戦うアフガニスタンのろう者女性たち パジュワク通信社が伝える現状(9)
- 2022年 1月 11日
- 評論・紹介・意見
- アフガニスタン坂井定雄聴覚障害者
11月8日から、8回、アフガニスタンのパジュワク通信社の報道する、現タリバン暫定政権発足(8月15日樹立)以来の現状を紹介してきた。9回目のここでは、1月3日に同通信社が報道した“Deafness cannot stop me from progress”の全文(英語)を紹介します。
フィロズコウ発:特別な学校で教育を受けているゴール州の多くのろう者たちは、障害にもかかわらず、進歩のために戦い続けているが、標準的なクラスがないことに抗議している。
ゴール州では、26人のろう者を教育するハイスクールが、州都のフィロズコウのグローバル・パートナー・フォア・エジュケーションによって設立された。同スクールでは現在、身体障害者と同州のための殉教者施設内の数教室だけで開かれている。
16歳のマータブは難聴で、それにも関わらず絵画や他の芸術で才能を発揮している。彼女はフィロズコウに住み、現在高校9年生、トップ・クラスの優等生の一人。彼女は最新の絵画の一つでゴリ王朝を描き、「障害者は不能者じゃない」と語った。なぜゴリ王朝を描いたのかと尋ねると、マータブは「彼らが働き者だから。彼らは王位に達するまで一生懸命勉強しました、なかでもスルタン・ラジアはゴリ王朝の指導者で、最も成功した女性の一人。「私は彼女のことを、すべてのクラスメートや、他の同じ志を持つ人々に伝えたい」と語った。
マータブは昨年、学校の近くで、自動車爆弾の爆発で目に負傷したが、教育を受け続けた。「私たちはクラスにいました。恐ろしい爆発が起こったのは午前10時ごろ。クラスメート18人が負傷し、とても恐ろしかったです。私も目に負傷しました。でも、学校をやめず、教育を受け続けました。」と語った。
ろう者のための学校は専用の建物はないし、聴覚障害者の学生は、いくつかの部屋で学んでいる。学生たちは、学校の科目を学ぶだけでなく、英語とコンピューターも学んでいる。
マータブは、先生たちから専門的なすべての科目を学び、プロジェクターの助けを借りて、コンピューター教育を受けたといっている。
マータブの兄のザボールは、「マータブは学習と絵画の芸術に大きな才能を持っており、限られた資源にアクセスできただけなのに、貴重な芸術を作ることができた」と語った。
ザボールはさらに「彼女は勉強と絵画に非常の興味があり、彼女の作品を見ることができます。彼女の障害は決して弱点ではなかったし、常に偉大な芸術を描きます」と重ねた。
聴覚障害者の学生は、教育のためのグローバル・パートナーに感謝し、彼らがより良い環境で教育を受けられるように、独立した校舎だけでなく、必要な施設を提供してくれるよう、アフガニスタン政府と国際機関によびかけた。
聴覚障害者学校の二人の教師、ノール・アハマドとハリルは、彼らが持っている資源は限られているが、生徒たちに質の高い教育を提供するために、多くのことを試みていると語った。
一方、殉教者と障害者の部門の責任者である、アブドル・ハキム・サミールは聴覚障害者のスキルと才能について知っていると述べ、政府や国際機関に、必要な施設を学生に提供するよう要請した。
「聴覚障害者な能力を持ち、良い人たちです。我々は彼らを助けています。現在、私たちは殉教者と障害者の二つの部屋を彼らと共有しています」と彼は語った。
フィロズコウ市の高校には、9人の女生徒を含む26人の聴覚障害者がいる。(了)
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