本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(354)
- 2022年 4月 16日
- 評論・紹介・意見
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平気で嘘を付く人々
最近、気にかかる点は、今回の「プーチン大統領」を筆頭にして、「世界各国で、政治家や官僚などが、平気で嘘を付き続けている事実」であり、また、「嘘の隠ぺいのために、権力を行使する状況」である。そして、このことは、「東洋学における歴史サイクル」が教える「崩壊から創業への大転換」を意味しているものと思われるが、具体的には、「秩序の形成」から始まる「創業の時代」が、その後、「保守化の時代」から「因循姑息(事なかれ主義)の時代」へ移行し、最後の段階で、「秩序の崩壊」が始まる過程のことである。
ただし、この時に注目すべき点は、「崩壊の中に、創業の芽が含まれている状況」であり、実際には、「陳腐化した既存の秩序」に飽き足らない人々が、「異端的な事業を始める状況」などのことである。別の言葉では、「既存の秩序を守ろうとする人々が、平気で嘘を付き、また、権力の行使に訴える状況」を見た人々が、「自分の良心に目覚める過程」とも言えるようである。
しかも、今回は、「文明法則史学が教える800年サイクル」とも合致しているために、これからの大混乱については、未曽有の規模になるものと考えているが、このような状況で必要なことは、「お金の基となる人々の信用が、どのようにして産み出されるのか?」を理解することだと感じている。別の言葉では、「嘘を付くことによって、どれほどの信用崩壊が発生しているのか?」を理解することであり、また、「マネーの歴史」が教えるように、「現代の通貨制度が、どれほど特殊なものであるか?」を認識することである。
そのために、現時点で必要なことは、「現在と似た状況にあった1600年前に、どのようなことが起こったのか?」を理解することだと感じているが、実際には、「軍事力を誇示した西ローマ帝国が、資金力の崩壊、すなわち、通貨の堕落によって崩壊した事実」とも言えるのである。つまり、「マネーの大膨張」が頂点を迎えた「西暦400年頃」に、「蛮族の攻撃」が始まり、「西ローマ帝国が、ほぼ瞬間的に滅んだ」という状況だったわけだが、この時の注目点は、「その後の東ローマ帝国の性質が、全く違ったものとなった事実」だと考えている。
具体的には、「物質文明」から「精神文明」への大転換のことだが、今回の注目点は、やはり、「マクロの物理学」という「物質文明」から、「ミクロの物理学」という「精神文明的な理論」が模索され始めた事実であり、また、「経済学を中心とした社会科学が、今後、どれほどの次元上昇を達成できるのか?」だと考えている。(2022.3.14)
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裸の王様とロバの耳
ロシアのプーチン大統領については、現在、「裸の王様」と「王様の耳はロバの耳」という童話や寓話が当てはまる状況のようにも感じているが、実際には、「独裁者の狂気と孤独が入り混じっている可能性」のことである。つまり、「自分が、どれほど愚かな行為を実践しているのか?」に気付かず、また、「周囲からの意見を受け付けなかったものの、時間の経過とともに、徐々に、真理に気付かされている状態」のことである。
そして、結果としては、「21世紀のヒトラー」とでも呼ぶべき末路を迎えるものと考えているが、この点に関して、現在、気になることは、「誰が、真の裸の王様だったのか?」ということであり、また、「ロバの耳を持っていたのは、いったい、誰だったのか?」ということである。別の言葉では、現代版の「王様の権力」として、「軍事力」と「資金力」が当てはまるものと考えているが、「プーチン大統領」については、「軍事力を保持すれば、世界中の人々が自分に従う」というような錯覚を持った状況とも思われるのである。
また、一方の「資金力」については、「現在の西側諸国が、ぴったり当てはまる状況ではないか?」とも感じているが、この点に関して注目すべき事実は、「一人の少年が声を発するまで、ほとんどの国民が、王様が裸である状態に気付かなかった」ということである。そして、このことは、「現在の通貨」が、「コンピューターネットワークの中を流れる、単なる『お金の情報』にすぎない」という事実を物語るとともに、「真実の声が聞こえていない人々は、いったい、誰なのか?」という問題意識を、現代社会に問い掛けている状態とも想定されるのである。
つまり、「神様となったデジタル通貨」だけを信用して、「138億年や46億年の歴史を持つと言われる大宇宙や地球が、どのようなメカニズムで発生し、進化してきたのか?」が、全く無視されている状況のことである。別の言葉では、昔の人々が持っていた「信仰心」が失われるとともに、「お金の奪い合い」に奔走する「現代人」そのものが、「プーチン大統領を産み出した原因の一つだったのではないか?」という可能性である。
より具体的には、「軍事力の支配」については、現在、「誰もが否定する事実」とも思われるが、「資金力の支配」については、「ほとんどの人が気付かない状況」とも考えられるのである。そして、今回の「プーチン大統領」については、「軍事力の戦争が、どれほど悲惨なものであるか?」を、再認識させるとともに、「現代人は、別の形で、裸の王様を敬っているのではないか?」という事実を示唆しているようにも感じられた次第である。(2022.3.16)
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歴史のダイナミズム
今後の世界情勢を見るカギは、「歴史のダイナミズム」を理解することにあるものと思われるが、具体的には、「30年ほど前のソ連崩壊」と「40年ほど前の高インフレ率」が、「現在、なぜ、話題になっているのか?」を分析することである。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった、「信用本位制」という「まったく新たな通貨制度」に関して、「秩序の形成と崩壊の過程」を正確に理解することである。
より詳しく申し上げると、「表面的なサイクル」と「水面下のサイクル」を区別しながら、「歴史が、どのように発展するのか?」を考えることであり、実際には、「1971年のニクソンショック」や「1991年のソ連崩壊」、あるいは、「2001年の9・11事件」や「2011年の3・11大震災」などのように、「末尾に1がつく年の大事件」の裏側で、「秩序の形成と崩壊の13年サイクル」が進行していた展開のことである。
つまり、「1971年から1997年までの26年間」は、「1984年までの13年間がマネー大膨張の準備期間」であり、この時には、「1981年にデリバティブが誕生し、成長を始めた」という「金融商品の黎明期」だったことも見て取れるのである。そして、「1997年までの13年間」は、「日本のバブル発生と崩壊」に象徴されるように、「株式」や「土地」などの資産がバブル状態に陥ったものの、「1997年」に始まった「世界的な信用収縮」の時から、「バブルの内容」が劇的に変化したことも理解できるのである。
つまり、「デリバティブの大膨張」という「オフバランス(簿外取引)での資産バブル」が始まったわけだが、この時の注目点は、「前半の13年間」と「後半の13年間」とで、劇的な違いが発生した事実とも言えるのである。具体的には、前半の「2010年までの期間」が「デリバティブの残高急増期」であり、また、後半が、「量的緩和」という名の「デジタル通貨を利用した金融市場の価格統制期」だった状況のことである。
しかし、現在では、「デリバティブが創り出したデジタル通貨の枯渇」による「世界的な金利やインフレ率の上昇」、すなわち、「デリバティブがもたらした超低金利状態と仮想現実社会の終焉」により、間もなく、「逆ニクソンショック」が到来するものと考えられるのである。具体的には、「1997年から26年後の2023年8月頃に、新たな通貨制度である金本位制や商品バスケット本位制に移行する可能性」のことであり、このことは、「過去50年余りの生活様式が激変する可能性」、すなわち、「人類と大自然との共生が復活する可能性」を表しているものと考えている。(2022.3.18)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11950:220416〕
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