焼却灰の安全処理は根拠なし.放射性物質の「64%」 環境に放出という事実
- 2011年 6月 16日
- 時代をみる
- 汚染汚泥焼却藏田計成
東京都は6月15日、汚泥を焼却処理している「南部スラッジセンター」(大田区)を報道陣に公開して、「汚泥を安全に処理している」ことを強調したという(毎日新聞6/17)。その根拠となる数値は、建物内では「2.5マイクロシ-ベルト~0.8マイクロシーベルト」を計測したのに対して、屋外では、「0.08マイクロシーベルト」であり「安全面には問題ない」というものであった。
この記事内容に関するかぎり、「安全」を結論づける理由は限りなくゼロにちかい。問題にするべき数値は、放射線源が発するベクレルの総量比較である。汚泥が「何ベクレル/kg、総量が何トン、総計何ベクレル」あり、それに比べて、焼却灰が、それぞれ「何ベクレル/kg、総量が何トン、総量が何ベクレル」であるか、という加減数値をベクレル数で示すべきである。
何故か。物理学の保存則(煮ても焼いても、消滅しない)にもとづいた、放射能の行方を明らかにしないかぎり、見えない相手の姿を知ることはできない。半世紀以上すぎても、食事に不適切な放射能と同量のセシウムが、3.11福島事故以前の汚泥の「溶融スラグ」から検出されているのである(多分、全国均一)。「稼働しない建物の内外の外気放射線量を根拠にして、安全宣言を演出するのはお粗末に過ぎる。その理由を補足しよう。
今回、福島県郡山市焼却場で、「脱水汚泥」→「焼却灰」→「溶融スラグ」にいたる3段階の過程で、放射性物質は「64%」が環境外に放出されているという事実がある。しかも、郡山市の「溶融スラグ」汚染度は、3.11原発事故以前の汚染度に比べて、実に「1351倍」にはねあがっている。このように、列島汚染の実態が、ようやく明らかになりつつある。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1466:110616〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。