安倍元首相の「国葬」反対広がる 「民主主義の破壊者に国葬はそぐわない」の声
- 2022年 8月 22日
- 時代をみる
- アベ国葬岩垂 弘
7月8日に奈良市内で選挙演説中に銃撃され、死亡した安倍晋三元首相の国葬が9月27日に東京・九段の日本武道館で行われるが、これに反対する動きが日増しに強まっている。反対の理由に挙げられているのは「安倍元首相には国葬に値する業績がない」「それどころか、安倍元首相は民主主義の破壊者だ」といった指摘だ。
プラカード掲げた集会参加者も(同)
呼びかけ人の発言にはどよめきと拍手
集会では、呼びかけ人が次々と登壇して発言したが、鎌田慧氏は「安倍元首相は何をしたか」と問い、「日本の集団的自衛権行使に道を開いたほか、米国から武器を爆買いし、米国との核共有論まで唱えた。いわば、元首相は、日本を軍事強化の方向にもっていった。その一方で、ロシアのプーチン大統領と20数回会談しながら、北方領土は返ってこなかった。元首相の国葬は必要ない」と述べた。
前川喜平氏は「安倍さんの死は残念だった。なぜなら、暴力で倒すのでなく、言論で倒すべき人だったから」と切り出し、「安倍さんに国葬に値する業績があったろうか。安倍さんが残したものでいいことは一つも思い当たらない。北方領土が返ってこなかったし、(北朝鮮による)拉致被害者も帰ってこなかった。アベノミクスも失敗だった」「政治に責任をとらず、うそばかり言っていた」と話した。
落合恵子さんは「安倍元首相には生きていてほしかった。なぜなら、これまでの政治の責任をとってもらいたかったから。彼が銃撃されて亡くなった時、メデイアは『民主主義が破壊された』と報道したが、そうした見方はおかしいと思った。なぜって、わが国の民主主義を破壊したのは彼なんだから。教育基本法を改正し、共謀罪をつくり、安保法制を成立させ、そのうえ、モリ・カケ問題などの疑惑もあるんだから」と述べ、さらに「国葬をすることで、旧統一教会と政治家のつながりにフタをしょうとしているのではないか」と話した。
佐高信氏は「人間は一人で生まれ、一人で死ぬ。(国葬によって)死ぬことに格差を設けるな。国葬は民主主義の破壊だ」と発言。飯島滋明氏は「安倍首相は偉い。だから、皆、黙とうせよ、喪に服せ。これが民主主義だろうか。これは全体主義です。そんなことは決して認められない」と述べた。
各氏の発言には、集会参加者から「そうだ」「その通り」といったどよめきがわき起こり、拍手が続いた。各氏の発言に共鳴する人が多かったということだろう。
集会後、参加者は新宿駅周辺をデモ行進した。
19日(金)夜には、東京の衆院議員会館前で、やはり安倍元首相の国葬に反対する集会があった。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催で、約1200人が集まった。
国葬反対声明も続々
安倍元首相の国葬に反対する動きは、他にもある。
東京で「ヒロシマ連続講座」を主宰している元教員・竹内良男氏(立川市)が発信している『ヒロシマ通信』8月15日号によれば、同月13日現在、39団体が「安倍元首相国葬反対」の声明を発表している。内訳は次の通り。
立憲野党7、市民団体10、学会等2、法曹界7、労働組合6、宗教団体6、その他の団体1
これから先、さらに増えそうな気配である。
世論調査結果は軒並み「国葬反対」が過半数
熊本日日新聞は7月15~19日にSNS登録者を対象に安倍元首相の国葬についてアンケートを実施したが、「賛成」「どちらかというと賛成」が合わせて42・9%だったのに対し、「反対」「どちらかというと反対」は合わせて49・6%だった。
南日本新聞は7月22~23日、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って安倍元首相の国葬についてアンケートを実施したが、「賛成」「どちらかというと賛成」が合わせて23・1%だったのに対し、「反対」「どちらかというと反対」は合わせて72・2%にのぼった。
長崎新聞は7月25~26日にやはり、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って安倍元首相の国葬についてアンケートを実施したが、「賛成」「どちらかというと賛成」が合わせて21・3%ったのに対し、「反対」「どちらかというと反対」は合わせて75・6%。
7月30~31日には、共同通信が同様の全国世論調査をしたが、結果は、「賛成」「どちらかというと賛成」が合わせて45・1%だったのに対し、「反対」「どちらかというと反対」は合わせて53・3%だった。
日本経済新聞も7月30~31日に同様の全国世論調査をしたが、結果は「賛成」43%、「反対」47%。
時事通信の世論調査は8月5~8日だったが、国葬に「賛成」は30・5%、「反対」は47・3%。JNNの世論調査は同月6~7日に行われたが、国葬に「賛成」は42%、「反対」は45%だった。
NHKは同月5日から7日にかけて、安倍元首相の国葬を行うことへの評価を聞く世論調査を行ったが、結果は「評価する」36%、「評価しない」50%だった。
これまでのマスメディアの調査では、いずれも「国葬反対」が「国葬賛成」を上回っている。民意はすでに明白だろう。国民は、安倍元首相の国葬を望んでいないのだ。それでも、岸田内閣は予定通り国葬を強行するだろう。であれば、国葬後、岸田内閣への支持率はさらに下落するに違いない。
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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