2022.5.21第15回ちきゅう座定例総会議事録
- 2022年 5月 30日
- ちきゅう座からのお知らせ
- 村尾望
明治大学研究棟第9会議室
1.出席者合計:18名
2.開会 午後10時30分
3.議案 第1号議案 2020年度~2021年度の事業報告と2022年度の事業計画
第2号議案 2020年~2021年度の会計報告と2022年度の予算案
第3号議案 監査報告
第4号議案 役員人事
5.経過
(事業報告)意見として、オンライン会議の方式の取り入れについてもっと検討したほうがよい。海外の参加者には便利だろう。しくみに詳しい若い人に取り組んでもらうとよい動画の制作はみてもらえるようないいものにするためには編集作業など大変である。―などがあった。22年3月の投稿については、40点は会員からの投稿だった。投稿経路は、交流の広場にから送信されるもの、6名の編集担当者に直接メールで送られるもの、ブログからの転載を取り決めているものがあると説明された。
(監査報告)情報が無数に氾濫する中、どれが事実かよくわからないことが多くなっている。田中正司先生は「知的省察が重要である」と言っていて、省察を加えて議論することが求められる。そうした場となることが、ちきゅう座に求められている。この間、各委員会は開催されなかったが投稿掲載は滞りなく続けられた。ウクライナ戦争では冷静着実に対処したと認められる。しかし、読者の反応を受け止めるフィードバック機能が弱いのではないか。アーカイブには期待したい。会員数は維持されているが、入会案内、規約の掲載も必要ではないか。また、サイトを開かないと見ることはできないが、他のサイトでは記事のお知らせをメールで送信しているので、そうしたことも必要ではないか。
(役員)新しく3名の方が運営委員となった。
委員長:合澤清(再)
監事:松井靖久(新)、片桐幸雄(新)
運営委員:松田健二(事務局長―再)、安岡正治(編集委員長―再)、青山雫(再)、大川昭一(再)、髭郁彦(再)、府川頼二(再)、村尾知恵子(再)、石川愛子(再)、安岡正義(再)、野上俊明(再)、柏木勉(新)、土田修(新)、村尾望(新)
≪参考資料≫
第一号議案 2020-21年度事業報告及び2022年度運動方針案
2020-21年度事業報告
コロナ禍の急速な蔓延のため、ここ2年間は総会を開催することも、運営委員会や編集会議などをやることも出来ませんでした。この間色々と皆様方にご不便、ご迷惑をおかけいたしましたこと心からお詫び申し上げます。まず最初にご報告したいのは、コロナが流行し始めた2020年1月26日にちきゅう座の設立時から運営委員長を4期にわたって務めてこられた田中正司先生(横浜市立大学名誉教授)が逝去されました。享年95歳でした。
田中先生は、故塩川喜信さんと車の両輪のように我々の運動をけん引されてこられました。先生が「私はちきゅう座を愛しています」といわれた言葉が忘れられません。先生のご遺志を受け継ぎ、今後ともちきゅう座を維持・発展させていきたいと考えています。先生のご冥福を心からお祈りいたします。
まだ、コロナの流行は収まっておりません。日常生活の上でくれぐれも健康管理に留意していく必要があると存じます。
この二年間を振り返ってみますと、コロナの蔓延で総会も運営委員会もほとんどできないままにすぎてしまいました。しかし、皆様方の日頃の精進のお陰で、別表(掲載実績表は省略しました)に見られるように、ちきゅう座の掲載数が大幅に減ったということもなく、内容的にもなかなか充実していたのではないかと思っています。この間、世の中はかなり変化しているように感じます。日本の政治は(いや、日本だけではなく、世界的に見ても)ますます「きな臭く」なり、自国防衛という名前の再軍備化(「国民投票法案」改定から「憲法改悪」までの動き)が進んでいるように思います。それにもかかわらず、大手メディアの「体制への従順」姿勢は、改まるどころか、ますますその度を強めているようです。
ここでは現今社会の動向をいくつかの点に絞りながら検討し、ちきゅう座としての進むべき途について考えてみたいと思います。
われわれをとりまく現状としては、コロナの蔓延とその対策、原発再稼働への隠然たる動き、国家防衛=再軍備=九条改憲への策動、既成政党と連合(労働組合)の右傾化、物価高騰による貧困と格差の拡大、ウクライナ戦争が投げかける国際情勢の大きな変化に伴い、新たな東西対立構図の出来、などをあげることができるのではないでしょうか。
個々の問題について詳細に論ずることは、ここでは出来かねますので、これらの問題が拠って立つところをいくつか剔抉したいと考えます。
