トランプ政権、最後の1年(27) 米大統領選、今日投票。トランプ敗北可能性大
- 2020年 11月 3日
- 評論・紹介・意見
- 坂井定雄米大統領選
今日3日は米大統領選。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン元副大統領は、前例のない激しい選挙戦を戦い、特にトランプ氏は憎しみと虚偽に満ちたバイデン攻撃を、支持者集会で必死に展開し続けてきた。しかし全米有権者の支持率は、7月以来大きな変動はなく、主要な世論調査を総合的にまとめてきた英BBCによると、10月末現在バイデン氏支持52%、トランプ氏支持43%前後。全米の有権者総数は2億5千万人弱、投票総数は1億5千万人程度と予想されてきたが、実際には予想を超える勢いで、郵便投票と理由のある人のための事前投票は、前回をはるかに超えて、十月末までに9千万人を超えた。
ただし、独特の大統領選挙制度があり、全米有権者の支持率通りの結果にはならない。選挙は2段階で、まず全米50州ごとに、大統領選で投票する選挙人(計538人)を選ぶ。選挙人の数は州ごとに定まっている。州ごとに多数を得た方が、州の選挙人を総取りする。その数は歴史的な経過の中で定められており、人口比に比例するものではない。州ごとの選挙人が多いのはカリフォルニアの55人、テキサス州も38人、ニューヨーク州29人、フロリダ州29人などで、北西部各州がこれに続く。
選挙人が多い州で、2016年の前回大統領選との変化がある州は、トランプ側が選挙人を取りそうなのはアイオワ、テキサスの2州だけ、民主党側が取りそうなのはアリゾナ、フロリダ、ジョージアなど10州。
このように、BBCが各社の世論調査をまとめた最新の結果によると、米大統領選はバイデン氏が勝利する予測となる。
トランプ氏は、情勢を逆転し、勝利するために必死だ
トランプ氏は、郵便投票は不正投票があると一貫して非難し、一部のトランプ派の首長は安全確実のためと主張して、行政下の投票所の9割も閉鎖した。その結果、遠距離の投票所まで行き、長蛇の列で何時間も待つことになる。トランプ陣営は事前投票を避け、できる限り11月3日の投票を指示している。それでも、前例のない事前投票数となった。
トランプ氏は開票作業が遅れることを利用し、途中で勝利宣言をする可能性もある。
金子敦郎さん(元共同通信ワシントン支局長)は10月30日「リベラル21」公開の「トランプ・クーデター成功も」で以下のように書いているー
一方的勝利宣言か
世界の民主主義にとって最も望ましいのは、➀ バイデン候補が順調に多数の支持を得て選挙戦を制し、さらに民主党が上院で多数を奪還、下院でも多数を維持することだ。
だが、➁ 最悪ケースのシナリオが米国に重苦しくのしかかっている。トランプ氏が得票数で多数を獲得していないと思われるまま、開票途中に一方的に「不正投票」があったと主張して勝利宣言し、開票を停止させる。選挙直前の駆け込み人事で保守の圧倒的優位を確立した最高裁がこれを容認して、トランプ「再選」が決定する。それまでには憲法が決めている政権交代の期日、1月20日ぎりぎりまで大混乱が続くかもしれない。(了)
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10254:201103〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。