アフガン戦争報道で、女性を忘れないBBC(上) タリバンと交渉した女性ファウジア・コーフィ
- 2020年 3月 16日
- 評論・紹介・意見
- アフガニスタンタリバン坂井定雄
2000年以来、反政府勢力タリバンに対してアフガニスタン政府軍、米軍主力の多国籍軍が戦い続けてきたアフガン戦争の報道で、BBC(英公共放送)はアフガン女性の現状と地位、主張をたびたび紹介してきた。今回のトランプ政権とタリバンの和平交渉では、議題にもならなかったようだが、BBCは「アフガン和平交渉:タリバンと交渉する女性」と題して、女性リーダーの一人、ファウジア・コーフィの活動を詳しく報道した。公式なアフガン政府代表団ではなく、非政府有力者たちの全アフガン代表団が、モスクワでタリバンと会談を重ねていたのだった。
米国政府代表団は2月末、タリバンとの和平協定調印。1週間後には米軍撤退を開始したが、残された問題は山積している。その中でも女性の権利と地位を高めることは、残された重要課題の一つだ。
ここでは、BBC(2月27日)のSwaminathan Natarajan署名の報道を紹介しよう。
―医者になりたいというファウジア・コーフィの子供時代からの夢は、1990年代に戦闘的なタリバンがアフガニスタンを支配した時に砕かれた。女性を公職から追い出した、このグループは、彼女の夫を投獄し、のちに彼女が政治家になった時には、彼女を殺そうとした。
コーフィは、同国でかっては支配者だったことがあるこの強硬なイスラム主義者たちとの、何ラウンドにも及ぶ会談を重ねた、全アフガン代表団の中の数人の女性の一人だった。
モスクワで行われた昨年の会談では、彼女と、もう一人の女性人権活動家のライラ・ジャファンは、70人の男性たちとホテルの部屋に入った。
部屋の一方の側にはタリバン、その向かい側には全アフガン代表団の男性の政治家や人権活動家たちと彼女たち2人が座ったー
「わたしは彼らに、アフガニスタンはいま、さまざまな見解をもつ人たちで代表され、一つのイデオロギーで縛られてはいないと、わたしは話しました。
タリバン代表団の一部の代表は、わたしを見つめました。数人はノートをとっていました。別の数人はわたしの全身に目を走らせました。
長時間に及ぶ会談の中で、タリバン側はアフガン政府との直接交渉を拒否し、“傀儡政権”は承認しないと言いました。
しかし、米国とロシアの持続的な圧力によって、妥協が成立、タリバンは非公式なアフガン代表団と会談することに合意しました」とコーフィは、振り返った。
コーフィは、3回、この非公式代表団の一員となった。彼女は、和平交渉をはじめ交渉チームには、もっと女性の団員がいるべきだと主張した。
「我々の交渉代表には女性が含まれているのだから、あなたたちも女性を含むべきだ」と彼女が主張すると、タリバン側はたちまち笑い出しました」と彼女は語った。(続く)
アフガン和平のため、タリバンと交渉を続けてきた非政府の全アフガン代表団のリーダーの一人、ファウジア・コーフィさん。アフガン議会の数少ない女性議員の一人。英公共放送BBC電子版(2020.2.27)の報道写真。
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〔opinion9544:200316〕
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