強かった「安倍国葬反対」の声 国会前に1万5000人がつめかける
- 2022年 9月 28日
- 時代をみる
- アベキシダ国葬岩垂 弘
選挙演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の国葬が9月27日、東京・九段の日本武道館で行われたが、全国各地で、この国葬に反対する集会・デモが繰り広げられた。東京でも、いくつかの集会・デモがあったが、国会正門前の抗議行動には、1万5000人(主催者発表)がつめかけた。これまで国葬反対運動を行ってきた団体の関係者は「これからも、民主主義を破壊した安倍政治や、多くの国民の反対を押し切って国葬を強行した岸田政権の責任を追及する」と言っており、国葬を巡る問題は尾を引きそうだ。
スピーチをする落合恵子さん(右端)=日比谷公園中幸門で(筆者写す)
この日、私が見た「国葬反対」行動は二つだ。
正午過ぎ、千代田区の日比谷公園中幸門にブラカードやのぼり旗を掲げた人びとが集まり始めた。安倍「国葬」止めろ!市民集会実行委員会が主催する「国葬反対デモ」の出発地だったかからだ。
午後零時半になると、鎌田慧(ルボライター)、落合恵子(作家)、佐高信(評論家)、松元ヒロ(芸人)、古今亭菊千代(落語家)の各氏が小さな台に次々に登壇してスピーチをおこなった。
東京駅に向けて出発するデモ行進=日比谷公園わきの道路で(同)
鎌田氏は「今後は、安倍元首相が壊してしまった民主主義を取り戻す運動を進めよう」と訴え、落合さんは「国葬はきょうで終わるが、私たちの新たな闘いがきょうから始まる。これまでは、自民党の上に旧統一教会が乗っかっていたので、これをはがさなくてはいけない。そうすれば、自民党はまともになる」「安倍元首相の国葬なんておかしい。彼は旧統一教会の広告塔だったんだから」と話した。
松元氏は「国葬にはG7から首脳が1人も来ない。ということは、国の決定権を持つ人は1人も来ないということだ。岸田首相は国葬を機に弔問外交をすると言っているが、決定権のない外国の代表と会談して果たして弔問外交と言えるのか」「国葬には16億6000万円を使うという。これは税金だ。今、日本では、子ども7人に1人が貧困だという。死んだ人に税金を使うよりも、生きている人に税金を使うべきだ」と発言した。
午後1時過ぎ、中幸門に集まっていた人たちは東京駅に向けてデモ行進を始めた。実行委関係者は出発に際して「ただ今、参加者は1000人」と叫んだが、デモが動き出すと、デモの最後尾に次々と加わる人がいて、私には、参加者は1000人を上回るのではと思われた。
私はそこから、国会正門前に向かった。午後2時から、そこで、安倍元首相の「国葬」に反対する実行委員会の主催で「安倍元首相『国葬』反対!9・27国会正門前大行動」が予定されているからだった。
国会正門前に着いたのは開会時間より数分前だったが、国会議事堂に通ずる2本の並木通り(歩道)はすでにのぼり旗や、看板、ブラカードなどを持った人びとで埋まり、溢れた人たちは並木通り外側の公園内にたたずんだり、座り込んでいた。「ここに、こんなに多くの人びと集まったのは、2015年9月の安保法制反対運動以来だな」というのが、私の印象だった。安保法制反対運動とは、安倍政権が憲法9条の解釈変更を閣議決定して、集団的自衛権の行使に道を開いた安保関連法案に反対する運動であった。
大行動では、社民党、立憲民主党、共産党、れいわ新選組の各党の代表や市民団体関係者が口々に「国葬反対」を唱えたが、共通していた反対の理由は、次の3点だった。
第1点=今回の国葬には法的根拠がない。なのに、岸田内閣は国会にも諮らず閣議決定のみで国葬を強行したが、これは憲法違反である。このことは、今後、厳しく追及されるべきだ。
第2点=安倍元首相には国葬に値する業績がない。むしろ、民主主義を破壊したばかりか、国政を私物化した。軍拡も進めた。外交面でも業績がない。
第3点=霊感商法で多くの国民に被害を与えた旧統一教会と深いつながりがあった。
発言者の多くが「国民のざっと6割が国葬に反対している。なのに、国民を無視して国葬を強行する。許せない」という意味の発言をした。
大行動の途中で、何度か参加者全員によるコールがあった。「国葬反対」「岸田内閣は退陣せよ」といった大合唱が議事堂周辺にこだました。「これでは、国民の憤りは当分収まりそうもないな」。私はそう思いつつ会場を後にした。
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