけの反省の弁の羅列でしかありませんでした。
今や、ごく一部の良識あるジャーナリストを除いては、自己保身の「ミーイズム」に完全にからめ捕られているという以外にないように思えます。これは報道の死を意味します。
長期の一強を誇る「アベ政権」と言われていますが、選挙結果から推し量ればその「絶対得票率」は全有権者の2割以下というデータが出ています。つまり、安倍長期政権を支えているのは、「小選挙区制」という不合理極まりない選挙制度にあるようです。
そこで、われわれの役割について改めて考えてみたいと思います。
ここ数年、投稿原稿数はある程度固まって来ているように思います。また、原稿の内容もなかなか興味深い骨太なものが増えているかと思います。
ただ、原稿区分上に少なからずばらつきがあるのと、「催し物」などの投稿をもっと増やす努力が必要かと思います。そのためには、他のメディアとも交流や読者の更なるご協力が大切だと考えています。
時事問題をタイムラグなしに追い駆けるのは、われわれミニコミには不得手です。しかし、そういう記事内容を克明に分析し、相互の関連を明らかにしながら問題提起することはできるだろうと思います。専門家への一層のアプローチ、研究会活動の積極的な活用などが求められます。
いずれにせよ、現体制への批判的立場の橋頭保を頑強に守り抜いてゆくことこそが今年もわれわれの任務であろうと考えています。
皆様方の更なるお力添え、ご支援を期待して簡単なご挨拶に代えさせて頂きたいと存じます。
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