こんな不真面目な政党に、今年も2億を超える政党交付金
- 2022年 1月 22日
- 評論・紹介・意見
- NHK問題澤藤統一郎議会制民主主義
(2022年1月21日)
昨日(1月20日)、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」という、ふざけた党名の政党が、党名を変更して「NHK受信料を支払わない国民を守る党」となった。この政党、発足当時は「NHK受信料不払い党」であったが、「NHK受信料を支払わない方法を教える党」や「嵐の党」などと党名変更を繰り返してきた。今回6度目の党名変更という。通称は「N党」あるいは「N国」だが、自らは略称を「NHK党」に統一してくれと言っている。さぞや、NHKには迷惑な話。
党首が立花孝志(元参議院議員)、副党首が丸山穂高(元衆院議員議員・維新所属)というから、どのみち碌なものではない。なお、丸山のホームページを覗いて少しだけ驚いた。その略歴欄に「副党首などを歴任」との記載はあるが、どこの党とは書いていない。N党の副党首とは書きたくないのだ。副党首ですら、所属党名を名乗るのは恥ずかしいと見える。そんな程度の政党でしかない。
私も、NHKを相手とする訴訟に関与してはいるが、けっしてNHKをぶっ潰すべきだとは思っていない。立花のような乱暴な遣り口にも眉をひそめざるを得ない。こんな政党の同類と思われるのは、甚だ心外である。NHKには、ジャーナリズムの本道に立っていただきたい。さらには公共放送にふさわしい「公正で豊かな」番組の放映と、それを可能とする運営を望む立場。
そのN党の党首・立花孝志が、昨日東京地裁において威力業務妨害などの罪名で有罪判決を受けた。量刑は、懲役2年6か月、執行猶予4年である。相当の厳刑と言わねばならない。
認定事実は次のようなものと報じられている。相当にタチが悪い。
(1) 2019年にN国党(当時)を離党した二瓶文徳中央区議に「こいつの人生潰しにいきますから」とユーチューブ上で発言した脅迫
(2) NHK集金人の持つ情報端末にある契約者情報を不正に取得してインターネット上に拡散させると脅し、NHKの業務を妨害したという不正競争防止法違反と威力業務妨害
この事件の論告で、検察は「立花が、不正に取得した情報は50件に上り、結果は重大だ」として、懲役2年6月、罰金30万円を求刑していた。弁護側は最終弁論で「正当な政治活動だった」と無罪を主張したが、結果は厳刑と言ってよいだろう。
判決のあとの会見で立花は「政治思想で行った犯罪なので一切反省していない。」「執行猶予の理由を裁判所に明確に説明してもらいたいので控訴する」「執行猶予が付けばなにも変わらない。党首を辞めるどころか、懲罰もない」「裁判官はある意味、これからも(NHKと)戦ってくれと言っているのかな」「僕自身は有罪になる可能性は承知のうえでやっている」「刑事罰を受けるんじゃないかなと想定しながら動いている」などと放言している。
政党名が不真面目であるだけでなく、その活動も、乱暴で不真面目きわまるのだ。
ところが、そんな不真面目政党も、政党助成法にもとづく政党交付金を受給している。
政党助成法による政党交付金の受給要件は、
①国会議員5人以上
②国会議員1人以上で、直近の衆院選か参院選、またはその前の参院選で選挙区か比例区での得票率が2%以上――のどちらかを満たすこと。
N党は2019年参院選挙で②の要件を満たし、以後次の金額の交付を受けている。
19年 6983万円
20年 1億6751万円
21年 1億7053万円
そして、今年も2億1100万円の受給が予定されている。もちろん、税金を財源としてのもの。
何とも腹立たしく不愉快な事態だが、こんな不真面目政党に投票する有権者が存在するのだから如何ともしがたい。もっとも、N党は現在参議院議員1名だけである。そして、昨年の衆院選得票率は1.4%であった。
今夏の参院選、課題の一つがこのN党の議席をゼロとすることができるか。有権者の真面目さが問われている。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2022.1.21より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=18406
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〔opinion11690:220122〕
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