核保有国は核兵器先制不使用を約束せよ 世界平和七人委が緊急アピール
- 2022年 10月 12日
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- 世界平和アピール七人委岩垂 弘核
世界平和アピール七人委員会は10月11日、「核兵器先制不使用をすべての核兵器保有国が直ちに約束するよう求める」と題する緊急アピールを発表した。
アピールは「現在世界は、荒廃と相互対立の激化から人類の絶滅に向かう危険性か、対立を解消して平和で安全に生きていく可能性かの、重大な岐路に立っている」と憂慮し、「核兵器保有国であるアメリカ合衆国、ロシア連邦、英国、フランス共和国、イスラエル国、インド、パキスタン・イスラム共和国、朝鮮民主主義人民共和国の指導者が、直ちにそれぞれ核兵器の先制不使用を約束することを求める」としている。
さらに、日本政府に対し「米国の核兵器先制不使用方針検討に反対していると繰り返し伝えられることを許容できない。核兵器への依存や『敵国』への先制攻撃を否定しない政策を持つ国は、他国からの核攻撃、先制攻撃の標的になることもありうる。これでは政府が国民を保護する責任を放棄し、国民を危険にさらすリスクを増大させることになる」として、「軍備拡大を中心とする安全保障政策から外交努力強化の政策に抜本的に変更すること」を求めている。
世界平和アピール七人委は、1955年、ノーベル賞を受賞した物理学者・湯川秀樹らにより、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならない、を原則に日本国憲法擁護、核兵器廃絶、世界平和実現などを目指して内外に向けアピールを発してきた。今回のアピールは155回目。
現在の委員は大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者)、池内了(宇宙物理学者)、池辺晋一郎(作曲家)、髙村薫(作家)、島薗進(上智大学教授・宗教学)の6氏。
緊急アピールの全文は次の通り。
核兵器先制不使用をすべての核兵器保有国が直ちに約束するよう求める
世界平和アピール七人委員会
現在世界は、荒廃と相互対立の激化から人類の絶滅に向かう危険性か、対立を解消して平和で安全に生きていく可能性かの、重大な岐路に立っている。
国連総会軍縮・国際安全保障委員会(第1委員会)の今期(第77期)の一般討論の初日(2022年10月3日)の会合の冒頭に行われたスピーチのなかで、中満泉国連軍縮担当上級代表(事務次長)は、「核兵器の現実的な危険」が再び世界の焦点になったと指摘し、すべての核兵器保有国に「人類を絶滅の可能性から救うため、あらゆる核兵器の先制不使用を直ちに約束する」ことを求め、ウクライナに荒廃をもたらしている無意味な戦争を終結させるよう訴えた。
これより先8月6日の広島における平和記念式典において、国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、「核兵器保有国は、核兵器の先制不使用を約束しなければならない」と訴えている。
私たち世界平和アピール七人委員会は、グテーレス事務総長と中満代表の核兵器先制不使用約束の訴えを支持し、核兵器保有国であるアメリカ合衆国、ロシア連邦、英国、フランス共和国、イスラエル国、インド、パキスタン・イスラム共和国、朝鮮民主主義人民共和国の指導者が、直ちにそれぞれ核兵器の先制不使用を約束することを求める。
私たちは、中華人民共和国が核兵器保有国のなかで唯一核兵器の先制不使用を宣言してきたことを評価する一方で、核兵器の役割の縮小から廃止、周辺国との緊張緩和・友好に向けて具体的指導力を発揮することを要請する。
さらに私たちは、日本政府が日本国民の大多数の核兵器廃絶の願いに反して核兵器への依存に固執し、米国の核兵器先制不使用方針検討に反対していると繰り返し伝えられていることを許容できない。核兵器への依存や「敵国」への先制攻撃を否定しない政策を持つ国は、他国からの核攻撃、先制攻撃の標的になることもありうる。これでは政府が国民を保護する責任を放棄し、国民を危険にさらすリスクを増大させることになる。私たちは、日本政府が軍備拡大を中心とする安全保障政策から外交努力強化の政策に抜本的に変更することを求める。
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