本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(304)
- 2021年 4月 21日
- 評論・紹介・意見
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ヨハネの黙示録
20世紀最大の歴史学者と言われる「トインビー」は、「近代西洋文明の父的な文化はギリシャ文明であり、また、母的な文明はユダヤ文化である」と述べている。そのために、われわれ日本人が西洋人を理解するためには、「ギリシャ哲学」や「聖書」の理解が必要不可欠の状況とも感じている。そして、今回、「ヨハネの黙示録」を中心にして、「旧約聖書」と「新約聖書」を一読したが、現時点における感想は、「現在が、金融面におけるハルマゲドンの戦いのような状況ではないか?」ということだった。
つまり、「世界的な大混乱の発生」と「その後に予想される安定した千年王国」については、確かに、「黙示録の預言のとおりの状況ではないか?」と感じたが、一方で、「西暦500年前後から1500年前後の説明」については、「この間が千年王国だったのではないか?」とも感じられたのである。別の言葉では、現在の混乱が、「千年王国の後に訪れるサタンの解放に相当する可能性」のことだが、実際のところ、現在の「マネー大膨張」は、「1600年前の西ローマ時代」とは、比較にならないほどの規模とも言えるのである。
より具体的には、「ヨハネの黙示録」が書かれた「約2000年前の西洋社会」は、ヤスパースが主張する「第一の枢軸時代」の終焉期に相当し、実際には、「農業革命」で豊かになった人々が、「高度で爛熟した文明を謳歌していた時期」だったのである。つまり、「欲望にまみれた人々が、サタンのような姿となり、都市文明を滅ぼした状況」のことだが、その後の「約千年間」については、ご存じのとおりに、「世界的に神への信仰が強まった時代」だったことも見て取れるのである。
そして、今回、「産業革命の進展」という「工業革命」により、豊かになった人々が、再度、「高度で爛熟した文明」を謳歌したものと想定されるが、実際には、「悪魔のひき臼」という言葉のとおりに、最後の段階で、「サタンが人々を襲うような展開」、すなわち、「心や通貨までもが商品化され、地獄のような様相を呈する状況」となったのである。つまり、「サタンが、再度、解き放たれた状況」のようにも感じられたわけだが、この点については、「文明法則史学」が教えるとおりに、「800年に一度、西洋と東洋の文明が交代し、そのことにより、人類の進化が発生する」という状況のようにも感じている。
しかも、今回は、「心の謎」が解き明かされ、「携挙」や「キリストの再臨」などについて具体的な分析が行われるものと想定しているが、基本的には、「富に仕える時代」から「存命の状態で、誰でも仏様のような存在になる時代」が到来するものと考えている。(2021.3.20)
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後ろ指をさされる人々
戦後の日本人は、「貧しくとも誇りを持っていた人々」であり、基本的には、「後ろ指をさされること」を極端に嫌った状況だったものと思われるが、私自身の経験としても、「親から、このことを厳しく躾けられた状況」だったようにも感じている。別の言葉では、「悪魔に魂を売り渡さない」という「西洋の教え」のとおりに、「お金のためには、どのようなことでも行う」というような「精神的な堕落」を避けてきた人生のことである。
ところが、現在の日本を見ると、「後ろ指を指される人々」が激増した状況とも言えるようだが、実際には、「1990年のバブル崩壊」以降、「不良債権」とともに、「民間企業」から「民間の金融機関」、そして、「政府や官僚」などへと、「悪魔に魂を売ったような人々」が移行した状況のようにも感じている。つまり、「後ろ指を指されるような行為」を実施している人々が、民間企業だけではなく、政府や官僚までにも及び、現在では、「最も優秀で、高貴な地位や身分にある方々」までもが、「人々から蔑みの目で見られているような状況」となっているのである。
そして、このことが、「芹沢光治良氏」が指摘する「世界の膿み出し」の最終段階のようにも思われるが、実際には、「1987年以降、世界全体で、世界の掃除が実施され、人々の意識転換が発生している状況」のことである。つまり、「文明法則史学」が教えるとおりに、「西洋の物質文明」から「東洋の精神文明」への移行期に際して、「大膨張したマネーが既存の価値観を壊している状況」のことであり、現在では、この展開が、いよいよ、最終局面を迎えた状況とも想定されるのである。
より具体的には、「すべての人が悪魔に魂を売り渡した結果として、これ以上売り渡す魂が消滅した可能性」のことでもあるが、このような状況下で必要なことは、「キリストの教え」である「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、この女に、まず石を投げなさい」という言葉のようにも感じている。つまり、現在、必要とされていることは、「過去800年間、世界中の人々が、お金の魔力に惑わされ、地球環境を破壊するほどの行為を実施した」という事態を反省することとも想定されるのである。
別の言葉では、「戦争の愚かさ」を理解するとともに、「軍事費」をゼロにすることにより、「世界全体が、地球と共生できる技術開発にまい進し始める展開」のことでもあるが、現在の状況を考え見ると、このような理想の状態が実現されるまでには、まだ、いろいろな紆余曲折が存在する状況とも言えるようである。(2021.3.21)
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東西冷戦の歴史的推移
現在の「米中対立」は、かつての「東西冷戦構造」が復活した可能性を想起させるような展開となっているが、私自身は、この点に関して、大きな注意が必要だと感じている。つまり、第二次世界大戦以降の推移については、「朝鮮戦争」や「キューバ危機」、そして、「ベトナム戦争」などを経て、「1980年前後」から始まった「中国の資本主義化」が大きなポイントだったものと思われるからである。
より具体的には、「資本主義化した中国」が誘発したものは「デリバティブの誕生と急激な成長」であり、また、「マネー経済の成長」と「世界的な金利低下」だったが、結果としては、このことが、その後の「ソ連崩壊」に繋がった可能性も考えられるのである。しかも、「1991年のソ連崩壊」、そして、「ロシアの資本主義化」は、その後、「実体経済」のみならず、「マネー経済」を大膨張させたわけだが、この時に、最も注意すべき事項は、「フローの実体経済」と「ストックのマネー経済」との相違点とも言えるのである。
つまり、「実体経済」については、今回の「コロナ・ショック」からも明らかなように、「今日のビジネスが、明日も継続する補償がない」という「フローの状況」でありながら、一方の「マネー経済」については、「ハイパーインフレで価値が雲散霧消するまで大膨張を続ける」という「ストックの性質」を持っているのである。別の言葉では、最後の段階で、「インフレの大津波」である「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」という展開が訪れ、「通貨価値の激減」につながるが、実際には、「ケインズ」が指摘するとおりに「100万人に一人も気付かないうちに進展する現象」とも言えるのである。
そのために、今回の「米中対立」、あるいは、「東西の冷戦構造」については、全く新たな視点から凝視する必要性を感じているが、実際には、「今までの資本主義や共産主義が、どちらの場合にも、資金や領土などを奪い合う手段として誕生した制度だった可能性」を考慮する必要性である。つまり、「マネーの残高」が膨張し、また、「マネーの価値」が減少しない限り、「マネーの奪い合い」に魅力を感じる人々が存在するものと思われるが、現在の状況としては、「世界的な紙幣の大増刷」により、間もなく、「デジタル通貨の価値が、ほぼ瞬間的に、雲散霧消する可能性」が高まっているのである。
しかも、現在では、「大自然により人類が淘汰され始めた状況」とも思われるが、このような状況下で、「東西の冷戦」や「戦争による領土の奪い合い」が議論されること自体が、「歴史に残る時代錯誤的な動き」とも言えるようである。(2021.3.23)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion10757:210421〕
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