SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】385 西サハラ難民も警告するモーリシャス重油流出汚染
- 2020年 9月 4日
- 評論・紹介・意見
- サハラモーリシャス平田伊都子西サハラ重油流出
モーリシャスはアフリカ大陸沿岸のインド洋上にある島国です。 西サハラはアフリカ大陸の北西部にあり、大西洋に面しています。 ともにAU(アフリカ連合)の正式加盟国です。
モーリシャス沖で日本の貨物船<わかしお>が座礁し、大量の重油が流出しました!
遠く離れた西サハラ難民キャンプでも、環境汚染を危惧する声が大きく上がっています。
① モーリシャス沖で日本の貨物船<わかしお>座礁:
2020年7月25日夜、日本のバラ積み貨物船<わかしお>が、モーリシャス南東沖のラムサール条約指定地域で、サンゴ礁に乗り上げ座礁した。ラムサール条約とは湿地の生態系を守るための条約で、モーリシャス島は、様々な国際条約に守られた美しい観光地だ。
8月6日、座礁時の船体損傷で燃料タンクに亀裂が入り、約1,000トンの重油が流出した。同日、モーリシャスのジュグノート首相は、流出した重油がモーリシャスの生態系を破壊し、経済や食料安全保障や健康に深刻な影響を及ぼすことから、環境緊急事態宣言を発令した。世界のメデイアが重油流出による環境汚染を写真入りで、取り上げ始めた。
因みに、<わかしお>は、]長鋪汽船の子会社である< OKIYO MARITIME CORP>. が所有し、商船三井が運航を仕切っていた、パナマ船籍のバラ積み貨物船だ。事故当時の乗組員20名は全員無事で、インド人の船長スニル・クマル・ナンデシュワル(58)とスリランカ人の副船長は、安全航海の義務を怠った理由で逮捕された。
8月9日、商船三井は記者会見で、「モーリシャス島の南方約32kmを通る予定だったが悪天候による強い風やうねりで北方へ押し流された可能性がある」と、発表したが、事故原因は調査中だ。
SPS(西サハラ難民通信)はモーリシャス島での
日本貨物船座礁による重油流出事件を組み写真で報道した
② 西サハラ難民キャンプのSPS(サハラ・プレス・サービス)が支援アピール:
8月13日、モーリシャス政府の環境緊急事態宣言を受けて、西サハラ難民キャンプの通信社は緊急情報を流した。西サハラ難民大統領ブラヒム・ガリはモーリシャス首相プラビント・ジュグノートに、「重油流出のおぞましいニュースを知り、あの美しい貴国が汚染され、豊かな生態系が破壊されるのではないかと、深く心を痛めています。我々にできることがあればお申しつけください。世界中の環境を守る仲間たちにも、モーリシャスの自然を守る連帯を呼びかけます。モーリシャスの兄弟姉妹に、一刻も早い重油の回収が行われますよう、重油で痛めつけられた生態系が速やかに回復しますよう、お祈り申し上げます。そして、重油と戦うモーリシャス政府とNGOの同志たちに、心から敬意を表します」と、書簡を送った。
SPS(サハラ・プレス・サービス)は、「座礁したパナマ船籍の日本貨物船から油が流出しているのを受けて、モーリシャス政府は環境緊急事態宣言を発令した。貨物船は重油とディーゼル燃料を積んでいた。7月25日にポワント・デス二―近海で、サンゴ礁に乗り上げ座礁した時、約1,000トンの燃料が流出し、モーリシャス当局やボランティアの人々が油の除去に取り組んだ。船体が真っ二つに割れた今、さらに4,000トン以上の燃料が、洋上に流出するという危機にさらされている」と、写真を付けて報道した。
8月17日、モザンビークのマプトで、第40回SADC(南部アフリカ開発調整会議)のサミットが開かれた。フィリペ・ニュウシ・モザンビーク大統領は開会式で、SADC(南部アフリカ開発調整会議)の綱領を尊重しアフリカ諸国の民族自決権と脱植民地化運動を支援し続けることを明言した。SADCにはモーリシャスを始め、タンザニア,ザンビア,ボツワナ,モザンビーク,アンゴラ,ジンバブエ,レソト,スワジランド,マラウイ,ナミビア,南アフリカ,コンゴ民主共和国,マダガスカル,セーシェル,コモロなど、15の南部アフリカ諸国が加盟している。SADCは西サハラ難民政府SADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)を正式国家と認め、その完全独立を支援している。
③ 重油流出被害と賠償の検証は始まったばかり!;
8月26日、モーリシャス政府は、「南東部の海岸にイルカ18頭が打ち上げられ、その後、全頭が死んだ」と、発表した。死んだイルカは、合計で39頭に上ったそうだ。綺麗な海で楽しく泳いでいたイルカたち、、ご冥福をお祈りします。
8月29日、モーリシャスの首都ポートルイスで、日本の貨物船の重油流出責任を求めるデモが行われた。
8月31日、モーリシャス沿岸で、座礁した日本の貨物船「わかしお」から流出した重油の回収作業に当たっていたタグボートが荒天で転覆し、作業員3人が死亡、モスワデク・ビーニック船長が行方不明になった。乗組員は8人で4人は救助された。モーリシャスのプラビンド・ジュグノート首相は、首都ポートルイス病院で救出された乗組員を見舞った
そして、モーリシャス政府は国民に、重油流出の調査委員会の設置を約束した。
しかし、現地の報道によると、多くのモーリシャス国民は、政府の重油流出対策が不十分だったと非難しているそうだ。また、政府が割れた船体の片方を意図的に沈める決断をしたことにも、抗議の声が上がっている。
9月3日、小泉進次郎環境大臣は、インド洋のモーリシャス沖で貨物船「わかしお」が座礁し大量の重油が流出した事故に関して、日本政府としてさらなる支援策を検討していると発表しました。 さらなる支援策って、何なんですか?
9月3日夜の、日本主催の環境対策国際会議に、グテーレス国連事務総長がビデオメッセージを寄せました。 温室効果ガス削減、環境汚染問題に続いて、<重油流出海洋汚染問題>が、ほどなく事務総長自身の口をついて出てくるのでしょうね、、
重油流出保障問題は始まったばかりです。
――――――――――――――――――――――――
*難民アスリート・サラーの最新ドキュメンタリーがYoutubeにアップしました。
https://youtu.be/jz7lFr2c_Jk スペイン語ですが、西サハラ難民キャンプが見られます。
*占領地からの脱出―「アリ 西サハラの難民と被占領民の物語」只今発売中です。
著者:平田伊都子、写真:川名生十、画像提供:李憲彦、川上リュウ、SPS、
造本:A5判横組みソフトカバー、4頁のカラー口絵、本文144頁
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、TEL:03-3814-3861
2020年2月3日 初版第一刷発行 定価 税抜き2,000円
*1月22日、「ニューズ・オプエド」で#1323<アフリカ最後の植民地>を放映しました。
YouTube オプエド平田伊都子 URL https://www.youtube.com/watch?v=citQy4EpU-I
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)をご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2020年9月4日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10084:200904〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。