SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】465 脅されても、西サハラはEU・AU首脳会議参加
- 2022年 2月 20日
- 評論・紹介・意見
- EU・AU首脳会議サハラ国際赤十字平田伊都子西サハラ
「Not inflame ! あおりを止めろ!」2022年2月14日の記者発表で、緊迫したウクライナ情勢に関して、グテーレス国連事務総長が声明を発表しました。 名指しはしませんでしたが、ロシアのウクライナ侵攻を煽り続けるバイデン大統領に向けたものであるようでした。
日本でも、2020年から「あおり」運転は、違反一回で免許取消処分となり、最長5年懲役又は罰金100万円の厳しい罰則が科されます。
① <あおり>がお好きなバイデン:
プーチン・ロシア大統領、ロシア外務大臣、ロシア国連大使と、全てのロシア高官が戦争はしないと明言している中で、アメリカとその同盟者は、The war imminent(目前の戦争)と、連日唱え、2月17日にバイデン米大統領はホワイトハウスで記者会見を開いた。「我々には、彼ら(ロシア)が侵攻の口実を得るために(攻撃を受けたと自作自演する)偽旗作戦を実行していると信じるに足る根拠がある」とあおった。
その後、国連安保理にブリンケン米国務長官を送り込み、「ロシア国内でのいわゆる爆弾テロや、集団墓地の発見をでっちあげたり、民間人に対するドローン攻撃を自作自演したり、化学兵器を使った偽の、場合によっては本物の攻撃などが考えられる、、そして、こうしたことが行われた後、ロシア政府はおそらく、ウクライナ国内のロシア系民族保護に関する緊急会議を芝居じみたかたちで招集し、同国のミサイルや爆弾による攻撃と、サイバー攻撃が始まるだろう」と、あおりに拍車をかけた。しかし、集結した欧米の部隊も、衛星映像会社の米マクサー・テクノロジーも、「ロシアがウクライナに侵攻しようとしていると確実に証明するものはない」と強調している。
一方、グテーレス国連事務総長はドイツのミュンヘンで行われた、<安全保障に関する定例国際会議>の開会式で2月18日に演説をした。会議のテーマは、緊迫するウクライナ情勢で、国際社会が協力して<流れを変えよう>というものだ。ブリンケン米国務長官やハリス米副大統領などが出席したが、ロシアは代表を送らなかった。ウクライナのゼレンスキー大統領は19日に登場し、「ヨーロッパと世界の安全保障システムはもはや機能していない。ウクライナを本気で助けたいのなら、侵攻の予告などしないでくれ!」と語った。
ミュンヘンの後、国連事務総長はブリュッセルに立ち寄る。ブリュッセルにはウクライナ紛争に関してアメリカと同調するNATO(北大西洋条約機構)の本部がある。EU(ヨーロッパ連合)の本部もある。
さて、2022年11月8日に行われるアメリカの中間選挙では、連邦議会上院の議席の3分の1(34議席)と下院の全議席(435議席)が改選される。現在、バイデン民主党がリードする議席数はわずかで、上院では0議席、下院では9議席だ。最近の情報では、民主党議員の多数が立候補しないとのことだ。共和党が上下院のいずれか、ないし両方で過半数を獲得すれば、大統領は勝手気ままができなくなる。バイデン大統領は<他国をあおる強い戦争大統領>をアメリカ国内の有権者に見せつけ、イラク戦争で90%以上の支持率を上げたブッシュ戦犯大統領に倣いたいようだ?、、が、他国は大いに迷惑している。
② モロッコの脅しにめげず、西サハラ難民大統領EU(ヨーロッパ連合)・AU(アフリカ連合)首脳会議に参加:
MAPモロッコ国営通信は王室声明として、「モハンマド六世陛下は金曜日、ブリュッセルで開かれていた第6回EU・AU首脳会議にメッセ―ジを送られた」と、伝えた。モロッコ国王の代理として、ナセル・ブリタ外務大臣をEU・AU首脳会議に派遣した。その一方で、モロッコ議会とEU議会の有志代表ラフセン・ハダド・モロッコ議員が2月16日に、EU議会の仲間に宛てて抗議文を送った。ハダドは、「王国議員たちは、EUがブラヒム・ガリと称するポリサリオ・リーダーのEU・AU首脳会議参加を認めたことを知って、驚愕した。奴は、昨年の4月に偽名でスペイン入国をした、しかも、人道的犯罪を問われているお尋ね者だ。そんな輩を参加させることは、モロッコ王国とヨーロッパの、さらには地中海を挟んだ両大陸の威信を深く傷つけることになる。ブラヒム・ガリは、アルジェリア・チンドゥフにある難民キャンプで起きたレイプ、拷問、不法拘束などの犯罪に関わっていただけでなく、国際援助団体からの支援物資を横領してきた。破廉恥で非人道的な犯罪で、ガリは起訴されている。EU(ヨーロッパ連合)は彼を入れるべきではない」と、EUに強く迫った。
