SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】488 ロシアがアフリカに急接近、アメリカも?
- 2022年 7月 31日
- 評論・紹介・意見
- アフリカサハラ平田伊都子西サハラ
2022年7月27日、ブリンケン米国務長官が突然、自ら外交交渉を絶ったラブロフ・ロシア外相に電話会談を申し入れ、29日に電話をしました。が、停戦交渉ではなく、ラブロフのアフリカ歴訪の成果を知りたかったようです? ブリンケンは8月7日から9日にかけ、ラブロフの後追いをして南部アフリカを歴訪します。 成果をネズミ叩きするのかな?
バイデン米国は、世界をワクチン地獄に陥れ、バイデン家の不祥事を隠蔽するため世界をウクライナ戦争に巻き込みました。 仇敵ロシアに対してはしつこく残酷に制裁を加え続け、第三国には<国際虐め>に加わるよう、鞭と飴で迫り続けています。
① Black Sea Deal(黒海取引)、Russian deal(ロシア取引):
2022年7月22日、グテーレス国連事務総長とエルドアン・トルコ大統領が並んで座る後ろで、ショイグ・ロシア国防相とクブラコフ・ウクライナインフラ相がそれぞれ別々に手渡された書類に夫々が署名をした。「何故、別々の書類にサインするのか?」とか「二つの書類は同一かどうか?」と、国連担当記者たちから疑問が湧き起こった。グテーレス国連事務総長が自画自賛する<Deal>は、外交上の合意ではなく、商業取引だそうだ。
停戦合意もせず黒海の機雷も除去せず、国連は予定通り7月26日にJCC’・The Joint Coordination Centre)(共同調整センター)を、ウクライナとロシアとトルコと国連の代表が立ち会う中で、イスタンブールに創設した。国連高官が「これは人道支援ではなく。商売だ」と言い、「ウクライナ産穀物をWFP(世界食料計画)など国連の機関が買い上げる」と、説明した。オデッサ、チョルノモルスク、ユズニーの主要3港から輸送船が出る。
黒海合意に平行して、ラブロフ・ロシア外相が7月24日、カイロを皮切りにアフリカ歴訪を開始した。ラブロフ・ロシア外相はシュクリ・エジプト外相との共同会見で、世界有数の小麦輸入国であるエジプトに、ロシア産穀物を契約通り供給し続けると、再確約した。
その後、ラブロフ外相はカイロで行われたアラブ連盟外相会議で演説し、「ロシアが世界食料危機を引き起こしたのではない。対ロシア制裁が、世界食糧危機の根本原因であるという真実を、西側は真摯に受け止め、食料危機を回避すべきだ」と、主張した。さらに、「西側諸国は他国に対し、自分たちの支配的立場を押し付けようとしている。ロシアに制裁を科している西側諸国の<攻撃性>は、1つの単純な結論を示している。それはウクライナに関するものではなく、世界秩序の将来に関するものだ」と述べた。そして、ラブロフ・ロシア外相は、「アフリカの脱植民地化を支援する」と言及し、エジプトからコンゴ民主共和国に飛んだ。 さらに、ウガンダ、エチオピア、と、アフリカ諸国を歴訪した。
7月29日に電話でラブロフに探りを入れたブリンケンは、8月7日から9日まで、ラブロフの後追いをして南部アフリカを歴訪する。<アフリカ大陸の脱植民地化を支援する>というラブロフのスローガンを、ぜひ、踏襲して欲しい。
② アフリカは国連を信用していない?
