DHCから身を退く吉田会長に問われる社会的責任
- 2022年 11月 15日
- 評論・紹介・意見
- DHCスラップ訴訟澤藤統一郎
(2022年11月14日)
DHCが身売りするという。その買い手はオリックス。DHCよりはなんぼかマシの印象。事業は承継されるが、吉田嘉明は経営から手を引き、ブランドを強化するという。吉田嘉明が経営から脱しさえすれば、それだけでブランド力は、なんぼかマシになるだろう。
消費者がその力量を発揮してDHCを追い込んだという構図ではなさそうなことが少々は残念だが、デマとヘイトとスラップの元兇と目されてきた吉田嘉明退任だけでも、良いニュースと捉えよう。
少し考えさせられる。私が、DHC・吉田嘉明とスラップ訴訟を闘っているときであったら、どうなっていただろうか。訴訟継続の是非は、新経営陣の判断に任されたであろう。そのときには、どのような訴訟終了の選択がなされただろうか。
もっと早期に吉田嘉明が経営から手を引いていれば、私が被告とされることはなかったのに、と思わないでもない。こういう傍迷惑な問題経営者がのさばっているのは、社会の歪みである。DHCには、まずは早期に、純粋な経済合理性に基づく企業活動のできる会社への変身を期待したい。
その後は、コンプライアンスに遺漏なく、企業倫理を弁えたDHCへの成長を期待したい。吉田嘉明さえいなければ可能であろう。
さて、このDHCの身売りの事情については、いつもながらリテラの報道が、群を抜いて詳しいし、面白い。下記URLを参照されたい
オリックスDHC買収で「虎ノ門ニュース」だけでなくヘイトデマ垂れ流しの「DHC テレビ」も解体の動き 問われる吉田会長の責任
https://lite-ra.com/2022/11/post-6244.html
以下何か所か、引用させていただく。
今月7日、DHCテレビジョンが制作するネット配信番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』が11月18日をもって終了すると発表された。『虎ノ門ニュース』といえば、百田尚樹氏や有本香氏、ケント・ギルバート氏、竹田恒泰氏などといった安倍政権応援団がコメンテーターとして勢揃いし、ヘイトと陰謀論、フェイクを撒き散らかしてきた“ネトウヨの巣窟”的番組。それが7年8カ月の歴史に幕を下ろすと公表され、歓迎の声の一方で「いったいなぜ」と憶測を呼んでいたのだが、その理由が明らかになった。
11日にオリックスが、DHCテレビの親会社であるDHCを、事業継承目的で買収すると発表したのだ。
オリックスはDHC創業者でDHCテレビの代表取締役会長でもある吉田嘉明・DHC会長兼社長から全株式を買い取り、吉田会長兼社長は株式譲渡完了後に退任する。
オリックスによる買収にともなうかたちで、DHCを冠にしたヘイトメディアは消滅する可能性はかなり高いと思われるが、そのことを手放しで喜ぶことはできない。このままでは、オリックスの事業継承によって、吉田会長やDHCテレビが喧伝してきた犯罪的なヘイト・陰謀論などがなかったことにされ、問題自体がフェードアウトしてしまう恐れがあるからだ。
しかも、DHCテレビがなくなっても、もっとも酷いかたちで復活する可能性もある。前述したように、今回の買収総額は3000億円程度と言われており、吉田会長は莫大な金を手に入れることになる。新たなメディアを立ち上げることはもちろん、巨額の資金をバックに政界に進出しても、何ら不思議はない。
こういった暴挙を許さないためにも、DHCの名の下に吉田会長が垂れ流してきた差別、DHCテレビが流布してきたデマやヘイトをなかったことにせず、その犯罪性を改めて徹底的に糾弾していく必要がある。
そしてもちろん、DHCを買収し、吉田会長に巨額の金を払うことになるオリックスもその社会的責任が問われるべきだ。
オリックスは、メディアの取材に「人種などによるあらゆる差別を容認しない」という通り一遍のコメントを出しただけで、ネット上では「差別を容認しないなら、なぜそんな会社を買うのか」と批判を受けているが、たしかに、この程度の対応でお茶を濁していいはずがない。
少なくとも、DHCの事業を引き継ぐ以上、その代表、会社および関連会社がやってきた行為についてきちんと総括したうえで、吉田会長をきちんと名指ししてヘイトを批判し、社会や被害者に対して真摯に謝罪する必要があるはずだ。
まことに、そのとおり。カネは、凶器になるのだ。カネモチは、危険なある。ある。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2022.11.14より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=20285
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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