SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】500 西サハラの政治的地位は植民地
- 2022年 10月 23日
- 評論・紹介・意見
- サハラ国連平田伊都子植民地西サハラ
【西サハラ最新情報】が、500回を迎えてしまいました。 とっくに国連西サハラ人民投票が実施され、独立国西サハラツアーにお誘いするつもりでいましたが、、なにこれ?!
全く、進展なしです。 国連は、31年前の1991年に約束した国連西サハラ人民投票をほったらかしたままです。 今年も国連第4委員会が西サハラは未解決の植民地と、断定しました。
① 2022年10月14日、国連脱植民地化第4委員会:
毎年、10月になると国連脱植民地化第4委員会が、西サハラの政治的地位を決める議論をやる。西サハラの独立を支援する国と、モロッコの占領を支時する国が持論を展開する。
モロッコの西サハラ占領を支持する国は、コートジボワールに代表されるアフリカ西部の元フランス植民地、モロッコ王室と繋がりが深いヨルダンやバハレーンなどアラブの君主国などだ。モロッコは西サハラをモロッコサハラと呼び、モロッコのものだと王令を出した。さらにモロッコは、ポリサリオ西サハラ難民政府はアルジェリアがでっち上げた傀儡にすぎず、アルジェリアは難民キャンプで子供たちをテロリストに仕立て上げようとしていると、主張した。
西サハラの政治的地位は植民地と断定した国連脱植民地化第4委員会
一方、西サハラの民族自決権と独立を支援する、多くのアフリカ諸国と中南米諸国と、アジアでは東チモールやベトナムなどが第4委員会で西サハラ支持演説をした。
モロッコから<テロリスト国>呼ばわりされたアルジェリアの国連大使は、「脱植民地化委員会はまさに分裂寸前まで追い込まれていた。しかし、数多い、疑問の余地がない証言に助けられて、西サハラ問題に関する合法的で歴史的な宣言を発令することができた。この問題に関するモロッコの陳腐な言いがかりや根拠のない中傷は、事実を捻じ曲げ国際社会に誤った信号を送り込んでいる」と、モロッコを強く非難した。アルジェリア国連大使は、「多数の国が自国の国連代表と嘆願者に託し、西サハラの民族自決兼を支持した」と、称賛した。嘆願者の中には、故ネルソン・マンデラの孫も含まれている。南アフリカ解放の伝説的偉人はマイケル。ジャクソンの親友で、即興ダンスもうまかった。
かくして、2022年10月14日の国連脱植民地化第4委員会は、「西サハラは、1960年12月14日の国連総会決議1514が規定する、脱植民地化を急がれる当該地域である。当該地の住民による独立運動は支持され、当該地の天然資源は住民に属する」と、決定した。第4委員会、年に一度のお祭りにすぎないと高を括っていた。が、関係者の情報によると、モロッコのアルジェリアと国連第4委員会に対する破壊工作は、激しかったようだ。が、失敗した。
モロッコの狙いは、アルジェリアを国際社会から追放し、11月1日と2日のアルジェ・アラブ首脳会議を潰し、西サハラの領土と天然資源を手に入れることだ。手段は問わない。
② 西サハラの反応とモロッコの反応:
西サハラ難民政府SADR(サハラ・アラブ民主共和国)は、国連第4委員会の<西サハラは脱植民地化を急がれる植民地>という決定を歓迎した。そのうえで、ブラヒム・ガリ西サハラ大統領は、「国連事務総長は、委員会が出した決定にどうして声明を出さないのか?<西サハラは植民地>という委員会決定にダンマリをきめこむことは、<西サハラ領有>を主張するモロッコの共犯者であることを自白しているようなものだ。しかも、<西サハラ>を<モロッコサハラ>と勝手に地名変更していることに、国連の長として質そうとしない」と、モロッコの肩を持つ国連事務総長を批判した。さらにガリ西サハラ大統領は、「MINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)は、その名称通り、人民投票の監視作業に一日も早く取り掛かるべきだ」と、動こうとしない国連事務総長と事務所を非難した。
モロッコは不本意な国連第4委員会の決定にあまり触れず。「ムハンマド六世モロッコ国王殿下の声明を、グテーレス国連事務総長が10月3日の国連安保理に対する報告に取り上げ、その中でモロッコ国王を称賛した」と、国王に忖度する発表をした。
