本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(343)
- 2022年 1月 29日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
FRBの闇
昨年末、米国のFRB は、突如として、重要な情報開示を行った。具体的には、「2019年9月17日以降に、FRBが緊急融資を行っていた銀行名」であり、このことは、「2年以上も実名が明らかにされず、ドっド・フランク法の期限の直前に報道された」という状況を意味しているのである。そして、今回、報道された金融機関は、私の想定どおりに、「JPモルガン、GS、そして、シティ」という「デリバティブ取引の大手金融機関」だったが、「2021年の末に、この事実が報道された」ということには、「暦のフラクタル(相似形)」の観点からも、きわめて大きな意味があったようにも感じている。
つまり、「11月23日に想定していたXデー」について、「政府やメガバンクなどの力により、強引に隠蔽され、先送りされていた可能性」のことであり、また、この点について、「1月から2月にかけて、実証できる可能性」のことである。別の言葉では、「2022年2月2日」という「暦のフラクタル上、過去と将来が交錯する日」に向けて、「2021年の波動が、凝縮された形で、1月の相場に反映される可能性」のことである。
より具体的には、「2021年の展開」と同様に、「世界中の人々が、デフレからインフレへの認識変化を起こした状況」が、「2022年1月の相場に反映される可能性」のことである。あるいは、「FRBなどによる隠ぺい工作が功を奏し、今までは、世界中の人々が、金融混乱の本質を理解していなかった状況」に関して、間もなく、「何らかの大事件が発生し、一挙に、現実世界に引き戻される展開」のことである。
別の言葉では、現在の「デジタル(DX)革命のバブル」に関して、「FRBが異常な資金供給を行いながら、延命措置を実施している状況」のことでもあるが、実際のところ、この点については、すでに限界点に近づきつつある状況とも考えられるのである。具体的には、昨年の12月15日に引き上げられた「米国の債務上限」に関して、すでに、「急速な勢いで、残高の増加が進展している状況」となっているのである。
あるいは、「リバースレポ」という「短期資金の寄せ集め」に関しても、すでに、限界点に行き着いた可能性も考えられるために、現在は、徐々に、最後の手段である「紙幣の増刷」に訴え始めた段階とも想定されるのである。そして、この点が理解されるタイミングとしては、やはり、「2月2日」が予想されるわけだが、このことが、私自身の「第二番目の検証事項」であるとともに、「なぜ、11月23日の最初の検証が間違えたのか?」も説明可能な状況のようにも感じている。(2022.1.4)
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減少を始めた日銀の国債保有残高
1月5日付けの日経新聞では、「日銀の国債保有残高が、13年ぶりに減少を始めた可能性」が指摘されており、このことは、「政府による価格統制」が限界点を迎えた状況を表すだけではなく、「今後の金融大混乱」を示唆しているものと考えている。具体的には、「2008年前後のGFC (金融大混乱)」が「金融の大地震」であり、その後、「インフレの大津波」が、「量的緩和(QE)」の名のもとに押し寄せてきている状況のことである。
より具体的には、「日本の土地バブルの約30倍」という規模にまで膨らんだ「約8京円ものデリバティブのバブル崩壊」を隠すために、「日米欧の中央銀行が、国債の大量買い付けという、人類史上、空前絶後の愚策を実施した」というのが、今回の「量的緩和の実情」だったものと思われるが、現在では、いよいよ、「すべての手段が使い果たされ、紙幣の増刷以外に、打つ手が残されていない状態」に追い込まれたものと想定されるのである。
つまり、「2008年末に63兆円」という規模だった「日銀の国債保有残高」については、その後、「2021年11月末の時点で約529兆円」にまで大膨張したわけだが、このことは、「日銀が、国民の預金などを借りて、国債を買い付けた状況」を意味しているのである。別の言葉では、決して、中央銀行が行ってはいけない「財政ファイナンス」、すなわち、「政府の発行した国債を中央銀行が購入する」という行為を、実質的に、「日銀を始めとして、先進各国が大々的に推進した状況」とも言えるのである。
そして、結果としては、「未曽有の規模でのデジタル革命バブル」や「マイナス金利」などの発生により、「超低金利状態が継続し、国家の財政危機が隠蔽可能な状況」でもあったが、これほどまでの異常事態については、その後の反動に注目すべき状況だったことも理解できるのである。つまり、現在では、「民間金融機関に支払う金利が、保有国債から得られる金利収入を上回る逆ザヤに陥るリスク」が指摘されるとともに、「700兆円以上にまで大膨張した日銀のバランスシートに関する出口戦略」が危惧され始めているのである。
別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「世界的な信用本位制」という通貨制度に関して、「主たる貨幣であるデジタル通貨」が枯渇を始めたことにより、「金融システムや通貨制度の崩壊」までもが危惧される状況のことである。そして、このことが、私が最も危惧する「金融界の白血病」を意味しているが、この点については、現在、「私以外に、誰も指摘していない状況」、すなわち、「バブル期に特有の、崩壊しなければ理解されない状態」のようにも感じている。(2022.1.5)
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金庫や暗号の役割
昭和30年代の日本、特に、私が生まれ育ったような田舎町では、「夜、家に鍵をかける習慣」がなかったが、この理由としては、「ほとんどの家が貧乏であり、守るべき資産が、ほとんど存在しなかった」という点が指摘できるようである。しかし、その後の展開としては、歴史に残る「日本の高度経済成長」などにより、「家の鍵」だけではなく、「金庫」や「暗号」などの重要性が高まっていったことも見て取れるのである。
つまり、「貴重な資産の保存方法」として、「現金や紙の証券などを保有する金庫」が普及し、その後は、「デジタル通貨や暗号資産の保存方法」として、「暗号」の重要性が増していったという状況だったのである。別の言葉では、時代とともに、通貨の形態や価値が変化してきたわけだが、1971年のニクソンショック以降の注目点は、人類史上、初めて、「目に見えないデジタル通貨」が、貴重な資産に変化した事実である。
そして、この点に関して、私が最も危惧する変化は、「現在のデジタル通貨が、今後、ほぼ瞬間的に、雲散霧消する可能性」であり、実際には、おとぎ話の「浦島太郎」のように、「玉手箱を開けた途端に、白い煙とともに、一挙に、時代が進んでいたような展開」のことである。つまり、1971年から現在までの「信用本位制」を振り返ると、今までは、「コンピューターネットワークの発展」をキッカケにして、「デリバティブやデジタル通貨の大膨張」が、きわだっていたことも理解できるのである。
しかし、現在では、「人口増やマネー大膨張の弊害」、すなわち、「79億人にまで急増した人類が、大量の資金を使い、地球環境を悪化させている状況」の結果として、「人類自体が、地球と共生できなくなる可能性」までもが指摘されているのである。つまり、「西洋文明から東洋文明への移行」に伴い、「人々の意識や価値観」が大きく変化を始めた結果として、今までのような「デジタル通貨の奪い合い」から、「自分の命を、どのようにして守るのか?」が、より重要な「人生の目的」となりつつあるものと感じられるのである。
そして、このような状況下では、間もなく、「暗号資産やデジタル通貨の無価値化」、すなわち、「ハイパーインフレにより、紙幣のみならず、デジタル通貨や暗号資産までもが紙切れになる可能性」が高まっているものと感じている。つまり、これから予想される展開は、「人生において、何が、最も価値のあるものなのか?」が追及されるとともに、価値の無くなった「デジタル通貨」や「過去の個人情報」などに関しては、「守るための努力」が不必要となる可能性とも考えられるのである。(2022.1.6)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion11710:220129〕
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