本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(342)
- 2022年 1月 21日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
マネーの残高と流通速度
12月15日に開催された「米国のFOMC」では、「テーパリングの加速」や「2022年に3回の利上げ可能性」などが顕著になったが、今後の展開を判断する時には、「1923年に発生したドイツのハイパーインフレ」も参考になるものと考えている。つまり、今回の「先進各国における大インフレ」については、「既存の経済学」だけではなく、「新たな理論」が必要とされる状況とも考えているが、実際には、「現在、どのようなマネーが存在し、また、どれほどの残高と流通速度になっているのか?」ということである。
より詳しく申し上げると、「1971年のニクソンショック」以降に創り出された「デジタル通貨」については、「1980年代初頭に誕生したデリバティブの成長により、ピーク時に約8京円という規模にまで大膨張した」という状況だったことも見て取れるのである。ただし、この時に必要なことは、「仮想現実と金融商品の存在」を理解することであり、実際には、「世界的なコンピューターネットワークの中で、世界中の人々がマネーゲームを繰り広げていた状況」のことである。
つまり、「お金は神様であり、お金があれば何でもできる」と信じた人々が、「地球環境の悪化」などを無視して、「デジタル通貨の奪い合い」に没頭した状況のことだが、現在の問題点は、「デジタル通貨の枯渇」であり、また、「現実世界への資金流入」とも考えられるのである。別の言葉では、「大量に存在する現代のデジタル通貨が、紙幣に変化して、現実世界になだれ込み始めた状況」のことだが、このような状況下で理解すべき点は、「マネーの残高と流通速度」とも言えるのである。
より具体的には、「大量に発行される紙幣が、回転速度を上げた時に、どれほどの需要が発生するのか?」ということでもあるが、現在は、「1922年8月時点のドイツ国民」のように、「ハイパーインフレの発生を、ほとんど信じていなかった状況」とも理解できるのである。つまり、「不都合な真実を考えたくない心理状態」であり、また、「マスコミの報道に惑わされている状況」のことだが、これから予想される展開としては、やはり、「現在のギャロッピング・インフレが、たいへん近い将来に、ハイパーインフレに移行する可能性」とも言えるのである。
つまり、「金利やインフレ率が10%台を超えた時から、約6か月間のハイパーインフレが発生する状況」を想定しているが、現時点では、「2023年の8月が、ハイパーインフレのピークになる可能性」を想定している次第である。(2021.12.16)
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トルコの金融混乱
数年前から始まった「トルコの金融混乱」は、現在、更なる深みへ導かれている状況となっている。具体的には、「通貨の防衛」のために、「金利の引き上げ」ではなく「金利の引き下げ」を実施したものの、結果としては、明らかな「失策」となり、今度は、「預金の保護策」を発表した展開のことである。つまり、一時的な「時間稼ぎ」が可能だったものの、「将来的に、再度、より大きな混乱状態が発生する状態」のことであり、この点は、たいへん近い将来に、先進各国で繰り返される状況を想定している。
そのために、今回は、「何が問題だったのか?」、そして、「どのような解決策が可能だったのか?」などについて考えてみたいが、基本的には、「実体経済」を上回る規模での「マネー経済」の存在が、さまざまな混乱を引き起こしたものと考えている。つまり、「為替」と「金利」には、「国家の体力」を判断するバロメーターとしての役割が存在するが、今後は、この点が、「先進各国の金融政策」に大きな意味を持つものと想定されるのである。
より詳しく申し上げると、現在の「トルコ」は、かつての「ソ連」や「ジンバブエ」などの国々のように、「国家の信用」が失われ、その結果として、「為替の暴落」と「金利上昇」に見舞われた状況とも言えるが、今回、驚かされた点は、「金利の引き下げ」や「国家による預金保護策」などの「前代未聞の奇策」が発表された事実である。別の言葉では、「常識的な理論とは違った政策を実施している状況」だったが、実際には、「一時的な時間稼ぎが可能となったものの、その後に、より大きな反動が発生する展開」となったのである。
そして、この点については、これから想定される「先進各国の金融大混乱、あるいは、大インフレ」に関して、「他山の石」としての役割が存在するものと思われるが、実際には、「小手先の政策」が混乱を収める効果を持たず、最後には、「古典的な解決策である大インフレ」に頼らざるを得なくなる展開のことである。別の言葉では、「大膨張した世界のマネーが、大量の紙幣に置き換わる状況」のことでもあるが、このことは、「フローである実体経済」と「ストックであるマネー経済」に関して、最後の段階で、必然的に発生する現象とも言えるようである。
より具体的には、「1600年前の西ローマ帝国」と同様に、「大膨張したマネーが、いわゆる『悪魔のひき臼』となり、精神的な堕落と財政破綻を引き起こした展開」のことであり、実際のところ、これから想定される「世界的な金融混乱と大インフレ」については、想像を絶するほどの規模になるものと感じられるのである。(2021.12.22)
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過去と未来の交錯日
15年ほど前に「過去と未来の交錯日」に気付かされて以降、「驚き」と「喜び」の感情を持ちながら、「暦のフラクタル(相似形)」を調べているが、現在は、「5年に一度の検証時期」に関して、今まで以上の「正確さ」を発揮している状況のようにも感じている。具体的には、「60年サイクル」と「60ケ月サイクル」の応用、すなわち、「同じ十干十二支の時に、同じような波動が発生する可能性」に気付かされ、「10年前」、「5年前」、そして、「現在」と検証を繰り返しているが、今回は、特に、大きな転換期に遭遇している状況のようにも思われるのである。
つまり、「デフレからインフレへの大転換」のみならず、「西洋文明から東洋文明への大転換」のことでもあるが、今回は、この点に関して、「2022年2月2日前後」が、最も注目すべき時期のようにも感じている。別の言葉では、「2月の動きを見ることにより、2022年の全体像が見える可能性」に期待している状況でもあるが、実際のところ、「2020年と2021年の12月」、そして、「2019年と2021年11月」などについては、それぞれ、「己亥(つちのと い)」と「庚子(かのえ ね)」という暦のとおりに、「一年の動きが一か月間に凝縮された状況」だったものと感じている。
そのために、今後の注目点は、「2022年の1月(辛丑)」が、同じ暦だった「2021年」と同様の波動を形成する可能性と、「2022年の2月(壬寅)」の動きが「2022年全体」を予測する可能性だと考えている。また、今後は、「時間のサイクル」に関して、「AI(人工知能)などの活用により、より詳しい研究が実施される可能性」にも期待しているが、この点については、「ケプラーによる西洋占星術と天体との関係性」や「東洋学の四柱推命学」などのように、以前から注目を浴びてきた状況のようにも感じている。
より具体的に申し上げると、「ケプラーからニュートンへ」という言葉のとおりに、「ケプラーが発見した天体のサイクル運動」と「ニュートンが発見した重力の法則」以降、「自然科学の発展」が顕著になったわけだが、今後は、「時間のサイクル」と「お金や心の謎」が解明されることにより、「社会科学の急速な発展」に期待している状況である。別の言葉では、「人間と人間の争い」である「戦争」や「デジタル通貨などの奪い合い」などではなく、「大自然との調和や共生を目指した技術革新の必要性」を痛感している状況でもあるが、実際には、今後、「軍事費」に多額の資金を費やしている国々が没落し、反対に、「ミクロの物理学」と言われる「量子力学」や「分子生物学」などが「社会科学」に応用できた国々の勃興に期待している次第である。(2021.12.23)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion11689:220121〕
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