渡部恒三への「ハラキリ」の勧め: 政治家・官僚の責任のとり方:腹を切るか、首を差し出すか
- 2011年 6月 21日
- 評論・紹介・意見
- 中田安彦
アルルの男・ヒロシです。今日は多少物騒な事を書く。
「菅下ろし」が膠着している中、民主党最高顧問で「政界の水戸黄門」を僭称(せんしょう)する渡部恒三・衆議院議員は昨日の産経新聞で以下のような発言をしたという。
(引用開始)
執行部の苦悩も何のそののずぶとさに、首相を後押ししてきた渡部恒三最高顧問も頭を抱える。最近、公明党幹部との会談で、首相と小沢一郎元代表の一騎打ちだった昨年9月の代表選を振り返りながら、こうぼやいた。
「とにかく小沢を代表にしちゃいけないというので、みんな菅に入れたけど、本当にひでえのにやらせちゃったな」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110620/plc11062000570000-n2.htm
(引用終わり)
この発言を見て、私は本当に怒っている。
一国の総理を「私闘(=派閥の力学)」で選ぶということは今までもあっただろう。しかし、ここまで堂々と「とにかく小沢を総理にしたくないから菅に入れた」と公然と認めた政治家は渡部が初めてだ。渡部恒三は、今すぐ会津に帰って、腹を切って文字通り死ぬべきであろう。渡部家は会津の名家だから自宅に日本刀の一本や二本は持っているだろう。
それが当然だ。人間の生き死にについて滅多なことを言うべきではないというのはわかる。しかし、この男が存在するだけですでに「害悪」である。福島県議出身でありながら、この男は原発問題の収束になんら寄与していない。TBSの番組に出て耄碌(もうろく)したボケ老人の戯言をアメリカの代理人のジェラルド・カーティスと言い合うだけだ。
死ぬのが嫌で惨めにまだ生きながらえたいのであれば、議員辞職すべきである。この渡部の発言はそれくらい当然である。一国の総理大臣を渡部は「好き嫌い」で決めたとここではっきり認めている。つまり、去年の民主党代表選はただの「反小沢の私闘」に過ぎなかった、それ以外に大義はなかったということを民主党の最高顧問がはっきりと認めたからだ。これは日本国憲法に対する冒涜であり、憲政史上あってはならない大問題発言だ。与野党一致して渡部恒三の「議員辞職勧告決議」を採決する必要がある。
渡部恒三の同じ竹下派7奉行である小沢一郎に対する「怨み」は、渡部恒三が先日3月上旬に東京工業大学で行った小室直樹追悼シンポジウムでの発言によく現れている。
渡部はこの時、「わたすは議員もうすぐやめて会津に帰るしかねえんだ。東京の墓には入れねえんだ」と恨みがましく何の前触れもなく話し始めた。これは明らかに東京出身で地方を選挙区にもつ小沢一郎(小沢の自宅は世田谷区にある)に対するあてつけである。それほどまでに渡部の小沢に対する怨念は強い。
しかし、代表選の政策公約の面に明らかに劣っていた菅直人を無理に勝たせていいはずがない。あの民主党代表選挙の中継を見ていたら100人が100人、小沢の演説の方が立派であったというだろう。後に演説した菅直人は小沢の演説を剽窃した挙句、延々と数十秒も党所属議員の前職を読み上げた。「タウンページ演説」と揶揄されたほどだ。
そして、反小沢勢力である松下政経塾グループを組織して「7奉行の会」という派閥を作り、民主党を分裂に追い込んだのは渡部恒三であり、背後にはジェラルド・カーティス(コロンビア大学教授)と息子の渡部恒雄(元CSIS研究員)がいる。
息子の恒雄は若い優秀な日本人留学生をアメリカのエージェントに仕立て上げる目的で「ヤングライオンズ」(http://www.younglions.jp/members/)という在米留学生の団体の顧問(アドバイザー)の立場にある。何も知らない善良な留学生は知らない間に、渡部恒雄の助言によって、アメリカの無自覚的なエージェントに仕立て上げられていくわけである。
渡部恒三は自ら身を引くことで責任をとればいい。問題は、今後の挙党一致の在り方だ。
9日に、にわかに野田佳彦財務大臣が次の総理大臣になる、仙谷由人の差し金で動いているという記事が朝日新聞に出た。すると、翌日に産経新聞などが野田の献金問題を蒸し返した。脱税企業からの献金を受けていたという報道だ。
(引用開始)
脱税疑いの社長、野田財務相側に献金 2年間で50万円
2011.6.11 02:00 (1/2ページ)
