くらしを見つめる会つーしん NO.218から 2022年2月発行
- 2022年 3月 14日
- 交流の広場
- 村山起久子
亀岡駅北開発・スタジアム関連訴訟の原告になって
約7年に渡る裁判が『棄却』と、原告としてすら認められずに終わりました。裁判なんて、私には無縁の世界だと思っていました。でも、あの日、(台風18号の洪水で太古・湖だった亀岡に戻ったかのように浸水した)亀岡を訪れた当時の京都府知事が、「スタジアムは嵩上げした上に建てるから大丈夫」と言われたのです。366戸もの家が浸水被害にあった最中に、住民に対する言葉はひと言もなく、です。そして、「自分の土地が開発されることによって水害が大きくなるのは許されない」と、一人の地権者が立ち上がったことが私の背中を押しました。仲間と一緒に被災地の一軒一軒知らない家を訪問して、原告を募り、153名の原告が立ち上がりました。その後、原告を応援してくださる方々による「亀岡駅北開発・スタジアム関連訴訟を支える会」が発足しました。
2014年12月から2021年2月に渡る約7年もの間、手弁当で私たち原告の弁護をしてくださった弁護士の先生方、治水やアユモドキ、経済効果などについてのアドバイスをくださった専門家の方々、そして裁判を支える会の皆様の力がなければ、とてもここまで来られませんでした。7年は長く、原告や支えてくださった何人かの方が亡くなられました。水害に遭うような危ない土地から引っ越された方もあります。
今、保津大橋をはさんで田園風景の広がる天国と、スタジアムのある地獄があります。ある支援者が言われた「全国どこに行ってもあるような町になってしまった」という言葉が胸に突き刺さります。人口が減り、大きな災害が起こる中、全国的に災害リスクの大きい土地には住まない、公共施設は作らない方向に向かっています(なぜか亀岡は逆行していますが)。誰かが知らない間に決めたことを、もう決まったことだからとあきらめるのではなく、おかしいことはおかしいと声を上げ続けることが、人間らしく生きていくことになるのではないかと思います。
いろんな事件や災害は決して他人事ではありません。誰もが当事者になり得るのです。何か困ったことが起これば、声を上げていくことが世の中をより良い方向へと進めていくことになります。原告になることはすぐには決められませんでした。最初の一歩を踏み出すには勇気が要ります。でも、一歩進めば、また次の一歩が踏み出せます。そしてまた一歩。人間はそうやって一歩一歩進んでいくのではないかと思います。例え亀の歩みのようにゆっくりであったとしても、目指す方向へと歩み続けます。 (池上素子)
*駅北開発スタジアム関連訴訟とは
現在サンガスタジアムが建ち、高層マンション等建設中の場所は長年、水害被害を防ぐための遊水地として開発が抑制されてきた。ところが行政は、「日吉ダムができたから浸水の心配がなくなった」と開発を認可。その後、台風18号の洪水で広範囲に水没。被害者らが認可取り消しを求めて起こした裁判
……中略……
♪こんな本いかが?
「日本ってどんな国?」 本田由紀著 ちくまプリマ―新書
世界のデータを比較して日本がどんな国かを問う本著。ジェンダーギャップの酷さは言うに及ばず、それがもたらす社会の歪み・停滞。教育について、高校入試は当たり前と思っていたが、他国は入試がなく地域の高校へ行く。対して日本では、学力テストで輪切りにされて高校間格差が大きく、家族資本(出身家庭の資源の豊かさ)が生徒の学力(将来)に大きく影響、格差が固定化してしまっている。政治への関心、社会問題の解決、政策決定への参加、子どもや若者の意見の反映など、日本は軒並み最少。自己効力感が低く、他者に冷酷、エライ人に従う権威主義傾向が強い・・。比較調査から見えてくる日本の現状はあまりに悲しい。けれど、あきらめたら終わり。現状を知って、日本社会の問題や課題を変えていこう!と著者。現状と向き合い、変えていくしかない。
〈編集後記〉
ワクチンの話題が多くなって恐縮ですが、「子どもへのワクチン接種」が認可され、マスコミから接種を勧める方向での情報ばかり流されている今、少しでもと、書きます。ネットも含めワクチンに関わるデメリット情報への規制は異常で、事実に基づく情報も削除され、マスメディアは厚労省が公表している接種後の死者数さえ、地方紙がちらほら報じる程度。
*2022年1月厚労省公表・接種後死者が1444人〈内・未成年者5人〉、社会復帰できないほどの重篤な副反応は6370人〈20代以下954人〉。
ワクチン接種会場で突然死された方を含め、接種と死との因果関係は1件も認められておらず、報道もされない。特に若くて元気だったのに亡くなった方、苦しんでいる本人や家族はどんな思いでおられるのか。そもそも緊急承認されたこのワクチンを人体に用いるのは初めてで、2023年5月までは臨床試験中。数年後、数十年後の安全性を含め、わかっていないことばかり。インフルエンザワクチンなどと比べても桁違いの死者や重篤な副作用が出ているのに問題にされないまま。民主主義国と思っていたいくつもの国が強制接種しようとしている現状を見て、民主主義とは?正しい情報とは?と考えさせられています。命は何より大切。なのにワクチン接種による死は顧みられず、補償もされない。コロナ禍で追いつめられている人々の暮らしは補償されない。何でも自己責任にされてしまう日本。一方的な情報の中で選択を迫られる、異常事態の今ほど熟慮が必要な時はない、と思います。(きくこ)
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