自民党衆議院議員の杉田水脈さん。あなたは、ご自分に議員の資格があるとお考えでしょうか。
- 2020年 9月 27日
- 評論・紹介・意見
- 澤藤統一郎
(2020年9月26日)
自民党衆議院議員の杉田水脈さん。本日(9月26日)の各紙朝刊に、あなたの言動についての記事が掲載されています。
お読みになっていますか。自分のことについて、このような記事にされていることに、心穏やかでいられますか。それとも、もう慣れてしまっているのでしょうか。メディアから、国会議員としての資質に欠けているという指摘を受けているとの自覚はありますか。この件について、弁明の記者会見をされる予定はありませんか。記事を書いた記者や、記者に情報を提供したという自民党議員と対決する覚悟はおありでしょうか。
これまでも、あなたの言動についての報道は、芳しいものとてありませんでした。しかし、今回の報道の内容は、あなたの議員としての資質に決定的に関わるものとお考えではありませんか。
冷静に事実を報道している代表的な記事として、共同通信配信のものを引用します。
杉田議員、女性はいくらでもうそ 自民党の合同会議で蔑視発言
自民党の杉田水脈衆院議員は25日の党の内閣第一部会などの合同会議で、女性への暴力や性犯罪に関し「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言した。被害者を蔑視する発言で批判が出るのは必至だ。
杉田氏は会議後、記者団に「そんなことは言っていない」と述べて発言を否定したが、会議に参加した複数の関係者から、杉田氏の発言が確認された。杉田氏は、会議で来年度予算の概算要求を受け、女性への性暴力に対する相談事業について、民間委託ではなく、警察が積極的に関与するよう主張。被害の虚偽申告があるように受け取れる発言をしたという。
あなたに対する辛口の論評を含む報道としては、日刊ゲンダイのこんな記事があります。
自民・杉田水脈また暴言 性暴力被害で「女性はウソつく」
やはり“付ける薬”はないようだ。自民党の杉田水脈衆院議員がまたやらかした。25日の党の内閣第一部会などの合同会議で、政府側から暴力や性犯罪の女性被害者の相談事業に関して説明を受けた際に、警察が積極的に関与するよう主張。その理由として「女性はいくらでもウソをつけますから」と、あたかも被害を虚偽申告する女性が多数いると受け取れる発言をした。
杉田氏は会議後、記者団に「そんなことは言っていない」と述べて発言を否定したが、複数の会議参加者が杉田氏の問題発言を確認した。発言に責任を持たず、往生際も悪すぎる。こんな国会議員を持つ国民は不幸だ。
また、「女性はウソつく」発言の背景事情について、こんな解説記事もあります。(リテラ)
このとんでもない暴言が飛び出したとされるのは、本日25日におこなわれた自民党の内閣第一部会などの合同会議。女性への性暴力や性犯罪について議論するなかで、杉田議員は、来年度予算の概算要求を受け、女性への性暴力に対する相談事業について、民間委託ではなく警察が積極的に関与するよう主張。そうした議論のなか、「女性はいくらでも嘘をつけますから」などと、女性被害者が虚偽申告するというような発言したのだという。
つまり、「女性はいくらでも性被害について嘘をつけますから」、民間委託の相談事業ではその嘘を見抜けず不適当なんです。犯罪捜査のプロである警察なら、女性の被害に関する嘘を見抜けるからより妥当なのです、という文脈で、あなたの発言がなされたというのです。頷ける話ではありませんか。
また、あなたの発言に、出席していた何人かの議員から失笑が漏れたという報道もあり、この失笑に違和感を感じたという議員の記者への発言もあったということです。あなたの発言についての報道は、極めて具体的で、リアリティに富み、しかも取材源は複数なのです。
しかし、この記事の報道内容が100%真実かどうか。それは、まだ私ども部外者には断定できません。報道でも、あなたは記者団に、「そんなことは言っていない」と発言を否定したそうですし、本日14時42分アップのブログでも、「一部報道における私の発言について」と題する記事を投稿して、「昨日、一部で私の発言についての報道がございましたので、ご説明いたします。まず、報道にありましたような女性を蔑視する趣旨の発言はしていないということを強く申し上げておきたいと存じます。」と書き込んでいます。
昨日の会議が終り、記者団に囲まれた時点では、あなたには二つの選択肢がありました。
(1) 発言を肯定する。その上で、自分の信念を披瀝する。あるいは、口を滑らせての本意ではない発言として、弁明する。
(2) 記者から指摘された発言を否定する。
(1) を選択すれば、あなたが嘘つきと言われることはなかったのです。しかし、あなたは、(2)を選択しました。今さら、(1)に戻る術はありません。
(2) の選択を前提とすると、以下のいずれかということになります。
(A)あなたは、真実のところ「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言したのに、「発言していない」とウソをついた。
(B)多くのメディアが、あなたが「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言してはいないのに、虚偽の報道をした。
今、あなたは、多くのメディアから、
(1) 「嘘つき政治家」だと非難されているのです。それだけではなく、
(2) 「女性でありながら、女性を差別視し女性の性被害救済を妨害しているとんでもない政治家」だと非難されているのです。
メディアの報道は「真実らしさ」が十分です。一方、あなたの「発言否定」は、あなたのこれまでの言動や、昨日の記者に対する不十分な対応によって、「嘘らしさ」に満ちています。
私は、ネットで見かけた、以下の意見に強く賛同します。
日本では、女性が性被害やセクハラ被害を訴えると、必ずと言っていいほど、SNSなどで「嘘だ」とか「ハニートラップだ」とか「売名行為」などと攻撃される。また、性暴力をめぐる刑法や裁判のあり方においても、男性優位目線がいまだ根強く、被害女性は性被害やセクハラ被害そのもの以上に、大きな二次被害を受けているというのが現状だ。そんななか、国会議員が「女性はいくらでも嘘をつけますから」などと発言することは、被害者攻撃をさらに助長するもので、断じて許されない暴言だ。(リテラ)
杉田水脈衆院議員が、女性への暴力や性犯罪被害に関し、「女性はいくらでもうそをつけますから」と公的な場でセカンドレイプ発言。複数の関係者が証言しているのに、記者団には「そんなことは言っていない」と発言を否定。いくらでもうそをつくのは女性じゃなくて自分だろう。(匿名)
国会議員として、絶対に言ってはならないことがある。人権の軽視や否定はその最たるもの。杉田水脈議員の場合、雑誌への寄稿で特定の人を「生産性がない」と書いた時点で国会議員失格だった。だがメディアは傍観した。今度こそ、この低劣な人権感覚の人物を、国会議員の地位から放逐しないといけない。(匿名)
杉田水脈さん。あなたは、今これだけの質の批判を受けているのです。しかも、その批判は今のところ十分な根拠をもつものと言わざるを得ません。あなたが、この批判を跳ね返す努力をして、それに成功しない限り、あなたは「嘘つき政治家」で、しかも「女性蔑視政治家」という汚名を甘受しなければなりません。ということは、国民の代表者である国会議員としての資格はなく、議員を辞任すべきということです。
あなたが今、直ちになすべき具体的行動は、自民党事務局に、昨日の会議の録音を公開させることです。それができなければ、記者会見を開いて、堂々と記者の追及を受けとめ、記者に情報を提供した同僚議員の「ウソ」を暴く工夫をすることです。それができなければ、あなたは「嘘つき政治家」で、しかも「女性蔑視政治家」なのですから、議員は務まりません。せめて、潔く議員の職を自ら辞することをお勧めします。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2020.9.26より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=15707
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion10142:200927〕
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