最初に、ウクライナ問題を取り上げてみます。先ごろ、ちきゅう座に塩川伸明さん、岩田昌征さん、板垣雄三さんなど専門家がお書きになった論文が掲載されていました。そこでも指摘されていましたが、この戦争には様々な利害が絡み、歴史的な事情が絡んでいることは明らかです。しかしまず、われわれとしてはそこに暮らす人々の身の安全と日常生活の保全とを考える必要があり、その立場からロシア側の「武力侵攻」には反対であるということは一致した意見です。何とか話し合いで収めることができないのか、そのための世論形成(NHKや他のメディアがやっているような一方通行的な政権寄りのニュースの垂れ流しではなく)はいかにして可能なのか、また世論をしっかりした国際連帯形成に結合させるにはどうすべきか、ここにわれわれの主眼が置かれるべきだろうと思います。
また、コロナ対策の遅れが指摘されています。自宅待機による死亡者は増加傾向です、それにもかかわらず公立病院の独立行政法人化など、医療の弱体化、福祉サービスの低下、などが画策されています。さらに、われわれ庶民の生活を直撃する、燃料の高騰と輸入不足を理由にした異常な物価高、原発再稼働への与野党そろって(自・公及び日本維新の会、国民民主党)の露骨な色目、ウクライナ戦争に便乗しての国防・再軍備(憲法九条の廃棄)の策動、「敵基地中枢部への攻撃」や防衛予算をGDPの2%にという案も出されています。これらはいずれをとっても人命軽視、弱者の切り捨て、民営化、新自由主義政策の採用、軍需製造大企業を中心とした強権国家へのシフトに他ならないと思います。
われわれのとるべき立場としては、このような世の中の右翼的な胎動に対してどこまでも抵抗し、ささやかながら自由な言論活動の場を守り続けるべきではないかと考えています。
ちきゅう座創業以来の次の精神を改めて肝に銘じたいところです。
「報道の公正さ、広さ、知の共有などをベースにして、相互に自由な討論を深めていこう…その際、専門の学者や現場のジャーナリスト、活動家などの意見をも十分に考慮、活用していきたいということですが、それは個人的な恣意から自己を解き放って、共同の精神へと高めていく努力を共にやろうということだと思います。そのための『場』を、微力ながら『ちきゅう座』は提供していきたいというのがその主旨です。」
1.編集問題について
「若手と女性の投稿を増やしたい」という大きな課題がありました。これは毎年繰り返し要望されてはいますが、まだまだ満足できるレベルには程遠いと思っています。
しかしながら、池田祥子、内野光子、阿部浪子、平田伊都子、松井和子、グローガー理恵さん等を含めて少しずつですがこの方面での論者も増えているように思います。
若手の論文に関しては、今までも会員の髭さんが毎月一本の割合で投稿されていますが、こちらはまだ手薄であるという憾みはぬぐえません。
一方で、掲載論文の内容に関しては、少なくとも論文への読者反響からはうれしい驚きも感じています。専門的な論文、評論などへのlikeの数が増えていることです。読者層の質の高さが反映されているものと思います。
これは今後の課題になろうかと思いますが、likeの内容のチェックが出来るようになれば、読者との更なる対話が深まるのではないかと思っています。
さらに、海外から(あるいは海外関連)の記事はちきゅう座の強みになっています。最近こそ投稿が見られないのですが、スペインからの童子丸開さん、ドイツのグローガー理恵さんとT.K生さん、ブダペストからの盛田常夫さん、西サハラ情報の平田伊都子さん、東チモールの青山森人さん、野上俊明さんのミャンマー、また中国、台湾関連では専門家の矢吹晋、岡田允、石井知章さん、韓国の小原紘さんなどです。
アメリカやロシアなど、まだ主要な地域が抜け落ちていますが、何とかカバーしていきたいと考えています。
地方からの投稿は今のところほとんどないに等しい状態です。これは毎年の要請課題ですが、コロナで直接書き手と接触できなかったせいもあり、今後の努力課題です。
掲載記事数に関しては、毎月の事情などで多少の変動は当然見られますが、これはこのサイト全体の底上げ(影響力のある良質な論文の掲載)を図る中で、自づから掲載数は増加するものと考えています。
また前から何度か話に出ていましたが、ちきゅう座の画面に「動画」を入れたいという課題があります。今の若者は活字文化よりも動画に興味をもっているとも言われます。先の運営委員会でその件が改めて提起され、スタッフ候補の人選も含めて真剣に検討している最中です。
併せて、やはりここ数年いわれ続けていたことなのですが、編集委員の充実を図る必要があると考えています。二年前から村尾望さんに新たに編集委員に加わって頂いたおかげで、かなり担当者の負担が軽減されていますが、それでも、編集スタッフの老齢化、アクシデント(怪我や病気)による戦力ダウンをどうやってカバーすべきか、あるいはスタッフ間の荷重の軽重をバランスよくするにはどうすべきか、などの課題は依然として残されたままです。
