宇宙空間の戦争=サイバー戦争=ウクライナ戦争 (3) ーーー日本人もウクライナ戦争に参戦、愚かな!ーーー
- 2022年 11月 15日
- 評論・紹介・意見
- サイバー戦争柏木勉
9条精神に違反! 戦争を行っている日本人
前回触れたロシアに対しサイバー攻撃を行っている日本人は、戦争を放棄した日本国憲法の精神を無視していることは明らかだ。少数とはいえ戦争を行っているのだ。当該日本人にはその認識もある。インタビューに対しては「戦争に参加している、」と答えている。
更には、以前から問題視されていたのだが、この11日にはウクライナ戦争に参加した日本人志願兵(義勇兵か、傭兵か)の死亡が伝えられた。(周知のように、ロシア侵攻直後、在日ウクライナ大使館は外国人「義勇兵」を募集するツイッターの投稿をおこない、すぐに約70人の日本人が応募した。多くはもと自衛隊員。投稿は日本政府の要請で間をおかず削除された)
この両者については違いがある。違いは自分自身が直接相手に物理的攻撃を行うか(殺すか)否か、或いは直接攻撃されるか(殺されるか)否か、という点だ。この点、サイバー攻撃では間接的だ。しかし、どちらにせよ戦争に参加していることに違いはない。感情的なのか、短絡的なのか、過去の戦争について知らないのか、考えたことがないのか、あるいは確信的右翼なのか、左翼なのか。9条など最初から頭の中にないか或いは無視したのだろう。
無論、憲法の「戦争放棄」は全体としての「日本国民」が主体であり、個々の日本人ではないとか、解釈は色々だ。だが、ここでは法解釈を述べたいわけではない。戦争放棄の精神=共同幻想を言っている。とりあえず、「戦争放棄」の主体は共同幻想としての日本国民であり、対幻想、個人幻想レベルでは話が違ってくる、と言っておく。自分の家族の生死や一個人の生死は、共同幻想レベル(例えば戦争)での生死とは区別すべき。(これは吉本隆明の考えだが、小生は正しいと考える)
ここで若干気になるのは、現地に渡る日本人志願兵の問題に関しては、国内法ではどういう対応になるのか?という問題だ。この問題はすでに国会でもとり挙げられて来ている。国会質問のごく一部だけ要約して紹介すれば、
「ウクライナ正規軍に義勇兵として、あるいは非正規軍の一員として参加して、ウクライナ国内で防衛に参加する場合はどのような罪に問われる可能性があり、戦闘行為でロシア軍兵士を殺害した場合はどのような罪に問われる可能性があるのか。また、攻撃を受けて自衛のために武器を使用し、ウクライナの民間人を誤って殺害した場合はどのような罪に問われる可能性があるのか」(参議院・質問主意書 令和四年三月十日 羽田 次郎)
といったものだ。これに対する政府答弁は殆んど何も答えていない。答弁は「犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であるため、一概にお答えすることは困難である」。 当座の答弁としてはそう答えるしかないのだろう。義勇兵は刑法の「私戦予備及び陰謀罪」に問われる可能性があるともいわれるが。
国会質疑や民間の場での議論は露払い
戦争と言うと、自衛隊という軍が対外戦争を行うという意識が一般的だ。自衛隊の海外派兵は、テロ対策やイラク復興支援などの特措法、いわゆる国連の国連平和維持活動(PKO)への参加、集団的自衛権など安保関連法など、全く欺瞞的ではあるが名目的・法的取り繕いをおこなってきた。だが、日本人のロシアへのサイバー攻撃は対外戦争への参加であるにもかかわらず、殆んど問題にされていない。NHKの報道でも、その点は日本国内の不法アクセス禁止法などの法違反という観点から報じるだけだ。従来のサイバー攻撃は国内の日本人および外国人による一般的犯罪という観点から取り扱われてきたのである。今回死亡した日本人志願兵についても、同じ観点からの取扱いになると思われるが、政府の対応はうやむやに流していくことが基本線になるのだろう。
だが、この数年行われてきた国会質問の多数は、犯罪としてのものではなく、国の自衛権に関わるサイバー攻撃という観点から行われてきた。例えば
「我が国が武力攻撃の一環としてサイバー攻撃を受けた場合、相手国のサーバー(第三国に存在するものを含む。)に対してサイバー攻撃を行うことは自衛権行使の範囲内か否か?」とか、あるいは「相手国によるサイバー攻撃実行の着手があったと法的に評価される状況になれば、自衛権を発動して当該サイバー攻撃に対処することが可能となるのか?」とか、現在まさに問題になっている「反撃能力」に関わるものも取り上げられてきた。
そして、これら質問に対する政府答弁は、「質問自体が法に照らして正確に定義されていない不明瞭なものであるから、答弁できない」といったはぐらかしが多かった。
しかし、小生が言いたいのは、これら国会質疑や民間の場での議論はいわば露払いであったこと、そして、今後戦争勢力がいよいよ本格的に強力に推し進めようとしている企てについてだ。
それが前述の軍民融合・軍民一体化の体制確立である。そこでは個々の民間人や企業としてのの行動と軍としての行動の区分が曖昧にされ、一体化がはかられる。サイバー戦争を中心とするそのような体制である。(続く)
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