12月4日のNHKテレビ(「昭和天皇開戦への道」)で天皇の戦争責任に関する興味深い表現がありました
- 2021年 12月 6日
- 評論・紹介・意見
- 古賀暹
昨夜のETV、夜11時の「昭和天皇開戦への道」を見ました。満州事変にせよ、2・26事件についてにせよ、この種のものは「天皇は平和を欲していた。悪いのは軍部」といった筋書きで流されるのを常としているので、あまり、見ないことにしていたのですが、友人の勧めで、12時まで付き合いました。
番組は、いつものように天皇は平和主義であり、戦争は軍部という筋書きで流れていましたが、番組の最終段階で、天皇に扮する男がとんでもないことを言い出します。「支那人は狡猾で正面からの話ではまとまらない。匕首をつきつけながら話さねばならない」(この言葉は録画していなかったので正確ではない)と。
びっくり仰天! これはまさに満州事変、上海事変、シナ事変、と続いた「軍部」と同じではないか。いや、当時の支配層の「中国蔑視」を根底に持った「日本」の発言そのものだ。
この発言に対して、わたくしならば、「こんな中国蔑視の思想を持っているなんて呆れた。これでは和平交渉なんてまとまるわけがない。天皇は軍部を支持していたんだ。だから、それまでの軍部の侵略を容認していたんだ」とコメントするところです。
ところが、菅によって、学術会議から追放された加藤陽子教授殿は、極めて、歯切れが悪く、モゴモゴと、「天皇はいろいろやっていたんですね」と、半分、笑いながらお話になる。戦争から80年たったとはいえ、そんなお上品な解説ですむことではない。嫌中が国民の80パーセントを超え、世の中には、台湾危機やテニス問題が騒がれている時世である。この天皇発言に対して真っ向から批判すべきなのは、現在も変わらない。
ここまで書いてきたとき、はたと思い至った。なぜ、中国問題がかしましくなった今日、なぜ、公共放送であるNHKがこの番組を作成し報道したのだろう。複雑な気持ちだ。今度は、アメリカの露払いをしようというのだろうか?
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〔opinion11546:211206〕
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