くらしを見つめる会つーしん NO.220から 2022年6月発行
- 2022年 7月 5日
- 交流の広場
- 村山起久子
住民投票を求める直接請求署名運動を終えて
~公金(税金だよ!)で 博打場つくるってどうなん?~
大阪府下で3月25日からスタートした住民投票を求める直接請求署名運動が5月25日に終わった。62日間の長丁場だったが、何とか駆け抜けることができた。なぜ、私がこの『カジノの是非は府民が決める住民投票をもとめる会』の活動にここまで必死なのか。一言でいうと「私の大好きな大阪をこれ以上維新にめちゃくちゃにされてたまるか!」という思いからだ。
問題点だらけのIRカジノ計画。署名集めしながら思ったのは、府民・市民に正しい情報がなく判断する材料がない、ということだ。「知らない」「分からない」「自分には関係ない」「カジノできたら経済よくなる」という人が多いことに驚く。情報が閉ざされることの怖さを感じたし、嘘も聞かされ続けてたら信じるんだーと思った。分からなかったり知らなかったら「計画を一旦中断して」となると思うのだが、「知らないままでも進めてください」は、あまりにも危険ではないだろうか。
カジノ誘致の夢洲は大阪市此花区にある人口島。ゴミ(有害物質を含む)の最終集積場である。地盤が軟弱なため埋め立てに莫大な公金が使われようとしている。松井市長は当初「税金は使わない」と言っていたのに、議会で決まったからと負担額が青天井のまま推し進めようとしている。ギャンブル依存症の問題もある。カジノは365日24時間の博打場。負けてお金を摩ってしまう人が生まれることが前提。「IRで儲かったお金を福祉に回す。」と市長は言うがIRの儲けの8割をカジノ収入に頼る。誰かの不幸で儲ける、これが大阪の経済政策だというのだからほんとに情けない。
それにしても期間中、メディアの無反応ぶりはひどかった。取り上げたのは3月25日の市役所前でのスタート集会の映像のみで、その後の取材もなし。これでは住民投票署名のことが広まらないはずだ。中盤からはスーパー前や区役所前での署名集めが難しくなる。それまでは遠慮しながら駐輪場で署名集めしていたのだが、通告者があり店長や職員から追い出される…など、通行人の反応もやや悪い。維新から「署名したらあかんぞ。」と睨みが入ったか?在版メディアが維新寄りであるのは周知のこと。メディアで流れたらカジノや住民投票について知らない人が関心持って知るようになる。カジノ計画のおかしさに気づいて署名をしようとする人が増えたら困るのだろう。
そんな中、終盤、若い人たちの署名が増えたのには驚いた。「ツイッターで知ったから来た。」「メディアが全然伝えないので、ツイッターで拡散します!」など、そのような若者に出会えてとても嬉しかった。25日の最終日、JR大阪駅前などでは多くの若い人たちが夜遅くまで署名に駆けつける姿があった。それこそが希望だと思える。
署名簿を6月に各選挙管理委員会に提出する。有効筆数が気になるところだが、必要法定数15万筆を超え、目標数20万に近づけたことはすごいこと。この署名運動が今後さらに動き出すためのスタートだと信じたい。 (八木優子)
〈一部略〉
♪こんな本いかが?
「無防備マンが行く!」 あきもとゆみこ著 同時代社
ジュネーブ条約(国際法)で「無防備地域」と宣言したところには、攻撃してはいけないことになっている。無防備地域とは、戦闘員・武器・軍用施設などがなく、住民が敵対行為、軍事支援をしないと宣言した地域。無防備地域を広げていくことで、平和な世界を目指そうというもの。
実際、戦争の時、真っ先に攻撃されるのは軍事施設。沖縄の前島は日本軍の入島を断って無防備だったため、米軍が引き返し無事だったという例もある。戦争とは?軍事費、憲法のことなど、柔らかなマンガで伝える本著。ウクライナの戦争で勇ましさが強調される今こそ読みたい。
〈編集後記〉
何で、みんな怒らないのかな。食べ物やエネルギーなど、暮らしに欠かせないものの物価が高騰し、庶民の暮らしを直撃しています。コロナ禍以降、食べるのに困る人は増え続けており、支援団体の活動報告などを見ると、「3日間何も食べていないと言う若い人」「所持金数百円しかない人」「子どもに食べさせ自分は1日1食という母親」など、数年前の何倍もの人、今まで来なかった人が、支援を求めて炊き出しや食料配布の列に並んでいるそうです。一方、大企業の内部留保は9年連続で過去最高を更新し、2020年度は484兆円!!それでも法人税を減税し続け、暮らしに直結する消費税を下げようともしない政府(消費税は本当に問題のある税制度ですがこれはまたの機会に)。新しい資本主義とか言いながら、金融所得課税の強化もせず、逆に資産所得倍増プランなんて、またもお金持ちを優遇!
憲法25条には「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるのに、1日1食とか、家が無いという人たちへの支援をNPOや寄付に任せているって、おかしくないですか?いや、どう考えてもおかしいです。それなのに、困っていても「自己責任」にされ、放置されている日本。こんな社会になってしまったのは、お上の言うことには逆らわない、選挙に行っても変わらない、仕方がない、と、思い込まされ、理不尽に対して多くの人が「怒らない」からではないでしょうか。政府も議員も、人々の怒りには敏感なはずです。明日は我が身。何より、お腹いっぱい食べられない人のことを想像したら、居心地が悪くてたまりません。 選挙はもちろん、暮らしに直結する政治に目を光らせ、声を上げていきましょう。 (きくこ)
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