ウクライナ紛争の要因を探る:アンヌ=ロール・ボネル作 “ドンバス-2016“
- 2022年 4月 16日
- 時代をみる
- ウクライナ問題グローガー理恵
写真:ウクライナ軍 ー 2015年3月、ドンバスにて CC BY 2.0
撮影:OSCE Special Monitoring Mission to Ukraine
ウクライナ人の父をもつフランス女性ジャーナリスト・アンヌ=ロール・ボネル氏が作成したドキュメンタリー「ドンバス-2016」については、ちきゅう座に掲載された、 ピースフィロソフィー著の記事 “フランス人のアンヌ=ローレ・ボネル監督によるドキュメンタリー映画『ドンバス』(2016)と、「ウクライナ戦争に関するノート」” を読んで知るようになった: http://chikyuza.net/archives/118267
ピースフィロソフィーは、「ドンバス-2016」が製作された背景を次のように説明している:
「(映画は)2014年ウクライナで、「マイダン革命」といわれる、米国をバックとしたクーデターが起こされ、ヤヌコビッチ大統領は国外脱出を余儀なくされ、新しく大統領になったペトロ・ポロシェンコ大統領の衝撃のスピーチで始まる。…… これは、2014年10月23日、ポロシェンコ大統領がオデッサで行った演説とのことだ。」
ポロシェンコ大統領がオデッサで行なった演説内容は下記のようになる(動画の日本語字幕を引用)。なお、ここでポロシェンコ大統領が述べている”彼ら”とは、ロシア系の人々が多いドンバスの住民のことである:
「私たちは仕事にありつけるが、”彼ら”はそうはいかない!
私たちは年金が受けられるが、”彼ら”はそうならない。
私たちの年金受給者と子どもたちは様々な恩恵を受けられるが、”彼ら”はそうはいかない。
私たちの子どもたちは毎日学校や保育園に通う。
だが”彼ら”の子どもは洞窟で暮らす。
つまり、”彼ら”は何もできないのだ。
これこそが、我々が、この戦争に勝つ理由.なのだ。」
2014年12月、アンヌ=ロール・ボネル氏は、このペトロ・ポロシェンコ大統領の演説映像を発見した。 そして、2015年1月15日、彼女はパリを出発し、ウクライナ東部ドンバスに向かった。 ドンバスの住民に会って、彼らの証言を蒐集しドキュメンタリーを作成するためであった。
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ドキュメンタリー ”ドンバス-2016” は、西側では決して報道されることのない、ウクライナ東部で起きている衝撃的な事実を映し出している。
数週間前、私は、”ウクライナ善、ロシア悪の善悪論”に徹底していたドイツ人の友人に「”ドンバス-2016”をぜひ観てほしい」と、メールに書いて、この動画のリンクを送った。その後、友人からメールがあり、メールにはこう書かれてあった:「このドキュメンタリーを観て、これまでの自分のウクライナ紛争についてのとらえ方が変わりつつある」と。
そして最近、”ドンバス-2016”が日本語字幕つきで、ネットにアップされていることが分かった。動画へのリンク:
ウクライナ紛争の背景要因を理解するために、できるだけ多くの方々が、オープンマインドで、このドキュメンタリーを観てくださることを願っている。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4901:220416]
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