本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(346)
- 2022年 2月 19日
- 評論・紹介・意見
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蝉を狙うカマキリ
2022年に入り、再び、「北朝鮮のミサイル発射」が注目を浴びているが、この時に思い出されるのが、「荘子の蟷螂窺蝉(とうろうきせん)」であり、このことは、「蝉を狙うカマキリ」と「カマキリを狙うカササギ」の話である。つまり、「自分の利益だけを考えて、差し迫った危険に気が付いていない状況」を表した寓話であるが、実際のところ、「北朝鮮のミサイル発射」については、「自国に有利な条件を引き出すための行為」とも考えられるのである。
しかし、この時に考えなければいけない点は、「北朝鮮に対する他国の思惑」であり、実際には、「中国や韓国、そして、日本やアメリカなどが、さまざまな思惑を持って、いろいろな行為を実施している状況」とも思われるのである。つまり、「軍事費を増加させながら、それぞれの国々が、自国に有利な状況に導こうとする態度」が見え隠れするわけだが、この結果として発生した現象が、「世界的な異常気象」とも考えられるのである。
より詳しく申し上げると、「数百年前から始まった、人類の資本主義的な行動」、すなわち、「自然を征服して、人類が快適な生活を送る態度」の結果として、現在では、「地球環境の温暖化」や「さまざまな自然災害の発生」という状況となっているのである。つまり、かつての「恐竜」と同様に、「人類は、このまま、地球に存在を許されるのだろうか?」という疑問が出始めている状況とも想定されるのである。
別の言葉では、「資本」という「お金」が、「主義」という「最も大切なものである」という意識や認識が、世界的に蔓延した結果として、「お金儲けのためなら、他国の侵略のみならず、人権の侵害や地球環境の破壊も厭わない」と考える人々が増えたものと思われるのである。つまり、現在では、「神は死んだ」という言葉のとおりに、「目に見える物質」の究極形とも言える「お金」を求めて、以前に重要視された「宗教」や「道徳」などが忘れ去られた時代となってしまっていたのである。
より具体的に申し上げると、「西洋の物質文明」が、「悪魔のひき臼」と言われる「マネーの大膨張」をもたらした結果として、「東洋の精神文明」が滅んでしまった状況のことである。つまり、「800年前に発生したルネッサンス(古代物質文明への回帰)」と反対に、現在では、「心のルネッサンス(古代精神文明への回帰)」が始まっているものと思われるが、この時に注意すべき点は、かつての「東ローマ帝国」のように、「物質文明を完全否定する態度」だと考えている。(2022.1.19)
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インフレと脱炭素の関係性
最近、気になる記事やコメントとして、「インフレと脱炭素の関係性」があるが、具体的には、「地球環境の保全には脱炭素が必要であり、この時に、物価上昇を意味するインフレは妨げになる」というような論調のことである。つまり、「インフレは地球環境にとって、好ましいものではない」というような結論とも思われるが、このことも、結局は、「正しい分析(分け方)ができないために、正しい結論に繋がらない状況」とも言えるようである。
具体的には、「プライスメカニズム」に関する「正しい理解」のことであり、実際には、「大量に存在するものは価格が低下し、より多く消費される傾向がある」という事実のことである。別の言葉では、「実体経済」と「マネー経済」との正しい分類のことでもあるが、実際のところ、過去数十年間は、「大量に創りだされたデジタル通貨の存在により、いろいろな実物商品の価格が不当に抑えられていた状況」とも想定されるのである。
つまり、現在の「地球温暖化」に関しては、大量に存在する「デジタル通貨」が、さまざまな商品の市場価格を歪めた結果として、適正な消費や分配が実施されてこなかった可能性も想定されるのである。そして、結果としては、「お金儲けのためなら、地球環境を破壊しても良い」と考える人々が増えた状況でもあったが、このことは、「西洋人の価値観」である「人類は、自然を征服すべきである」の帰結とも考えられるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「過去数百年間の歴史を研究して、地球温暖化の原因を徹底的に探り出すこと」であり、また、「11次元にまで上昇した自然科学を有効利用して、3次元のレベルにとどまっている社会科学を急速に進歩させること」だと感じている。つまり、「現時点における実体経済だけの研究」にとどまっている「経済学」を中心にして、「四次元」という「時間的な関係性」、あるいは、「五次元」という「あの世とこの世の関係性」などを加味することにより、「人間社会の実情」に関して、より高度な分析が可能なものと思われるのである。
別の言葉では、この変化が実現しない場合には、「地球上における6度目の大量絶滅」、すなわち、「かつての恐竜と同様に、人類の存在そのものが許されなくなる状態」も想定されるのである。つまり、一人ひとりの人間が、大リーグの大谷翔平選手のように、持って生まれた才能を発揮し、人類の発展に貢献する状況のことでもあるが、この時に必要なことは、「気付き」という「人類の覚醒」であり、このキッカケとなるのが、「現代の神様であるデジタル通貨が、単なる紙切れに変化する事態」だと感じている。(2022.1.21)
