「ウクライナに平和を!原発に手を出すな!」 東京で、さようなら原発緊急集会
- 2022年 3月 23日
- 評論・紹介・意見
- ウクライナ原発岩垂 弘
「ウクライナに平和を」「原発に手を出すな」。2500人を超える人々のコールが、花冷えの会場に響き渡った。快晴の下、東京・代々木公園で3月21日(月・祝日)に開かれた「ウクライナに平和を!原発に手を出すな!3・21市民アクション」は、「戦争反対」と「脱原発」を訴える大合唱となった。
市民アクションの開催を呼びかけたのは、2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の爆発事故以来、脱原発運動をリードしてきた「『さようなら原発』一千万署名市民の会」と、「戦争をさせない1000人委員会」。
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が今なお拡大するばかりか、プーチン・ロシア大統領が核兵器使用を示唆したり、ロシア軍がウクライナ国内の原発を占拠するなどの行為が伝えられているところから、市民の会、1000人委員会としては「さらに一般市民の犠牲者が増えかねない」「原発が戦争に使われる恐れが出てきた」と危機感を深め、急きょ、ロシアに停戦・即時撤退、原発への攻撃・占拠の中止を求める集会を計画したという。
ロシア軍がウクライナに侵攻した2月24日以来、全国レベルの脱原発運動団体によるウクライナ反戦集会は初めてだ。
集会は午後0時半に開会。参加者は「2500人以上」と発表されたが、日教組、私鉄総連、JR総連など旧総評系労組の組合員や護憲団体、宗教団体の関係者が目立った。
集会では、諸団体の代表や関係者があいさつや報告をしたが、市民の会呼びかけ人の1人でルポライターの鎌田慧さんは、まず「ロシア軍は女性や子どもたちを攻撃している。これは人道にもとる。ロシア軍は1日も早く戦闘をやめ、撤退すべきだ」と発言。
次いで、ロシア軍がウクライナの原発を攻撃・占拠していることに言及し、「原発が戦争にも使われる恐れがでてきた。原発はこれまでエネルギーを供給するものと考えられてきた今や今や戦争の手段に使われようとしている。こんなことは初めてのことで、原発が私たちにとって極めて危険なものであることが、改めて明らかになった」と述べ、「原発はそもそも核兵器から生まれたものだ。今こそ私たちは核からの脱却を目指さなくては」と訴えた。
続いて登壇した、やはり市民の会呼びかけ人の1人で作家の落合恵子さんは「メディアによる報道はさまざまで、何が本当の事実なのか私たちには分からない。しかし、私たちは、これだけは言える。『これは戦争なのだ。戦争ははやめろ』と」と話し、今こそみんなして反戦の声を挙げようと訴えた。さらに、「ウクライナ情勢を機に、元首相が、日本は米国と核兵器のシェアリング(共有)をすべきだなどと言い出した。加えて、国民民主党の玉木代表が、わが国の非核3原則を見直そうと言い出した。どちらも、時勢に便乗したとんでもない発言で、許せない」と述べ、日本の政界に起きている動きを注視するよう呼びかけた。
骨折で歩行困難のため杖を突きながら登壇した、市民の会呼びかけ人の1人で作家の澤地久枝さんは「わたしは91歳。この歳になって、こんなブラカードをかかげてデモをしなくてはならない日がくるなんて思ってもみなかった」と切り出し、ロシア軍のウクライナ侵攻が澤地さんにとっていかに衝撃的なものだったかを表明した。
そして、「目の前で肉親を殺されるウクライナの人たちの思いはいかばかりか」と、その心情に思いをはせた後、ロシア軍による原発占拠について「ロシア軍の占拠の狙いは何だろう。ウクライナ国民をおどかすために使おうというのだろうか」と強い懸念を表した。
集会の最後は、参加者全員によるコール。それは「ウクライナに平和を」「原発に手を出すな」「戦争反対」「侵略はやめろ」の4つだった。その後、参加者は渋谷までデモ行進した。
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