マイナンバーカード、全面広告、朝日の見識を問う
- 2021年 8月 29日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
8月28日、朝日新聞の朝刊を開いて驚いた。朝寝坊の上、朝食後、パソコンを開く方が先なもので、かなり遅かったのだが、いつものようにスポーツ欄とテレビ欄を飛ばそうとして、「ウッ!」その途中に現れたのが、ハデハデしい、つぎのような全面広告である。
よく見ると、広告の中央の文字は「そろそろ、あなたもマイナンバーカード」とあり、三人のタレントが各世代の代表のように、大きな顔がイヤでも目に入る。一番上のタレントの名前は知らない。その三人には、つぎのようなセリフが付されている。
「最近、メリットが増えて気になってます。」
「いま、3人に1人が持ってるんだって。」
「デジタル苦手だから作っちゃった。」
まあ、なんと無責任な勧めよう。マナンバーカード制度は、2016年1月、発足当時から、問題が多く、セキュリティ「安心・安全」の面から、その危険が指摘されていた。私も当ブログで何度か記事にしている。
朝日新聞は、近年の社説だけから見ても、マナンバーカードには警鐘を鳴らし続けていたのである。
マイナポイント 国民の理解がなくては(2020年9月19日)
マイナンバー 性急な議論は危うい(2020年6月4日)
マイナンバーカード 普及を焦る不毛(2019年12月2日)
マイナンバーカード 普及策は再考を(2019年9月10日)
その朝日新聞が、の思いも強い。朝日新聞は、自社の広告としての審査は、どのように進められたのか。全面広告料に目がくらんだのか。
全面広告では、三人のタレントを囲むように、さまざまな生活の場面で、便利さ?メリット?を掲げるのであるが、これも実に、おおざっぱな話で、何の根拠もなく一概に信頼できないコピーなのである。
「子育てがラクになりました」
「持ち歩くカードの数が減ったのよ」
「健康保険証としても使えるんだって」
「友達が作ったから気になってます」
どれもこれもまぜっかえしたくなる。昨年の一律給付金の折は、マイカード申請の方が手間取って遅れたというし、保険証としても使えるのは、ことしの10月からの予定だったけど・・・。持ち歩くカードが減るということは、マイナンバーカードに個人情報が集中しているというリスクがあり、第一、持ち歩いてなくしたらどうするのだろう・・・。若い人は、そんなにも自主性がないんだろうかと。ちなみに、マイナンバーカードの政府によるスケジュールは以下のようなのだ。
この広告のスポンサーは、内閣府・総務省・厚生労働省である。こんな全面広告に、どのくらいの税金が使われているのか。この広告に登場したタレントが、お金に困っているとも思えない。今後どんな発言や行動をしたとしても、私は信用しないだろう。
朝日新聞! 政府! タレント!・・・・。私の怒りは募るばかりの暑い一日だった。
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初出:「内野光子のブログ」2021.8.28より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2021/08/post-820e5f.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion11250:210829〕
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