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米銀の一人勝ち状態
1月21日付けの日経新聞では、「米銀の一人勝ち状態」に関する記事が掲載されていたが、このことも、「GAFAMのバブル」と同様に、現在、最も注意すべきポイントだと考えている。つまり、過去20年余りの期間に発生した現象は、「デリバティブの大膨張と、その後に発生した金融のメルトダウン」であり、この点が理解できない場合には、「今後、どのような事態が訪れるのか?」に関しても、全くのお手上げの状態になるものと想定されるのである。
別の言葉では、「1971年のニクソンショック」以降、私が主張する「信用本位制の通貨制度」が具現化した結果として、「実体経済の約10倍」の規模となった「マネー経済」が出現した状況だったことも見て取れるのである。そして、結果としては、「仮想現実の世界に閉じこもった人類が、ゲーム感覚でお金儲けに励んだような状態」となったわけだが、現在では、「紙幣の増刷が、世界各国で、徐々に始まった結果として、実物商品の価格が急騰を始めた段階」とも言えるのである。
より具体的には、「海中に押し込められたビーチボールが、急速に、水面上に浮上し始めたような状態」のことでもあるが、これから想定されることは、「1923年のドイツ」などと同様に、「中央銀行が大量の紙幣を増刷して、中央銀行のバランスシートを急拡大させる展開」とも言えるのである。つまり、「バランスシートの収縮」という「大恐慌を誘発するような金融政策」ではなく、反対に、「バランスシートの急拡大」という「大インフレを誘発する金融政策」への大転換のことである。
そして、このような状況下で予想される展開は、「1991年のソ連」などと同様に、「あっという間に、物価が上昇し、通貨の価値が激減する事態」とも思われるが、今回の注意点は、やはり、「一国だけの問題ではなく、世界的な金融混乱となる可能性」とも言えるのである。そのために、現時点で必要なことは、「金融界の白血病」という「紙幣が、コンピューターネットワークの中を流れることができない事態」に関して、世界全体で、真剣に議論することだと感じている。
つまり、これから想定される「マネー経済のマヒ状態」に関しては、「コロナショック」という「実体経済のマヒ状態」と比較して、「約10倍の規模」となるものと思われるために、今後、必要とされることは、「軍備費の拡張」などではなく、反対に、「世界的な知恵の結集」だと考えている次第である。(2022.1.22)
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中国不動産バブル崩壊の実情
1月25日付けの日経新聞に、「中国不動産バブル崩壊の実情」に関する記事が掲載されていたが、この中で推計されていた「95.6兆ドル(約1京900兆円)」という「中国の住宅時価総額」から判断できることは、「日本の土地バブルの約4倍」という規模であるとともに、「日本とは違い、問題の先送りができない状況」だと言えるようである。つまり、「現在の中国」と「30年ほど前の日本」の不動産バブルとの違いについては、「バブルの発生については、極めて似た状況だったものの、バブル崩壊後の展開に、大きな違いが存在する可能性」が指摘できるものと思われるのである。
より具体的に申し上げると、「不良債権の発生」と「金融システムへの影響度」に関して、「30年前と現在とでは、きわめて大きな違いが存在するのではないか?」と考えているが、実際には、「想定元本の約1割」と言われる「不良債権の総額」に関して、「民間金融機関と中央銀行が、今後、どのように処理するのか?」ということである。別の言葉では、「日本の土地バブル崩壊」の場合には、その後、「欧米を中心にしたデリバティブのバブル発生」により、「超低金利状態の維持」が可能となり、その結果として、「約30年間の時間をかけて、徐々に、民間の不良債権を償却した」という状況だったのである。
ただし、この時の副作用として発生した現象は、「国家の債務膨張」だったが、この点については、「民間金融機関の簿外取引として実施されたデリバティブ」と「中央銀行のバランスシート」を大膨張させることにより、問題の先送りが可能な状況だったのである。つまり、現在の中国は、「不動産バブルの崩壊」が発生しながらも、「30年前の日本」とは違い、「金利上昇により、きわめて短期間のうちに、多額の不良債権が金融システムを崩壊させる可能性」が危惧される状況となっているのである。
そして、このことが、「海中に押し込められたビーチボールが、急速に、水面上に浮上し始めたような状況」、すなわち、「世界の金利とインフレ率が、今後、急速に上昇する可能性」を示唆しているものと想定されるのである。具体的には、「中国の住宅時価総額の約1割」である「約1100兆円」もの不良債権が発生する可能性である。
しかも、今回は、「欧米のデリバティブバブル崩壊」と重なるために、現在では、「コロナショック」という「新型のインフルエンザ問題」から、「世界的な大インフレ」という「新型のインフレ問題」への移行が始まった状況であるとともに、タイミングについては、「待ったなしの状況」のようにも感じている。(2022.1.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion11770:220219〕
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