2.画面改造の件
読者からの要望として、先ほど触れました「動画」の件と、もう一つアーカイブの整備という件があります。コロナの所為で今までほとんど運営委員会も開けませんでしたが、これらの課題にも何とか目途をつけていきたいと考えています。
ちきゅう座のリニューアルに関しては、まだ十分に成果があったとは思えませんが、とりあえず以下のことをやるつもりです。
サイト内の「検索」を掛けると、表示が崩れて使えないのを修正
各記事のアクセスカウントを付ける
次年度(2022年度)の運動方針案
上述した事柄と重複する点が縷々あると思いますし、毎年あまり変わり映えのしない「運動方針案」でしかないとお叱りを受けるかもしれません。
しかしこのサイトの目指すところは、現実の趨勢を読み解き、警戒しつつ、批判すべきは言論をもって闘かうという点にあると心得ています。
かつて梅林宏道は、「最も警戒しなければならないものは、無関心と情報の欠如に乗じた世論の誘導である」(『在日米軍』岩波新書)との警告を発していました。この言葉は、今日に至りさらに「情報の作為ある捻じ曲げと破滅への誘導」(大手メディアの変節)といいかえられるように思います。
冒頭の「事業報告」でも触れましたが、今日われわれが直面しているのは、コロナ禍、原発再稼働、再軍備=九条改憲への策動、それらを推進するための労働組合の抱き込み、メディアへの統制圧力から国民総動員体制への不気味な動き、です。しかもその底辺では、物価高騰による国民生活の貧困化、貧・富格差の大幅な拡大、燃料高騰と資源の輸入ストップなどをすべて物価に転嫁して、大手企業関係者(エリート)のみが生き残ろうとする弱者排除社会の構築が進められているように思います。
批判的精神を喪失したインテリ、メディア人、そしてひたすら従順さを心がける一般民衆。
まさに、マックス・ヴェーバーの言う「精神のない専門人、心情のない享楽人」の出現に他なりません。
新型コロナウイルスの「パンデミック」は、日本国内で貧富の格差からくる矛盾(貧困家庭・底辺市民の棄民化)を露呈させています。また世界的には、これまで「繁栄」というヴァーチャルが依拠してきた不安定なバブル景気の破綻(大恐慌)を予感させる怖さがあります。そのことを政治的に反映させたものが、世界的な「ナショナリズム」台頭(自国最優先)、排外主義、そして独裁的・独断的な政治家による支配体制強化につながっているように思われます。
われわれが今出来うることとして、次の点を提起したいと思います。
第一は、いかに「ミニメディア」であれ、一応メディアとして存在する限り、出来るだけ正確な報道を心がけると共に、そこに報道者の心情(批判精神)をぶつけていく必要があると思います。体制側から流される意図的な「フェイクfake」ニュースに対抗できるのは、豊富で正確な情報とそれを捌くべき思考力によるしかないと考えます。そのために、様々な専門家のご意見を収集し、広く読者の批判的ご意見の素材に供覧していきたいと考えています。
第二は、そのために、可能な限り世界中からのニュースを集め、また大手メディアが取り扱わない領域での問題点の探索を目指したいと思います。今までも、われわれのもとには頼もしい戦力がそろっているとは思いますが、更に一層書き手の層の充実を求める必要があるはずで、学界その他の研究会、ジャーナリストとのより積極的なコンタクトを計っていくべきであろうと考えます。
第三として、女性の投稿者をもっと増やしたいと思っています。日本は世界的に見て、女性の立場がまだ決定的に弱いといわれています。それゆえよけいにそのことを痛感します。
第四は、国内問題に関して、まだ「沖縄」関連の記事や情報が決定的に不足しています。定期的な投稿を確保したいと考えます。
第五は、地方からの発信が少なすぎます。例えば、全国各地域での活動報告や反原発運動などとの積極的な結合、意見交換などがもっと頻繁になされるべきだと思います。
第六に、社会の底辺に沈みこまされている人々の生の声を何とか汲み上げられないだろうか、と考えています。われわれちきゅう座の仲間の中には、いわゆる「ホームレス」の人たちと交流を重ねている方々もいます。
最後に、いつも同じ悩みに突き当たるわけですが、やはり若い方々にもっと活躍してもらい、積極的な意見を出して欲しいと願っています。そのために動画を活用するのも一手段だと考えます。以上のような現実問題を逐一改善するなかで、ちきゅう座のメディアとしての影響力も伸長するものと考えています。
運営、編集スタッフの拡充もこれらの課題と切り離しては考えられないと思います。
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。