日米関係で鳩山への言及なし─鳩山辞任、米政府公式反応
- 2010年 6月 3日
- 時代をみる
- 安保日米関係沖縄鈴木顕介
鳩山首相の辞任表明を受けたアメリカ政府当局者の公式反応は、時差の関係から、現地時間が6月1日夜であったため、日本時間3日(現地時間2日)になってから出された。ホワイトハウスの報道官声明と大統領専用機内でのやりとり、国務省の定例記者会見での質疑で辞任が取り上げられた。アメリカ政府の考え方をうかがう参考にと、その全文を次に紹介する。
あえて反応についてのコメントを避けるが、政府反応で鳩山首相の日米関係での功績ついて一切の言及がない点を唯一指摘しておきたい。
<ホワイトハウス報道官声明>
米国は日本の政治的な手続きと鳩山首相の辞任の決定を尊重する。次の日本の首相の選択は日本国民と政治的手続きの問題である。
日米両国関係は共通の利益と価値に極めて強く、また深く根付いている。われわれの同盟は過去半世紀にわたり、その時々の日本の首相とアメリカの大統領の下で花開いてきたし、これからも強化されて行くであろう。
米国は両国が直面する広範な問題に、これからも日本政府および次期首相と今後も緊密に取り組んで行く。
<ホワイトハウス ビル・バートン副報道官>
2日ビッツバーグへ向かう大統領専用機内での記者とのやりとり。
問い:日本の首相辞任についての反応は?このことが地域の安定にとって意味するものは?
バートン:日本は世界で一番の友人の一つだ。同盟は日本の指導者の交代の結果、変わるものではない。われわれはこれからの政治的手順を注目している。誰でも同じように次の首相が誰になるかを待っている
<国務省クローリー報道官>
2日の定例記者会見での発言
問い:鳩山首相は普天間問題での昨日の辞任で、この問題の取り組みでの不手際を謝罪した。両国政府は先週合意したばかり。とすると、米国はこの政治状況にいささか関わっている。この政治変化をどう見るか。どんな影響があるか。
クローリー:米国は日本の政治的手続きと鳩山首相の決定を尊重する。米国は日本政府および次期首相と広範な問題について密接に取り組んで行く。今日官房長官が普天間合意は政府対政府の合意なので尊重すると言明した。米国はこの期待を分かつものである。
問い:最近の世論調査によると、沖縄住民の80%がキャンプ・シュワブへの移転に反対している。日本の首相はこのために辞任した。これは日本国民が支持していない。それでも、政治的に保つといえるのか。
クローリー:米国は米日安全保障同盟を重んじている。日本を含むこの地域での米軍の存在は両国にとって、極めて重要だし、価値あるものと思っている。この地域の(米軍)の存在と日米同盟の重要性は、昨今の北東アジアでの緊張によって明らかである。であるから、われわれは同盟を維持する適切な決断に到達した。そう信じている。このことが日本国民に重荷をかけるのは分かっている。両国の合意の一部として、このことが持つ、特に沖縄の人々への衝撃をうまく処理するのを助ける全てのことをすると約束した。この事は米国が今後も日本政府と緊密な取り組みを続けることを意味する。しかし、すでに示した通り米国はこの移転計画で決断に達し、日本とその実現に取り組むものと考える。
問い:(聞き取れない)この合意に関連して首相が辞任したことを考えれば、これは同盟に打撃を与えると思わないか、この合意が?
クローリー:このことが辞任に重要と彼が感じた、という状況についての説明は首相に任せる。われわれの同盟は単に普天間がどうなるか、それよりもずっと大きいものだ。しかし、これは重要な問題だ。だが、これは米国と日本が分かつ幅広い問題と、共通の利害のほんの─いくつもある中の―一つだ。米国は日本政府とこの計画について引き続き取り組んで行く。
問い:あなたが言ったように、普天間について合意が出来た。しかし、日本で選挙が7月に予定されている。この問題が選挙運動で再び取り上げられると思わないか。
クローリー:それが、米国が何か月も(日本)政府と密接に作業してきた理由の一つだ。完全な見直しであった。みんなが詳細の全てにわたって振り戻った。日本政府は引き継いだ計画の修正である、新しい計画が前進する最善の方途である、と再確認するに至ったと思う。何点かの技術的な細部の作業はあるが、これは前進する最善の方途であり、米国は日本政府とこの取り組みを続けて行く。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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