本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(340)
- 2022年 1月 7日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
マネー経済に移行する米中の覇権争い
米国と中国の覇権争いは、現在、「実体経済」から「マネー経済」へと移行し始めたものと思われるが、実際のところ、米国においては、「超党派のUSCC(米中経済安全保障再考委員会)が、金融分野の規制案を提言した」と報道されているのである。つまり、今までは、「貿易」などの「実体経済」において、「米中の覇権争い」が実施されてきたものの、現在では、すでに、「マネー経済」にまで、この動きが広がり始めているのである。
そのために、現時点で必要なことは、「過去50年余りの期間に、どのような変化が発生してきたのか?」を理解することであり、特に、「1991年のソ連崩壊以降、世界の金融情勢が、どのような要因で大膨張したのか?」を考えることである。つまり、「実体経済の成長が止まった後に、マネー経済の成長が始まった」という展開のことだが、この時に、きわめて大きな意味を持ったのが、「ロシアや中国などの旧共産諸国が、資本市場に参入してきた事実」とも言えるのである。
より詳しく申し上げると、「1980年代の初頭から始まったデリバティブの膨張」については、その後の「中国やロシアなどの影響力」が大きかったものと考えているが、現在では、反対に、「実体経済の収縮」だけではなく、「マネー経済の収縮」までもが始まっているのである。具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」を隠蔽する目的で実施されてきた「世界的な量的緩和(QE)」が、「デジタル通貨の枯渇により、実質上、継続不可能な状態に陥った可能性」が存在するのである。
そして、このような状況下で、「米中の覇権争いが、マネー経済に移行し始めた展開」というのは、基本的に、「信用の崩壊」、そして、「デリバティブバブル崩壊の表面化」や「国債などの債券価格の暴落(金利は急騰)」に繋がるものと想定されるのである。別の言葉では、本当の意味での「金融敗戦」のことでもあるが、これから想定すべき事態は、「世界の覇権国家」という概念が、すでに時代遅れになっている可能性である。
つまり、「富の獲得」を目標とした「西洋文明」においては、かつての「西ローマ帝国」、そして、現代の「大英帝国」や「アメリカ合衆国」などのような「覇権国家」が誕生したものの、これから予想される「神への忠誠」、あるいは、「精神的なレベルの向上」を目的とした「東洋文明」においては、「軍事力や資金力を背景にした覇権国家」が存在感を失うだけではなく、反対に、「大自然の破壊力によって、富や軍備の無力化が進展する可能性」も予想されるのである。(2021.12.2)
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仏教の三界
仏教には「三つの世界」が存在すると言われている。具体的には、「欲界」と「色界」、そして、「無色界」のことだが、この点については、「欲界」が「人間社会」、そして、「色界」が「大自然の世界」、また、「無色界」が「法界(ほっかい)」に相当するものと考えている。しかも、これらの世界には、それぞれの「支配力」が存在するものと思われるが、実際のところ、「無色界」では「仏法や天地自然の理」と呼ばれるものであり、また、「色界」では「大自然の摂理」、そして、「欲界」では「倫理や国法」などである。
そして、「四苦八苦」と呼ばれる「人間の苦悩」については、弘法大師が指摘する「仏法と国法との違い」などが理由として挙げられるようだが、実際には、「弘法大師が、国法を無視してまでも仏法に従った状況」のことである。つまり、「法界」と「人間社会」との間には、大きな「次元の格差」が存在するために、数多くの「悩み」や「苦しみ」を経なければ、「天の智慧」に到達することが不可能な状況とも想定されるのである。
しかも、「大自然界の摂理」を表す「自然科学」においては、「400年ほど前から、急速な発展を遂げている状況」となっており、現在では、「マクロ物理学からミクロ物理学へ」という言葉のとおりに、「11次元の世界にまで、レベルが向上している状況」となっているのである。しかし、一方で、「人間社会の仕組みなどを解明する社会科学」においては、依然として、「三次元の段階」に留まっており、その結果として、「地球環境の悪化」が進展し、また、「人間同士の戦争や紛争」などが絶えない状況となっているのである。
別の言葉では、「唯物論を主体とした西洋文明」においては、「究極の物質」とも言える「お金(マネー)」が「神様のような状態」となり、その結果として、「人々の目的や行動は、すべて、お金儲けに向かった状況」のことである。つまり、「お金儲けのためなら、どんなことでも行う」という状況が生まれたわけだが、この結果として発生した現象は、「環境破壊などにより、人類そのものが、地球から淘汰される可能性」だったのである。
そのために、「SDGs(持続可能な経済成長)」や「新たな資本主義」などの言葉を駆使して、「これから、どのような世界が訪れるのか?」を模索し始めたものと思われるが、実際には、「文明法則史学が教える東西文明の大転換」、そして、「東洋の唯心論」や「お金の謎」などに関して、より深い考察が必要だと感じている。つまり、「お金の謎」のみならず、「時間のサイクル」や「心の謎」などのことだが、今後は、この点を理解した人々が、「時代の成功者」になるものと考えている。(2021.12.2)
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干支から見る2022年
「2022年」は「壬寅(みずのえ とら)」という暦となるが、「十干」の「壬」については、基本的に、「妊」や「任」という文字に繋がり、「新たな現象が孕(はら)まれる展開」、あるいは、「新たな人が任命される状況」が想定されるようである。また、「十二支」の「寅」については、「君子豹変」よりも大きな変化を意味する「大人虎変」という言葉のとおりに、「世の中が様変わりの状態となる可能性」を意味しており、実際には、「未曽有の規模での大インフレが世界を襲う状況」が考えられるようである。
より具体的には、「2008年前後に発生した金融大地震」が、「インフレの大津波」となって世界を襲っている状況のことだが、現在は、すでに、「インフレ大津波の第二波」に見舞われているものと考えられるのである。つまり、「2020年の3月」に記録した「原油先物のマイナス価格」や「米国30年国債価格の最高値」などが、「インフレの大津波が、海上の引き潮から地上へ移行を始めた状況」とも想定されるのである。
そして、その後の展開としては、「ギャロッピング・インフレ」に特有な兆候である「実物商品価格の上昇」に、世界全体が見舞われたものの、一方で、「マネー経済」を代表する「金利」の面においては、依然として、「デフレの様相を呈している状況」となっているのである。つまり、現在の情勢としては、「インフレ率」と「金利」との間で、大きなギャップが存在する状態となっており、このことは、「金利の上昇を恐れる政府やメガバンクなどが、必死に努力している状況」を表しているものと理解できるのである。
しかし、このような努力については、「バブルやダムなどの崩壊」と同様に、「時間の経過とともに、必ず、限界点に達する状況」が予想されるために、現時点で必要なことは、「過去の歴史を訪ねながら、最悪の事態を想定すること」とも言えるようである。つまり、過去数十年間に、どれほどの「マネー」が創り出され、また、どれほどの「歪み」が生じたのかを、正確に分析し、今後の展開を考えることである。
そして、同時に必要なことは、やはり、「自然科学」と「社会科学」との「次元格差」について、より深い分析を行いながら、「どのようにすれば、人間の行動規範とも言える社会科学を発展させることができるのか?」を考えることである。つまり、「人類の絶えざる進化と創造」の要因としては、基本的に、「ヘーゲルの弁証法」や「仏教の煩悩即菩提」などのように、「問題が発生し、人々が必要と感じた時に、天からの知恵となって訪れる構図」のようにも思われるのである。(2021.12.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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