【ご注目を】土地規制法 6月1日施行!どこが対象?パブコメは? 5.27市民と議員の共同ヒアリング
- 2022年 5月 25日
- 評論・紹介・意見
- 杉原浩司
戦争立法であり、先日成立した「経済安保法」とも密接に関連する土地規制法
の一部施行が、6月1日となることが判明しました。
直前となる5月27日に市民と議員の共同ヒアリングを行ないます。一般参加は
ありませんが、ご注目とご取材をよろしくお願いします。
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土地規制法 6月1日施行!
どこが対象? パブコメは?
政府担当者への市民と議員の共同ヒアリング(第4回)
https://kosugihara.exblog.jp/241462667/
日時:5月27日(金)11時30分~12時30分
場所:衆議院第1議員会館第8面談室
共催:土地規制法廃止アクション事務局、土地規制法を廃止する全国自治体議
員団、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック
<連絡先>
谷山 090-2302-9205、杉原 090-6185-4407
◆今回は会場の関係により、一般参加はありません。後日にオンライン報告会
の実施を検討中です。
岸田政権は5月24日、土地規制法の関係政令を閣議決定しました。6月1日に
一部施行し、内閣府に土地等利用状況審議会を設置、担当の政策統括官も置く
としています。一部施行後、施行令や基本方針の作成が進められ、政府は審議
会の議論を受けて、規制対象となる区域指定の要否や範囲などを判断するとさ
れています。
これまで、私たちからの再三の問い合わせに対して、施行準備室は「検討中」
を繰り返してきました。直前になって、「一部施行」の期日が明らかになった
ことも問題です。4回目となるヒアリングでは、こうした密室で進める手法に
抗議しつつ、情報開示を求め、問題点を明らかにしていきます。
会場の都合により、主催者と議員、メディアのみの参加となりますが、後日
にオンラインでの報告会を検討しています。ぜひご注目ください。質問項目も
ご覧いただければと思います。
【趣旨】
昨年6月16日に国会で可決・成立した土地規制法は、「重要施設」周辺の住民
や国境離島に住む住民のプライバシー権、知る権利、表現の自由や集会の自由、
財産権を制約し、住民が重要施設の施設機能や国境離島の国境離島機能を「阻
害する」と政府が見なした場合、また住民が求められる情報提供を怠たった場
合に重罰を科するものである。しかし法文中に刑罰を構成する要件の明確な規
定が欠落し、住民の個人情報の収集・取得に関しても調査の対象と調査協力を
求める対象は曖昧な点が多く、国会審議中の討論においても、市民団体及びマ
スコミからも多くの批判が出ている。
土地規制法廃止アクション事務局は、土地規制法を廃止にする全国自治体議
員団、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、そして超党派の国会議員と共同で
3回にわたって重要土地等調査法施行準備室に対してヒアリングを実施してきた。
ヒアリングでは、事前に送付した質問項目に沿って質問を行い、質問関連の
要望を行ってきたが、多くの場合「検討中」とのことで明確な回答は得られな
かった。しかし、中には基本方針案のパブコメ実施の要望に関しては、当初行
わないとしていたが「検討する」と前向きな回答に変わった例もある。市民や
国会議員の意見を施行までのプロセスにどのように反映させるかが重要である。
先行施行の期限である6月22日まであと1カ月あまりに迫っている。先行施行
後の基本方針の策定、周辺住民を調査・規制の対象とする「生活関連施設」に
関する政令の制定、土地等利用審議会の設置などの重要事項についてはすでに
素案ができていると推察される。先行施行前最後となるであろう第4回のヒア
リングを開催する。
【質問事項】
1 基本方針に対するパブリックコメントの実施について
これまで準備室からの回答では、基本方針に対するパブリックコメントの実
施を検討するとしていた。法律の一部施行まで1カ月を切ったこの段階で、準
備室という責任のある部署がそれについて結論を出していないはずはない。現
段階で「検討中」という答えはあり得ない。実施するのか、しないのか。
実施する場合、基本方針案の公表はいつで、パブリックコメントの実施期間
はいつからいつまでか。
実施しないと決定したとした場合、その理由は何か。これまで実施も検討す
るといってきた経過からすれば「法律で必要的に実施することとはなっていな
い」という回答は論外である。実施しないと決めた実際の理由を明らかにされ
たい。
2 基本方針案の策定状況と内容について
法第2章(基本方針)は、6月に施行される。基本方針では、
①施設機能や離島機能を阻害する土地等の利用防止に関する基本的な方向
②注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項(当該指定に関し経
済的社会的観点から留意すべき事項を含む。)
③土地等利用状況調査に関する基本的な事項
④勧告・命令に関する基本的な事項、これについては、勧告・命令に関する施
設機能や離島機能の阻害行為の具体的内容に関する事項が含まれる
⑤以上の他、施設機能・離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する必要
事項
が定められなければならない。
本法律の全面施行が本年9月であることからすれば、6月に一部施行が決まっ
てから以上の事項の内容の検討をスタートすることは遅きに失し、あり得ない。
そもそも法案提出の段階からある程度これらについて想定がなされているはず