ベルギー・ブリュッセルの第6回EU(ヨーロッパ連合)AU(アフリカ連合)首脳会議に参加するブラヒム・ガリ西サハラ難民大統領
モロッコは、あらゆる国際会議から西サハラの排除を企んできた。モロッコの妨害は、TICAD7で日本も経験済だ。2019横浜TICADでもモロッコは西サハラの参加を拒み続け、日本はモロッコに忖度してアフリカ55か国の国旗掲揚を止め、皇居表敬や正式宴会から西サハラだけを外した。それでも西サハラにとって、国際会議参加は大きな意義がある。
2月18日、EU・AU首脳会議の<平和と安全保障>分科会で、ガリ西サハラ難民大統領は、「今まさに、EUがAUと足並みを揃えて、西サハラ紛争解決に取り組むべき時が到来した。西サハラの脱植民地化は、元宗主国が母体であるEU(ヨーロッパ連合)が取り組まなければならない課題だ。45年以上も苦しんできた西サハラ人民のために、欧州社会と欧州議会と欧州司法局とが一体となって、恒久的で西サハラ人民の尊厳を守る、西サハラ紛争解決策を一日も早く打ちだしてほしい」と、並みいる元ヨーロッパ宗主国指導者の面前で、基調演説をした。
③ モロッコの誹謗中傷にめげず、国際赤十字の支援は続く:
西サハラ難民政府とアルジェリア政府が結託して、難民キャンプへの支援物資を横領してきたという噂を、モロッコは事ある毎に流してきた。モロッコは、横領にUNHCR(国連難民高等弁務官)やWFP(世界食糧計画)なども絡んでいると、強調してきた。
噂の捏造発信元は、オマル・ヒラール・モロッコ国連大使で、長い外交官生活で得た縁故者と報道関係者を駆使して拡散している。最新の捏造作品は、<西サハラ難民キャンプでの少年兵養成>で、アルジェリア政府と西サハラ難民政府が共謀して、西サハラ難民キャンプをテロの温床にしている。両者は北アフリカのテロ組織と繋がっている」というものだ。2022年2月17日にはモロッコ人米国留学生を集めて、<少年兵>の講演をやった。
そんな噂を軽く吹き飛ばして、2月16日にフランチェスコ・ロッカ国際赤十字赤新月社連盟会長が、アルジェリアのチンドゥフにある西サハラ難民キャンプを訪問した。 サイダ・ベンハビレス・アルジェリア赤新月社会長とブベニ・ヤヒヤ西サハラ赤新月社会長が、ロッカ国際赤十字赤新月社連盟会長に同行した。
国際赤十字赤新月社は、各国赤十字社(152か国)、赤新月社(33か国)及びマーゲン・ダビド公社(赤盾社)の連絡調整を目的とする世界最大の人道主義団体だ。スイスのジュネーヴ本部と世界中をカバーする14地域事務所を有し、63か国に代表を設置している。1919年(大正8年)アメリカ合衆国、イギリス、フランス、イタリア、日本の5カ国代表により赤十字社連盟としてパリに設立した。1939年 – 第二次世界大戦勃発により中立国スイスのジュネーヴに移転した。
フランチェスコ・ロッカ連盟会長は8年間の任期を全うした近衛忠輝前国際赤十字赤新月社連盟会長の後を継ぎ、2018年から現在に至っている。イタリア人で弁護士の資格を持つロッカ連盟会長は、2013年から2017年までヨーロッパ赤十字社の副総裁を務め、2009年から2013年までイタリア赤十字社社長を務めていた。
オリンピックは参加するほどの意義はないけど、西サハラ難民・被占領民が国旗を掲げて国際会議に参加することは、大きな意義があります。 拉致の危険性があっても、西サハラ難民大統領はSADR(サハラウィ・アラブ・民主共和国)の命運を賭けてEU・AU首脳会議に参加しなければなりません。
チョと恥ずかしい大袈裟な言葉ですが、、本当です。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年2月20日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11772:220220〕
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