2022年新年のご挨拶
- 2022年 1月 1日
- ちきゅう座からのお知らせ
- ちきゅう座運営委員会
皆様あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もより一層のご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
さて、この一年を振り返ってみますと、オリンピックだ、パラリンピックだとはやしたてられていたのが空しく響くように、何とも陰鬱な年だったように思います。
それはコロナ禍の蔓延により、われわれ庶民の日常生活に活気がなかったことがその一因と考えることができるかと思います。しかしまた、菅義偉という前首相が終始一貫とり続けた「国民への隠ぺい」的態度、コロナ禍対応での不備、オリンピック祭典の失敗、等々のせいだとも考えられるようにも思えます。そのせいでもありましょうが、先の衆議院議員選挙の投票率は戦後下から三番目という低調さでした(55.93%)。
菅首相の後を襲って首相に就任した岸田文雄という人は、「私が…をさせました」と「私」を強調する割には、全く煮え切らない性格のようで、まるでどなたかの操り人形のように、ひたすら右顧左眄するばかりで、前任者、前々任者と全く代り映えのない「愚昧な政治」をとり続けています。その周囲で一緒になって踊っている政治家(屋)や官僚たちはグルです。赤木さんの様な気骨のある官僚は排除され、自死へと追い詰められたわけです。
その赤木さんの残したファイルの全貌や赤木さんを自死へと追いやった責任の所在など、その一切をひた隠しに隠し、解決金1億円で済まそうとする「あさましさ」、これが今日の日本政府の赤裸々な姿です。
「新自由主義」から中身はそのままで名前だけ「新資本主義」に変え、その有識者会議の並みいるメンバーの一人に「反共主義」の闘士であり、連合の新会長に就いた芳野友子氏を据えているのは、労働者階級への目配りのように装いながら、その実、資本主義的政策の完全な行き詰まり(逼塞状態)を表わすものに他なりません。
以下、少しその辺の問題を振り返ってみたいと思います。
(1)大変な「格差社会」が出現している
先ごろ、世界中の数百人の経済学者による共同調査が発表されましたが、それによれば、世界の1%の超富裕層によって、世界中の資産の37.8%が独占されているとのことです。
また、庶民は不景気と先行き不安で嘆いている一方で、上場企業33業種のうちの26業種が「増益・黒字」をあげています。トヨタなどは最高益の1.5兆円に達し、電機大手7社も中間期で増収といいます。実際に年収1億円以上を得る上場企業の役員は544人(東京商工リサーチ調べ)います。
他方では、日本社会の児童の7人に一人が貧困にあえいでいるし、障害児家庭用の特別扶養手当は、ここ10年間で3倍近くが「申請却下」の憂き目にあっています。
(2)権力の私物化
コロナ騒動の真っただ中で、国民の不安をよそに、また沖縄への予算を大幅に減額するなどしながら、オリ・パラリンピックが強行されたことは日本国民を二極化する結果になったと報じられています。
先に触れた赤木さんの問題でも、時の首相安倍晋三は、自分は全く関知しないかの格好をとり続け、まともな答弁一つしようとしていません。彼が関わった「モリ・カケ」と「桜」問題は決してうやむやのまま終わらせてよいものではないでしょう。
さらに、オリ・パラやコロナとも絡むのですが、政府高官と巧みにタッグを組み、大儲けするあくどい連中、またその証拠を焼却する手合、この腐りきった世界をこそ「逼塞した世界」と呼ぶべきでしょう。
ほんの一例ですが、電通は、下請けを594社使い、9次まで下請けさせて、コロナ関連の「持続化給付金」問題で管理費だけで58億円をポケットに入れています。
公文書のデータが堂々と改ざんされていたことは、既にご承知の通りです。原電は有価証券報告書の開示をやめ、会社概況書を公表することで、電力会社からどれだけの金が支払われたかを隠蔽しています。
新設のデジタル庁では、「民間人材積極活用」が謳われています。新自由主義の「民営化」とどこが違うのでしょうか。
(3)環境破壊
地球温暖化などの環境破壊がもたらす影響の大きさ、深刻さはまさにグローバルなものです。地球上の各地で大災害をもたらしていることは周知の事実です。
ICPPの報告によると、今のまま行けば、2030年前後には地球上の気温は1.5℃上昇するとのことです。また、実際にグリーンランドでは異常気象によって「雨」が降って氷が解け始めたと報道されています。
福島第一原発の処理水は、地元民、漁業関係者の強力な反対にもかかわらず、海上放出を決めていますし、沖縄の米軍基地では、有機フッ素化合物の混じった汚染水(有機物質指針の1600倍)を垂れ流しています。
こんな事態がまかり通っている中で、CO2削減の政府原案は、家庭が66%減、業務が50%、そして産業は37%減という、まさに産業最優先の指針です。世界中から批判されるのも当然です。
(4)世界情勢を鳥瞰すると
ミャンマーの情勢は極めて深刻です。おそらくこれには大国の利害などが絡んでいるために容易に打開できない事情があると思われます。ウクライナ問題、台湾海峡問題でも同じ事情が読みとれるように思います。
その大国ですが、8月11日から米・韓の合同演習が行われました。それに対抗して8月13日には中・ロの軍事演習が、また北朝鮮は「弾道弾」などの発射実験を盛んに行っています。
片や日本政府は、5兆4千億円という莫大な防衛予算(「思いやり予算」には1兆551億円)を組み、「専守防衛」を逸脱する武器の調達まで構想しています。
米、中、ロ(日本や、韓国や北朝鮮も同様ですが)のそれぞれが深刻な国内事情を抱え、それだけに対外強硬の構えを見せつけて、国内での安定化を狙いたいという意図がうかがえます。
(5)ちきゅう座に出来ること
われわれミニメディアに出来ることはたかが知れているとは思いますが、それでも良く耳にする「日本のメディアは偏向している」とか「まともにニュースを報道していない」という声をできるだけ汲み上げて、このサイトを立ち上げた当初の精神である「様々な意見の交流の場」ということを改めて目指して精進したいと考えています。
幸いにして、多士済々な論者に恵まれて、育てられてきました。今後も一層の交流と議論を深めていきたいと願っております。今後ともよろしくご指導いただきたいと思います。
2022年元旦
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