日本の参院選挙に関するドイツの報道:日本の政治家にとって、熱望するが実現不可能な改憲
- 2022年 7月 15日
- 時代をみる
- グローガー理恵
2022年7月10日(日曜日)に行われた参院選挙と改憲について触れたドイツの報道があったので、それを和訳してご紹介させていただく。
記事(独語)へのリンク:https://german.cri.cn/2022/07/12/ARTIkakE1PojAxAkM37Wa5Rs220712.shtml
日本の政治家にとって、熱望するが実現不可能な改憲
2022年7月12日 1946年11月3日、天皇及び国務各大臣によって署名された日本国憲法
Ryo FUKAsawa – https://www.flickr.com/photos/fukapon/14116910761/
CC 表示 2.0
先日行われた第26回参議院議員選挙で、与党の自民党の獲得議席数は63議席であった。〈*訳注:自民党が参議院で得た総議席数は119議席 ー 獲得議席数63プラス非改選議席数56〉 一方、平和主義憲法の改憲に賛成する勢力が、改憲発議に必要な3分の2を超える議席数に達した。岸田文雄首相は、できるだけ早期に、改憲のための動議を国会に提出し、その実現に取り組むと言明した。
この振る舞いは、選挙前の候補者たちの態度とはまったく一致していない。選挙前、彼らは、どのようにしてインフレと闘い、賃金を引き上げさせることができるのか、といった日本国民が最大の関心を寄せるべき事柄について話をしていたのだ。しかし彼らは選挙に勝利した後、改憲問題をもっとも重要な政治課題としたのである。これは、候補者たちが選挙公約を裏切り、世論を軽視したことを反映しており、改めて日本の選挙制度の根強い矛盾を露呈している。
しかし、日本はすでに憲法を変えなければならないような社会情勢をつくり出したのだろうか? それに対する答えは 「いいえ- No」である。日本憲法は、改憲の段階に進むためには、国会議員の3分の2以上が改憲を発議し、国民投票で過半数の賛成票を得なければならないことを必要としている。日曜日の選挙で、国会レベルでの改憲の条件は満たされたようであるが、日本国民は「改憲の必要は、なし」と見ているのである。
第二次世界大戦後、日本の新憲法は制定された。第9条には、日本は永久に戦争を放棄し、国際紛争を解決する手段として武力による威嚇または武力の行使をせず、軍隊を保持しないことが明記されてある。過去75年間、この平和主義憲法は、日本が近隣諸国との関係を改善し、経済発展を実現するのに役立った。そのため、この平和憲法は日本国民から高く評価されている。
5月2日に朝日新聞が行った世論調査によれば、日本人の59%が憲法9条を変えるべきではないとの見解をもっていることがわかった。NHKが5月3日に行った世論調査では、改憲に賛成する日本人は、ただの35%であった。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4924:220715〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。