コンゴ民主共和国の東部では120以上の武装勢力が活動。民間人の虐殺がたびたび起き、紛争で数百万人が家を追われている。与党・民主社会進歩同盟(UDPS)青年部のゴマ支部が、MONUSCOはコンゴ国民を守れないと証明されているとして<無条件撤退>を要求していた。2010年7月、モヌスコMONUSCO 国連コンゴ民主共和国安定化ミッション.( United Nations Organization Stabilization Mission in the Democratic Republic of the Congo)は、コンゴ民主共和国の内戦を鎮めるために創設された。 MONUSCOのハシム・ジャーニュ事務総長特別副代表は反国連デモについて、「許されないだけでなく、全く非生産的だ」として、PKO部隊は民間人を守るためのものだと強調したが、コンゴの人々はそう思ってない。
そして7月25日、デモ隊はゴマ郊外にある国連の物流拠点にも押し入った。学生1人が足を撃たれた。デモ隊は窓ガラスを割り、パソコン、家具などの高価な品を略奪した。国連の警官隊はデモ隊を押し返そうと、催涙弾を使用した。一部の国連職員はヘリコプターで基地から脱出した。26日、ベニとブテンボでもデモが行われた。ブテンボの警察署長によると、ブテンボではインド出身の2人、モロッコ出身の1人の計3人のPKO隊員が死亡したほか、1人の隊員が負傷。デモ参加者側にも7人の死者と複数の負傷者が出た。、コンゴ政府のパトリック・ムヤヤ(Patrick Muyaya)報道官は首都キンシャサで記者会見し、デモ隊による襲撃でPKO隊員3人とデモ参加者少なくとも12人が死亡したと発表した。デモ隊には<マイマイ軍団>も参加し、28日には火炎瓶などでベニ国連基地が襲い、計19人の死傷者が出した。<国連出てけデモ>は続く、、
ラブロフ・ロシア外相はウガンダで、ヨウェリ・ムセヴェニ大統領主催の歓迎式典で迎えられた。ウガンダ大統領は、「ウクライナ紛争が続くなか、西側諸国からロシアに敵対するようにと圧力をかけられているが、わが国はこれまで通りにロシアと付き合っていく」と、断言した。BBC英国TVは、「いわゆるアパルトヘイト(人種隔離政策)と戦って独立を勝ち取った国々、ウガンダも含むタンザニア、ジンバブエ、ザンビアなどは、モスクワに反旗を翻すことはない、、」と、7月25日に報じた。
③ アフリカの脱植民地化:
アフリカ南部を支配していたアパルトヘイト(白人による人種隔離政策)と戦い独立を勝ち取ったアフリカ南部の国々は、1992年にSADC(南部アフリカ共同体)を改設した(前身は南部アフリカ開発調整会議SADCC)。アンゴラ,ボツワナ,レソト,マラウイ,モザンビーク,スワジランド,タンザニア,ザンビア,ジンバブエとナミビア,南アフリカ共和国,モーリシャス,セーシェル,コンゴ民主共和国の15ヵ国で、本部はボツワナの首都ハボローネにある。そのハボローネに、AUアフリカ連合の正式加盟国であるSADR(サハラウィ・アラブ民主共和国)は、大使館を置いている。
マライニン駐ボツワナ西サハラ難民政府大使は、7月16日から19日にかけて開催されていたボツワナ国会に招待され、「ボツワナ人民の西サハラ人民に対する変わらぬ援助に感謝する。我々は、最後のアフリカ植民地・西サハラを脱植民地化するため、西サハラ難民キャンプやモロッコ占領地で戦い続ける、、」と、さらなる支援を訴えた。
7月27日、オーステイン・アブラハム・ハボローネ市長が西サハラ難民大使館を訪れた。マライニン大使は、「モロッコ占領下の西サハラでは、西サハラ住民が占領当局の時代錯誤な迫害に悩まされている」と、アフリカ最後の植民地現情を説明した。ハボローネ市長は、「ハボローネ市は海外の代表団から、夫々の国情を学ばせてもらっている。より良い外交環境を作っていくつもりだ」と、建設的な意見を返した。
マライニン大使は20年前に弟と従兄との3人で、モロッコ占領地・西サハラのダハラ港から小さい漁船で脱出を図った。が、早々と大西洋の荒波を被って転覆し、命からがら港に泳ぎ戻った。漁船の主が陳謝し非常食などをカンパしてくれ、脱出に憑かれた3人は、気が遠くなるような砂漠の海に挑戦した。
モロッコ産地雷原を越えて辿り着いたアルジェリアの難民キャンプで、マライニンは西サハラ作家協会を立ち上げ、ネット通信を創設した。マライニンは2019年TICAD横浜に、西サハラ難民大統領が日本政府の排除にもめげず参加を決めたことをいち早く報せてくれた。結局、東京に来なかったけど、東京オリンピックに西サハラ長距離アスリート・サラーを紹介してくれたのも、マライニンだ。
左にボツワナ首都ハボローネのオーステイン市長と、
右に駐ボツワナ西サハラ難民政府マライニン大使
コンゴ民主共和国のデモ隊は、「国連のMONUSCOは20年間、何もしなかった」、「国連出てけ!」と、叫んでいます。
西サハラの難民は、「国連のMINURSOは31年間、何もしていない」、「国連動け!と、アルジェリアの難民キャンプで叫び続けています。
夏休み中のグテーレス国連事務総長殿、聞こえますか?
――――――――――――――――――――
「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
――――――――――――――――――――
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年7月31日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion12236:220731〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。