SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】419 フランス製ドローンが西サハラ軍人を爆殺
- 2021年 4月 15日
- 評論・紹介・意見
- サハラスペインフランスモロッコ平田伊都子西サハラ
2021年4月14日、スペインのアリカンタ港から180台の車を積んだ船が出発しました。
西サハラの人々を支援するため、車は、コツコツと蓄えられてきた食料や衣料品や医薬品などを満載しています。 贈り主は、スペイン各地の人道支援団体や州政府などです。
一方、フランスはモロッコ王立軍にドローンや最新探知機器を提供し、フランスが指導するモロッコ占領地・西サハラの完全モロッコ化を推し進めています。
① スペインに心変わりを強要するモロッコの論客:
MWN(モロッコ世界ニュース)の主筆で創業者野一人でもあるサミール・ベニス氏は2021年4月7日、スペイン政権にアメリカ前政権に倣ってモロッコの西さは粗領有権を承認するようにとせっついた。そして、「スペインはモロッコを領土拡張主義だと非難している。スペインは、モロッコが西サハラ領有権を確実にしたら、モロッコにあるスペイン飛び地領土のセウタやメリリャ、さらにはカナリア諸島まで取りあげると、恐れている」と、自説を展開した。ベニスしは、モロッコは西サハラの領有権が目的で、モロッコに残存するスペイン植民地には、食指が動かないと強調して見せた。
そのMWNは1月19日の記事で、サンチェス首相が西サハラ問題に関して、国連主導の直接交渉を呼び掛けていると書いた。その記事は、「サンチェス・スペイン首相は1月18日にマドリード駐在の大使を集めた会合で、西サハラ問題は国連指導の直接交渉で、両当事者が納得のいく解決策を早急に見つけなければならないと、強調した」と語り、さらに、スペイン首相の西サハラ問題に対する立場は不変だと、認めている
21才までマドリードのバスケットボールクラブで、アマチュア選手として活躍していたサンチェスは、長身のスポーツマンだ。仇名はエル・グアポ(美男子)。2014年から社会労働党書記長を務め、2018年6月1日、国会で首相に選出された。無宗教のサンチェスは、定番になっていた聖書と十字架付きの宣誓を断り、サルスエラ宮殿でスペイン国王に首相就任を誓った。フェミニストを辞任するサンチェスは、新内閣17名のうち11名の女性を起用した。メルケル・ドイツ首相の支援を受け、移民歓迎の方針を表明している。モロッコは、771,683人(2020年12月末スペイン統計)のモロッコ移民がサンチェス・スペイン政権のお世話になっていることを、忘れている。モロッコ不法移民の数を合わせてたらゆうに 100マン人を超えると言われている。
首相就任後初の国連総会一般教書演説で、「西サハラ紛争とジブラルタル紛争は、私たちスペインが解決を迫られている国際問題だ」と、西サハラ植民地問題とイギリスとのジブラルタル紛争を取り上げた。その姿勢は、3年後の今も粘り強く貫かれている、、
② マクロン党がモロッコ占領地・西サハラに無断で出張所を開設:
2021年4月10日、モロッコ占領地・西サハラの港町ダハラに、フランス大統領マクロンの党<共和国前進>が支部を設置した。2020年12月10日、トランプにモロッコの西サハラ領有権とダハラにアメリカ領事館新設を承認させたモロッコは大歓迎で、「ここまで呑んだんだからトランプに倣ってモロッコ領有権承認を公言しろ」と、マクロンに圧力をかけている。一方の西サハラ難民政府は、「ダハラは国連が脱植民地化を促している非自治地域西サハラの中にあり、モロッコの所有地ではない。フランス大統領の党が、この禁断の地に公的施設を設置することは国際法に違反する犯罪行為だ。CJEU(ヨーロッパ司法裁判所)でも2020年12月21日に西サハラとモロッコは二つに分かれた地域だと判決を下している」と大反発し、告訴する手続きを始めた。
ダハラをリゾート・ハブ港に開発する計画は、元フランス大統領ニコラス・サルコジが提案したと言われている。移民二世のサルコジ氏は移民を毛嫌いし、汚職を重ねた末に実刑判決をフランスの裁判所から言い渡されている。
