DHCスラップ反撃訴訟最終(控訴審判決)法廷 ー 3月18日(水)13時15分。東京高裁511号 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第173弾
- 2020年 3月 13日
- 評論・紹介・意見
- DHCスラップ訴訟澤藤統一郎
来週の水曜日・3月18日13時15分。東京高裁511号法廷で、DHCスラップ反撃訴訟控訴審判決言い渡しがある。おそらくはこれが、DHC・吉田嘉明と私との一連の訴訟において開かれる最後の法廷となる。
事件が起きたのが、2014年の春。あれから6年にもなる。あのとき私は怒り、その怒りを持続してきた。不当・不正義・愚劣・愚昧・傲岸に対する憤りである。これまで、怒りのエネルギーで訴訟を継続してきた。
まずはDHC・吉田嘉明の起こした典型的なスラップ訴訟を被告として受けて立った。圧倒的に優秀な弁護団の力量で一審を勝訴し、2審も勝訴した。敗訴のDHC・吉田嘉明は、通常はあり得ない最高裁への上告受理申立までしたが不受理となって、私の勝訴が確定した。
ついで、攻守ところを替えた「反撃訴訟」を準備中に、DHC・吉田嘉明から、「損害賠償債務不存在確認の請求」が提起された。これに私が反訴を提起して、一審の審理が展開され、裁判所は澤藤側からの申請にもとづく吉田嘉明の尋問を決定して呼び出した。彼にとっては、堂々と自説を述べるチャンスであったが、出廷を拒否した。私は、心底がっかりした。私が怒りを燃やした相手が怒りをぶつけるに値する人物ではなく、なんともプライドを欠いた、口ほどにもない怯懦な小物に過ぎないありさまをさらけ出したからだ。
こうして、昨年(2019年)10月4日、反訴(反撃訴訟)について判決言い渡しがあり、DHC・吉田嘉明のスラップの違法を認めも110万円の支払いを命じた。4度目のDHC・吉田嘉明の敗訴である。
この判決を不服として、DHC・吉田嘉明が控訴を提起し、澤藤が附帯控訴した。本年(2020年)1月27日控訴審は、第1回口頭弁論期日を開いて、同日結審した。
以上の経過で、3月18日(水)の控訴審判決言い渡し期日を迎えることになる。判決が、DHC・吉田嘉明の控訴を棄却することは確実である。私からの附帯控訴に対する一審の110万円を上回る金額の損害賠償命令が期待される。
この判決は、DHCスラップ訴訟一審判決・控訴審判決・上告受理申立不受理決定、DHCスラップ反撃訴訟一審判決に続く、5回目の裁判となる。このあとに、最高裁への上訴がないではないが、原則として最高裁の審理では法廷は開かれない。18日が最後の法廷となる。
目には見えないコロナウィルスが心配の折柄ですが、できたら、判決法廷の傍聴に足をお運でください。閉廷後、懇談いたしましょう。
下記は、控訴審における私の陳述書(抜粋)の再掲である。
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2020年1月27日
意見陳述要旨
東京高裁第5民事部御中
2014年5月、私は突然に不法行為損害賠償訴訟の被告とされました。吉田嘉明という人物が、私のブログでの批判を快く思わぬことからの提訴で、2000万円の慰謝料を支払えというものです。
裁判官の皆様には、違法とされた私の3本のブログの全文に改めて目を通していただきたいのです。万が一にも、私のこのような言論が違法とされるようなことがあれば、誇張ではなく民主主義は死滅してしまいます。また、このような言論を民事訴訟を道具として攻撃することが許されてはならないことをご確認いただきたいのです。
前件提訴(DHCスラップ訴訟)が、私を恫喝して批判の言論を封殺しようという典型的なスラップ訴訟であることは明らかというべきです。私は、大いに怒りました。こんな訴訟を起こす人物にも、そしてこんな訴訟提起の代理人となる弁護士にも、です。
そして、怒るだけでなく徹底して闘うことを決意しました。これは私一人の問題ではない。けっして、この恫喝に屈してはならない。この提訴が違法であることを法廷で明らかにしなければならない。DHC・吉田嘉明のスラップ提訴の試みを失敗させ、反省させなければならない。まさしく、表現の自由を守るために。
私は、自分のブログに、「DHCスラップ訴訟を許さない」というシリーズを猛然と書き始めました。そうしたら、代理人弁護士からの警告に続いて、DHC・吉田嘉明は請求を拡張しました。2000万円の請求を6000万円にです。DHC・吉田嘉明も代理人弁護士も、言論封殺の目的を自白しているに等しいと指摘せざるを得ません。
当然のことながら、前件訴訟は請求棄却の判決となり確定しました。そして、前件訴訟の提訴を違法とする本件訴訟の提起となり、その一部認容の原判決を得るに至っています。原判決の責任論に異存はありません。吉田嘉明のスラップ提訴を明確に違法と断じた判断には、半分までは提訴の目的を果たし得たとの感慨があります。
しかし、問題は損害論です。経済的強者によるスラップを違法とする判決の認容額がわずか110万円では、ペナルティとしてあまりにも低廉で、十分な違法行為の抑止効果を期待し得ません。とりわけ、応訴費用をまったく認めていない点は、原判決の誤りとして是正されなければなりません。これには、最近の「N国」という政党関係者のスラップに対する判決例が参考になります。N国側がNHKを被告として提起した《10万円請求のスラップ訴訟》に対して、東京地裁は応訴のための弁護士費用54万円満額を損害として認容しているのです。こうした判断あってこそ、DHC・吉田嘉明らスラップ常習者に対する適切なペナルティとなり、スラップ防止の実効性のある判決となりえます。
スラップの本質は「民事訴訟という《市民の公器》を、《強者の凶器》として悪用する」ことにあります。司法が毅然たる態度で、公共的言論をして「不当な裁判から免れる権利」を保障しなければなりません。
まさしく、本件において司法の役割が問われています。控訴審判決が、スラップの害悪を防止し、表現の自由を保障するものとなるよう期待してやみません。
(2020年3月13日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2020.3.12より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=14472
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion9538:200313〕
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