本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(353)
- 2022年 4月 9日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
プーチンの思惑
最近、海外で言われ始めたことは、「プーチンの思惑」が、「核戦争をちらつかせながら、西側諸国の金融システムを崩壊させることにある」というものであり、実際には、「ロシアへの経済制裁」を実施させることにより、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」を崩壊させる目論見のことである。そして、この計画には、「ロシア中央銀行の女性総裁」である「ナビウリナ氏」が関わっているとも推測されているが、基本的には、「1991年のソ連崩壊以降、西側諸国の金融システムが、どのような変遷をたどったのかを、詳しく分析しながら、今回のタイミングを狙った」とも理解されているようである。
つまり、「インフレ率や金利の上昇」により、「西側各国の中央銀行は、すでに、崩壊の危機に瀕している」という認識のもとに、「小麦の主要生産国であるウクライナの獲得を目論んだ」というものである。そして、この時に、「第三次世界大戦に対する恐怖心」を利用しながら、「米国の動きをけん制した」とも理解されており、また、今後の展望としては、「西側諸国の金融混乱を引き起こすことにより、中国などの共産主義と手を組みながら、ロシア帝国の復活を目指す」というものである。
別の言葉では、「中国共産党との協調」であり、実際には、「軍事力を基にして、世界制覇を狙う」という理解のことだが、このことは、実際のところ、いろいろな点で、時代錯誤的な考えとも言えるようである。つまり、現在では、「地球温暖化がもたらす異常気象」などにより、「人類の存続」そのものが危機的な状況となっており、そのために、現時点で必要なことは、「人類同士の争い」ではなく、「人類が協力して、地球と共生できるための技術やアイデアの研究」とも考えられるからである。
より具体的には、100年ほど前から始まった「量子力学」や「分子生物学」などの「更なる発展」を考えることであり、このことは、実際のところ、「西洋の物理学」と「東洋の仏教」の融合のようにも感じている。つまり、「仏教の三界」、すなわち、「法界」という「ビッグバン以前の世界」、そして、「色界(大自然界)」という「ビッグバン以降の世界」において、「欲界(人間社会)が、どのようにして発展を遂げたのか?」を考えることである。
そして、これらの研究から理解できることは、「世界の絶えざる進化と創造の過程」において、「現在が、まだ、未熟な段階に位置している事実」であり、また、現在の「さまざまな混乱」については、「ヘーゲルの弁証法」や「仏教の悟り」などが教えるように、「成長過程における必要悪」のようにも感じている。(2022.3.5)
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浦島太郎の玉手箱
「2022年の2月」については、「歴史的なサイクル」や「マネー経済の実情」、そして、「暦のフラクタル」などの観点から、「時代の激変を告げる大事件の発生」を想定していた。具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」を予想していたが、実際に発生した大事件は、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻」であり、この事件をキッカケにして、世の中は、一挙に、「グレートリセットの時代」に突入したものと感じている。
具体的には、「竜宮城から帰った浦島太郎が、玉手箱を開けたような状況」のことであり、実際には、世界中の人々が、一斉に、「20年以上にも及んだ超低金利時代」が産み出した「仮想現実の世界」から「現実世界」に引き戻された状況のことである。別の言葉では、「金融界のブラックホール」とでも呼ぶべき世界で、「デジタルに関する技術や通貨などを使って、さまざまなビジネスが産み出された状況」のことである。
より詳しく申し上げると、「歴史のサイクル」において「時空の歪み」とでも呼ぶべき状態が発生したわけだが、実際には、「デリバティブが創り出したデジタル通貨」が「人々の欲望」を全開にした結果、「地球環境の悪化」などを無視した「マネー(お金)が神様となった時代」が作り出されたのである。別の言葉では、「文明法則史学」が教えるように、「西洋の唯物論的な社会」から「東洋の唯心論的な社会」への移行期に差し掛かっていながらも、ほとんどの人々が、この事実に気付かなかった状況のことである。
しかし、「どのようなバブルも、必ず、弾ける運命にある」ということが「歴史の教訓」であり、今回も例外ではなかったわけだが、これから必要なことは、「玉手箱を開けた浦島太郎が、その後、どのような人生を送ったのか?」、すなわち、「時空の歪みが解消された世界において、今後、どのような展開が予想されるのか?」を考えることである。つまり、今回の「グレートリセット」に関して、「どれほどの理解と認識を持っているのか?」ということであり、実際に必要なことは、「世界のマネーが、1600年前の西ローマ帝国の崩壊時と、同様の状態になっている事実」を把握することだと感じている。
ただし、「現在」と「1600年前」との違いは、当然のことながら、膨大な「知識」や「技術」などの蓄積であり、そのために、これから必要とされることは、「すべての人が、ニーチェが指摘する超人となる状況」であり、この時の方法論としては、「大谷翔平選手」が示したように、「曼荼羅を使用しながら、弘法大師の三密加持を実現すること」だと考えている。(2022.3.9)
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米国の中央銀行デジタル通貨
「バイデン米大統領は、3月9日に、『デジタルドル』の研究を連邦政府に指示する大統領令に署名した」と報道されたが、この理由としては、やはり、「中央銀行の資金繰り」に関して、大きな問題が発生する可能性が指摘できるようである。つまり、現在の「金融システム」は、「100年ほど前に設立された世界各国の中央銀行」を中心にして、「部分準備銀行制度」が採用されており、現時点では、「中央銀行のバランスシートを、今後、どのようにして増やすのか?」に関して、大きな問題が発生し始めているのである。
具体的には、今まで、「量的緩和(QE)」の名のもとに、「ありとあらゆるところから資金を借り入れて、国債の買い付けを行い、超低金利状態の維持に努めてきた状況」だったが、現在では、「最後の手段である紙幣の増刷に訴えざるを得ない状態」にまで追い詰められているのである。つまり、「過去の歴史」が指摘するとおりに、「中央銀行は、最後の段階で、資金繰りを賄うために、大量の紙幣増刷を実施する」という展開のことだが、この時の問題点は、現在の「世界的な資金移動」が、「SWIFT」の仕組みからも明らかなように、「数字に関する情報が流れていただけの状況」である事実とも言えるのである。
別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制とも言える通貨制度」に関して、根幹を揺るがす事態が発生しかかっており、そのために、現在では、「紙幣の代わりに、中央銀行のデジタル通貨(CDBC)は発行可能なのか?」ということが議論されているものと想定されるのである。そして、この点については、「無制限の資金供給を、どのようにして実施するのか?」ということが、最も重要なポイントであり、この時の注目点は、「紙幣であろうが、デジタルドルであろうが、結果に違いがない事実」とも考えられるのである。
より具体的に申し上げると、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻」が「軍事力による現状変更」と言われているように、「中央銀行による無制限の資金供給」については、「資金力による現状変更」とも考えられるからである。つまり、今回の「デジタル通貨」については、「国家の債務などを、デジタル通貨によって棒引きにする思惑」とも言えるようだが、この方法については、「既存の金融システムを、瞬間的に崩壊させる効果」が存在するものと想定されるのである。別の言葉では、「金利」で機能している「預金」や「債券」、そして、前述の「部分準備銀行制度」が完全に崩壊する可能性のことでもあるが、現時点で危惧されることは、やはり、「デリバティブの時限爆弾破裂」などのように、「金融システムに関する大事件の発生」とも言えるようである。(2022.3.10)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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