10月14日のMAPモロッコ国営通信は、「ムハンマド六世モロッコ国王陛下の呼びかけに応じて、スペイン首脳がモロッコの自治州案を認めた歴史的事実を、国連事務総長は西サハラ報告書に明記し国連安保理に提出した」と、発表した。そして、「モロッコ領土内でのサハラ自治州案が唯一、現実的で有効な手段だ。90か国以上が、モロッコ自治州案を支持している」と、自画自賛した。
10月15日のMAPモロッコ国営通信は、「7月30日の戴冠記念日にムハンマド国王陛下がアルジェリアに和解を呼び掛けた演説を、グテーレス国連事務総長は、同じ報告書の中で絶賛の言葉とともに紹介した。そして、報告書は、モロッコサハラ紛争の責任はアルジェリアにあるとする、モロッコの主張も明記した」と、公表した。真偽のほどは、西サハラ報告書を作成したグテーレス国連事務総長にしか分からない。
国連第4委員会の決定は、残念ながら、国連総会決議と同様に強制力を持たない。モロッコはそれをいいことに、<西サハラ・最後のアフリカ植民地>の決定を無視し、国連事務総長の一本釣りを企んでいる。そして、占領地西サハラのモロッコ化を加速させている。西サハラを勝手にモロッコサハラと名称変更し、占領地西サハラに発展途上国の領事館を誘致し、封じられた西サハラ原油の開発を欧米やイスラエルにけしかけている。
③ 国連安保理で非公開の西サハラ協議:
国連安保理は予定通り10月17日に、西サハラ協議を非公開で行った。グテーレス国連事務総長は欠席。事務総長が10月3日付で安保理に提出した西サハラ報告と。出席したスタファン・デミストラ西サハラ国連事務総長個人特使とアレキサンダー・イバンコMINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)団長の報告をもとに、協議が行われた。
国連安保理協議の後、オマル西サハラ難民政府国連代表はスタファン・デミストラ国連事務総長個人特使に国連本部ビルの事務総長事務室で会った。
オマル代表によると、「安保理協議で、デミストラ国連事務総長個人特使は二回目となる当該地域の訪問やその他の活動を報告した」そうだ。二回目の国連事務総長個人特使の訪問とは、9月の初めに、モロッコ首都ラバト、西サハラ難民キャンプ、アルジェリアの首都アルジェ、モーリタニアの首都ヌアクショットなどを訪れたことを指す。個人特使はラブロフ。ロシア外相にも会っている。国連安保理協議は。2021年10月29日に採択された安保理決議2602も参照にするそうだ。。
「モロッコは、1991年の国連停戦を2020年11月13日に破った。西サハラ人はその違反行為を糾弾するため、断固として銃を取り続ける。が、平和解決への門戸は閉ざしていない。その平和解決は、国際社会が認めている西サハラ人民の民族自決権と独立権に基づいたものでなければならない」と、オマル代表は強調した。
しかし、国連安保理は西サハラ問題だけを、何故、非公開で協議するのか?不可解だ。
国連安保理の西サハラ協議に、グテーレス現国連事務総長がモロッコの言うような報告書を提出したのだろうか?
もし、モロッコの国連事務総長に関する言い分をそのまま受け取ったとしたなら、平等かつ公正であるべき事務総長のあってはならない違反行為で、弾劾に値する。
グテーレス現国連現事務総総長は、本当に西サハラ紛争を解決する気があるのでしょうか? 国連安保理は真面目に西サハラ問題を討議する積りがあるのでしょうか?
まず、西サハラは、国連安保理に出席すべきです。 あらゆる手段を講じて、国連安保理の円卓で祖国西サハラのことを訴えるべきです。 パレスチナも安保理に出席して、陳述しました。 何故、西サハラだけが、出席できないのですか? いつまでも西サハラ問題が放置されているのは、その当事者が会議から外されているからだと思いませんか?
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年10月23日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12478:221023〕
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