ポテトサラダ….云々
- 2020年 8月 1日
- 評論・紹介・意見
- グローガー理恵
- フライパンにオリーブオイルを入れ、オイルがあたたまったら玉ねぎのみじん切りを入れて炒める。玉ねぎが透明になったら酢とブイヨンを加え塩コショウし5分間煮る。
- ジャガイモはゆでたらザルにあげて水気をきる。ポテトはボールにいれてまだ温かいうちにブイヨン入りドレッシングをかけて、ポテトがくずれないように気をつけてドレッシングを混ぜ合わせる。ドレッシングがポテトに吸収されるように、そのままそっとしておく。
- ポテトにドレッシングがしみこんだら、細かく刻んだパセリとチャイブをふりかける。好みによって、オリーブオイルをサラダにふりかける。
- 出来上がり!
ちきゅう座に掲載された、村上良太氏の「話題になっているポテトサラダを作ってみた」を読んで、ノスタルジックな想いに駆られた。
子どもの頃、食料品店で買ってきて母と一緒に食べたポテトサラダ。
これは、今は「過去の夢」となってしまった何年も前のお話である:
日本に里帰りしていた時のこと。私は、母と一緒にお茶を飲みながら楽しく雑談をしていた。私にとっては、たまにしか会えない母との大事なひと時であった。ふと、母が「ポテトサラダが食べたいわね」と、呟いたのだった。私は、「今度、日本に来たときに作ってあげるね」と軽く応えて「ポテトサラダ」の話は、その場で終わったのだが、それ以来、私の心の中には 、かなり漠然としたものだったのかもしれないが「母のためにポテトサラダを作ってあげたい」という気持ちが常にあったように思われる。しかし、滞在期間が短かったこともあって、帰郷する度に、あれこれとほかの用事に追われてしまい、ついに、私は一度も母のためにポテトサラダを作ることなく終わってしまった。今は、なぜ、母と共にいられる貴重な時間を過ごしている間に、一度なりとも母の好きなポテトサラダを作ろうとしなかったのか、きっと母は喜んでくれただろうに、と悔いている自分である。
ドイツのポテトサラダ
センチメンタルな日本のポテトサラダのお話は、このくらいにして、ジャガイモ大国・ドイツのポテトサラダについて簡単にご紹介させていただくことにしよう。
ドイツでは、魚のフライやフランクフルター・ソーセージなどと一緒にポテトサラダを食べる習慣がある。今はコロナ危機のために、ホームパーティーをするような人は、ほとんどいなくなってしまったが、バーベキュー・パーティーでは必ずと言ってよいほど、テーブルの上に自家製のポテトサラダが置かれてある。ポテトサラダに入っている具や味が、それを作るひとによって違ってくるので面白い。
日本人も同様だと思うが、ドイツで「ポテトサラダはお好き?」と訊かれて「ナイン!嫌いだよ!」と言うドイツ人は、まずいない。皆さん、ポテトサラダがお好きなようだ。
典型的なドイツ庶民の食べ物:ポテトサラダとフランクフルター・ソーセージ CC BY 2.0
写真。典型的なドイツのポテトサラダ 左:マヨネーズで和えたポテトサラダ(ディルが入っている)
右:オイルと酢で和えたサラダ (ソース:Wikipedia CC BY-SA 2.0 CC BY-SA 2.5)
ドイツ風のポテトサラダを作るコツは、ポテトがゆで上がったら、すぐにドレッシングやマヨネーズで和えることである。さらに、和える時に、ポテトをゆでた汁を少しだけ加えると サラダがクリーミーになる。ゆで汁は、ポテトサラダがスムーズでクリーミーになるまで、スープスプーンで一杯、2杯と徐々に加えていく。私の場合は、ポテトをブイヨンでゆでて、ゆで汁の代わりに、そのブイヨン汁を使う。そうすると、ブイヨンの味がドレッシングやマヨネーズにブレンドされてもっと美味しくなると思う。
北ドイツでは一般に、具として細かくスライスしたキュウリのピクルスをサラダに入れる。さらに、お好みによっては、みじん切りした玉ねぎを入れたり、中には小さくスライスしたリンゴを入れる人もいる。最後に、これもオプショナルで、細かく刻んだチャイブやパセリまたはディルをサラダにふりかける。こうして出来上がったポテトサラダは室温で徐々に冷まして味付けがサラダに十分にしみこんでいくようにする(2時間から3時間ぐらい)。
マヨネーズ以外のドレッシングとしては、ドイツ人はオイルと酢(プラス塩コショウ)のドレッシングを使う。これは典型的ドイツではないかもしれないが、おすすめしたいのは、エクストラヴァージン・オリーブオイル、白ワインビネガー(米酢も最高!)、マスタード(できたらフランスのディジョン・マスタード)、塩こしょうをミックスした「フレンチ・ドレッシング」である。
私は、かつてマルタに住んでいたことがあるのだが、そこで、シュヴァーベン出身の 料理が得意なドイツ女性と知り合った。その彼女がポテトサラダについて教えてくれたことが「キュウリのピクルスの代わりにケイパーを使うと美味しいわよ」ということだった。確かに彼女の仰るとおり、ケイパー入りのポテトサラダは、マヨネーズで和えてもドレッシングで和えても、ケイパー独特の酸味が加わって中々いける。
イタリア風ポテトサラダ
かつてイギリスに住んでいた時に休暇でドイツ南部のバイエルン州にある古都ローテンブルク・オプ・デア・タウバーを訪れた。その時に街の小さな本屋で手に入れたのが、イタリアのサラダのレシピが収集された「サラダ(Salate Insalate)」というレシピ・ブックである。その中にあるイタリアン・ポテトサラダのレシピをご紹介させていただく。ちなみに私の連れ合いは、ドイツのポテトサラダよりもイタリアン・ポテトサラダの方を好んでいる。
Insalata di patate – Kartoffelsalat −ポテトサラダ
自作のイタリアン・ポテトサラダ(ふつうのたまねぎの代わりに赤たまねぎを使った)
材料: ❶ジャガイモ – 500g ❷たまねぎ – 小さいのを1個 ❸エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル – 適量 ❹白ワインビネガー(米酢) – スープスプーン2杯 ❺ 野菜ブイヨン – コーヒーカップに1杯 ❻ 塩・こしょう ❼ パセリ ❽チャイブ
作り方:1. ジャガイモの皮を剥いて1cmぐらいの厚さにスライスする。スライスしたポテトを塩水でゆでる。その間、玉ねぎをみじん切りしておく。
Bon Appetit ! 😌 ! いただきま~す!
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9988:200801〕
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