である。
それを踏まえ、現段階でのこれらについてどの程度作業が進んでいるのか、
そして、現段階でのそれらの内容を明らかにされたい。「検討中」のその検討
の中身を質問しているのであるから、「検討中」では回答にならない。
3 土地等利用状況審議会(以下「審議会」)について
審議会は、次に掲げる事務をつかさどることとなっている。
①生活関連施設指定の政令案に対する意見表明等
②注視区域・特別注視区域指定に関する意見表明等
③注視区域内の土地等の利用者に対する勧告に関する意見表明等
④その他阻害行為防止に関する重要事項の調査審議と意見表明
また、審議会は委員十人以内で組織される。
さらに、委員は、法律、国際情勢、内外の社会経済情勢、土地等の利用及び
管理の動向等に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命
するとされている。
以上のうち、少なくとも①と②は法律全面施行後、速やかに動き出す必要が
ある。したがって、審議会の10名以内の委員候補について法律一部施行後から
検討に着手するのは遅すぎるのであり、少なくとも「腹案」はあるはずである
し、候補者への打診も行われていなければならない。それが(悪法であるか否
かは別にして)法律施行に責任を持つことである。
また、衆参両議院の付帯決議では、「重要施設及び国境離島等が全国各地に
所在していることに鑑み、多様な主体の参画を図ること」とされている。
そこで、現段階で挙げられている具体的な候補者名を明らかにされたい。仮
に、現段階では具体的候補者名までは明らかにできないとしても、どういう分
野の方々であるのか、その候補者としての選考基準は何であるのか、それらの
候補者に対し就任の打診が行われているのか、就任承諾の回答はどれだけある
のか、明らかにされたい。
なお、審議会委員については、この法律に批判的な意見を持つ者も選任され
るべきであることはこれまで要求してきたことである。「多様な主体」にはこ
のような者も含まれるはずである。候補者の検討にあたって、この観点は持た
れているのか。ないとすればなぜか。なお、私たちとしては、以上の法律の規
定及び付帯決議の趣旨から、海渡雄一弁護士(東京共同法律事務所)、馬奈木
厳太郎弁護士(東京合同法律事務所)、仲松正人弁護士(沖縄弁護士会所属)
のいずれかを委員に選任すべきであると提言するので、その回答を求める。
4 注視区域・特別注視区域の指定について
先に述べた法の規定からして、法律全面施行後は速やかにこれらの指定予定
の区域について審議会に諮る必要がある。そもそも、法案提出段階である程度
これら区域については想定されているはずである(その想定がないのに法案を
提出するはずがない)。であるから、前回、候補地が決まっている旨の報道に
ついて質問した。準備室は、誤報であるとも回答しているが、それは考えられ
ない。
誤報であるか否かはともかく、現段階における候補地がどの程度挙げられて
いるのか、その選定基準は何かについて明らかにされたい。
また、区域指定は、全面施行後どれくらいの期間で指定する予定か。なお、
具体的な注視区域や特別注視区域の指定は、指定する必要がある区域を全部一
気に指定するとは思われない。指定の対象となる自衛隊施設も1300カ所はあり
うることが国会で答弁されている。国境離島についても、どの離島が選定され、
その離島のうちどのような区域が指定されるのかの検討も必要になる。例えば、
ドローン規制法では、2019年5月17日に成立したあと、翌6月13日には13の自衛
隊施設が飛行禁止区域施設に指定された。その後、2020年8月、2021年8月、同
年12月と、順次指定が追加されている。本法律も同様の経過をたどるはずであ
り、ドローン規制法のように、いくつかの施設は全面施行後速やかに指定され
るはずである。
5 調査事項について
前回、調査室からの文書回答では、機能阻害行為についての質問2の5、坑道
の掘削を例にあげた思想信条調査についての質問への回答で、思想信条やプラ
イバシーにわたる調査はしないとされている。しかし、2021年6月8日の参院内
閣委員会では以下の質疑がなされており、土地利用状況調査のためであればそ
れについても調査することを否定していない。
(山添議員)調査する内容、対象事項についてはいかがでしょうか。例えばそ
の利用者なり、あるいはそこを使っている人ですね、その職業や収入、資産状
況、親族関係や交友関係、活動歴や、あるいはSNSなどネット上での発信、こ
うしたものは調査対象に入りますか。
(木村参考人)この本法案に基づきます調査は、あくまでも土地等の利用につ
いて調査をさせていただくというものでございますので、今御指摘、種々ござ
いましたけれども、それが土地の利用と直接関係なければ、対象にはならない
ということでございます。以上でございます。
(山添議員)そのような限定は法律上はどこにも書かれていません。関係する
かどうかを判断するのは調査する側でしょうから、調査をした上で関係するか
どうかという判断をされていくことになるんでしょう。
この国会答弁にある土地利用状況調査のためであれば思想信条やプライバシ
ーにわたる調査も許容されるのか、それとも前回の準備室回答にあるように、
それはしないのか、いずれか。また、後者(そこまでは調査しない)であれば、
基本方針において思想信条やプライバシーにわたる調査は禁じると明記するべ
きであるが、その予定はあるか、ないとすればその理由は何か、明らかにされ
たい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12065:220525〕
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