マクロン大統領の党<共和国前進>は、2016年のに大統領選挙に向けマクロン自身が作った<前進>を、マクロンが大統領になった時、<共和国前進>と変更した。因みにフランスにある党を、党員の数が多い順番に挙げていくと、共和党58,000人、服従しないフランス54,000人、フランス共産党47,349人、社会党42,000人、La République En Marche(共和国前進)418,635人で、第5番目になる。新型コロナウイルス第3波の拡大で3日から全土で3度目の都市封鎖(ロックダウン)が始まったが、「近隣国より決断が遅れて感染拡大を招いた」との批判が高まり、支持率は低迷仏紙フィガロが3月31日発表した世論調査で、マクロン大統領の支持率は前月比より3%減で36%と低迷している。サルコジ
③ モロッコ軍の殺戮開始:
モロッコはデマ攻勢や外交攻勢に加えモロッコ軍の殺害成果を宣伝し始めた。
2020年11月13日にモロッコが停戦合意を破って国連緩衝地帯にモロッコ軍を侵攻させて以来、難民軍は<砂の壁・地雷防御壁>を攻撃し続けている。西サハラ難民軍は連日のように戦況を公開してきた。ところが不思議なことに、モロッコ王立軍は戦闘を公表せず、両軍の境界線である<砂の壁地雷原>は平穏であると装ってきた。西サハラを分断する<砂の壁・地雷原>は全長約2,600㎞あり、<砂に壁・地雷原>の両サイドに国連は緩衝地帯を設けている。国連はミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)という名の国連PKO平和維持軍を両サイドに展開させ、両軍を監視してきた。しかし、モロッコ軍は平穏無事を報告し、それをミヌルソMINURSOは国連安保理に報告してきたので、西サハラはモロッコ王国軍のおかげで安心安全な投資開発地だと印象づけてきた。
4月12日で西サハラ難民軍が152回目に当たる戦線状況とモロッコ王立軍側の人的物的損失を報告してきたのに、国連は無視し続けモロッコを援助してきた。おかげでモロッコはトランプ前米大統領への西サハラ売り込みに成功し、フランスと一緒になってドイツやスペインなどに声をかけ、モロッコとの商売取引と引き換えにモロッコの西サハラ領有権を認めさせようとした。が、SNSのニュースで西サハラ難民軍兵士の爆死がばらされ、それをモロッコのSNS やMWN(モロッコ世界ニュース)などで派手な戦勝宣伝と広まり、モロッコ王立軍と西サハラ難民軍の戦争が明るみに出た。
2021年4月12日、MWN(モロッコ世界ニュース)は4月11日のフトゥーロ
・サハラ(サハラの未来)からの引用として、ポリサリオ西サハラ難民軍の重鎮ナジェム・エッデイアが戦死したと伝えた。さらにMWN(モロッコ世界ニュース)は、「ポリサリオ難民軍は4月7日にモロッコ王立軍を攻撃したが、モロッコ王立軍の反撃にあい、ナジェムを始め多数が重傷を負った。ダー・エルベンディールは即死した。モロッコ王立軍はドローンを使った」との記事を紹介した。MWNによると、「モロッコ政府はモロッコの反撃を公表していないが、ポリサリオ西サハラ難民軍は、AFPやル・モンドやバロンにダーエルベンディールのフランス製ドローンによる爆死を伝えた」と、いうことだ。戦闘は続いている、、
フランス製ドローンで、モロッコ王立軍に爆殺された
ポリサリオ西サハラ難民軍司令官ナジェム・エッデイア
フランス首脳エマニュエル・マクロン大統領(43才)とスペイン首脳ペドロ・サンチェス(48才)の西サハラ紛争に対する見解の違いが、ハッキリしてきました。 「私は植民地時代を知らない」と公言するのは、植民地主義者のマクロン大統領です。 「私たちの抱えている領土問題を解決しなければならない」と脱植民地運動を支持するのは、サンチェス首相です。 フランスは元フランス植民地モロッコの西サハラ領有権を<モロッコ自治の地方自治区>という新植民地化を支持してきました。 一方、元西サハラ宗主国(植民地国)のスペインは、国連の指導による平和解決を求めてきました。
軍配は?サンチェス! 国際法に則っているし人道的だし、、第一、マクロンより数倍グアポ(スペイン語で美男子)です!!
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2021年4月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10737:210415〕
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