野田佳彦財務相が代表を務める政党支部「民主党千葉県第4区総支部」に平成15、17年の2年間で計50万円の企業献金をしていたソフトウエア会社の男性社長が、税務当局の強制調査(査察)を受けていたことが10日、関係者への取材で分かった。社長側は約1億円を脱税した疑いがあり、税務当局は法人税法違反での告発も視野に入れているとみられる。野田氏の団体をめぐっては3月、別の巨額脱税事件で有罪判決を受けた男性の関係企業からの資金提供が発覚していた。社長側は野田氏以外にも与野党の複数の国会議員側に資金提供しており、政界への幅広い浸透も指摘されている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110611/crm11061102000003-n1.htm
(引用終わり)
この記事も臭い。仙谷は野田を「財務省候補」として押し立てていたのだから、仙谷からの情報リークではない。税務関連というのは間違いなく財務省のリーク。財務省はそういう政治家の「弱み」を握った封筒をファイルしていると聞く。財務省から菅にリークがあったのだろう。
ところが、同じ10日になると、野田佳彦は、記者会見で「一番超えなければならないのは“怨念の政治”だ」と述べている。この後に産経の野田献金報道が出た。しばらくすると、小沢一郎サイドからのものとして、朝日が「財務省の『公認候補』だが、増税路線を転換すれば支持が広がる」とか「財務省と近いが、逆に財務官僚の手の内を知り抜いている」という14日の会合での発言を報道。
そもそも朝日は菅直人の応援団であり、なぜ小沢の発言が朝日に流れたのかわからないが、ここで分かることは、小沢が野田を一本釣りしようとしていた、ということだ。野田はそのシグナルとして「怨念の政治」をというキーワードを使ったわけである。
ただ、私はこの野田佳彦の線も、結局献金問題があったので、消えたと見ている。献金問題は菅直人も抱えているのに、総理の椅子は特別だとばかりに菅は居座りを決め込んでいる。岡田幹事長もなかなか「介錯」できないどころが、菅に迎合する雰囲気すら見せている。
野田佳彦の線は無くなっただろうし、いまさら野田が小沢を組むと行っても、逆にそれは野田が財務省に弱みを握られた形でのものとなるわけだから、「また小沢を騙しに来た」と見たほうがいい。本気で野田が財務省の飼い犬から脱したとして小沢グループに担がれるのであれば、まずは最低条件として、財務事務次官である勝栄二郎の“首”を差し出すべきだろう。震災復興が終わるまでは、「税と社会保障の一体改革」を先送りするということが必要不可欠だ。
今は何があってもおかしくない。永田町は戦国時代に突入している。野田が本気で親分を変えるというのであれば、まずは前の親分(勝栄二郎・財務事務次官)の首(=辞表・罷免)を手土産に持参するのが当然である。大臣には部下の任免権がある。理由なしに財務事務次官をクビにすることは十分に可能だ。
そもそものボタンの掛け違いは小沢一郎を民主党代表から追い落とそうとしたアメリカと日本の官僚機構のの謀略にある。西松建設問題は違法ではないのに、献金主体がダミー団体であるかのように報道し、無理やり違法であるかのようにした。そうしたら、民主党の主だった政治家、菅、前原、野田、蓮舫などの全てに「違法」献金が発覚した。アメリカとそれと結託した律令官僚に良いように操られた成れの果てだ。
♢ ♢
渡部恒三の議員辞職勧告決議と野田佳彦の財務事務次官の罷免。まずは話はそれからだ。自然エネルギー協議会とやらでハイになって手の付けられない菅直人のクビを切るのは夏以降になる。代表解任決議を準備するのだろう。
あとは、民主党の挙党一致だ。小沢一郎官房副長官(復興担当)と仙谷由人官房副長官が「悪魔と手を結ぶ」同盟を締結する。野中と仙谷は仲がいい。「悪魔へのひれ伏し方」をよく勉強しておくといいし、小沢サイドも政局だけの倒閣運動ではなく、被災地知事たちと連携して、実のある復興政策を打ち出すべきだ。
しかし、今のところでは上のような楽観的シナリオの実現性はない。渡部恒三は死ぬまで暴言を吐くだろうし、野田佳彦は結局財務省のエージェントで在り続ける。官僚とアメリカのタッグはどっちか一報が崩壊するまでは終わらない。官僚は場合によっては中国に擦り寄ってでも自分の権限を温存するだろう。
あの人ならこういうだろう。「渡部恒三は罪犯罪の元凶であり、腹を切って死ぬべきは当然である。もしそうしないならば私が地獄の火の中に投げ込むべきは当然である」と。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0518 :110621〕
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