経産省前テントひろば日誌11月24日版
- 2022年 11月 28日
- 時代をみる
- 木村雅英
経産省前テントひろば、脱原発テント設置日(2011年9月11日)から1807日目(2016年8月21日)にテント強制撤去。2022年11月24日は、座り込み4,094日目。これは、マハトマ・ガンディー「非暴力、不服従」の実践です。
◎ コロナワクチンは、わからないことが多い 11月18日(金)
今日は、一日中暖かく、座り込んでいると眠気を誘うような陽気だ。金曜日の当番が勢ぞろいをした。話題はコロナワクチンのこと、Wさんがコロナワクチン特集の雑誌を持ってきて、「これを読んでみて」と渡してくれた。彼女は元看護師なので、ある程度、専門的な知識を持っている。ちらっと読んでみたが、かなり難しく、家に帰って読んでみようと思う。テントの人はワクチンに対して懐疑的な人が多く、私自身よくわからない。
午後2時過ぎたころだろうか、韓国の留学生が大きな荷物を抱えてやって来た。バックの中から取り出したのは大きな三脚とビデオカメラ、大きなマイク、撮影の機器一式だ。それを組み立てて、僕らを撮影し始める。ちょうど、藤原節男さんが来ていて、福島3号機核爆発についての、ご高説を賜っているところだったので、ちょうどよかった。今日は、彼女が、経産省抗議行動の場面を撮影するようだ。政府や経産省が原発推進の馬鹿げた政策をひた走っている昨今、何としてもブレーキをかけなくてはいけない。ありとあらゆる手段で、脱原発を実現していかなくてはならない。(S・S)
◎原発再稼働促進・運転延長・新増設反対 11月18日(金)後半
脱原発コールで経産省抗議行動を開始。Yoさんから、第6次エネルギー基本計画に反して原発推進は許されない、電力不足は嘘だ、安全確保の上で原発稼働と言っているが信用できない、原発稼働により膨大な核のゴミが出る、原発も原爆も同じ、NO WAR、NO NUKES。
田中一郎さんから、ガソリンや石油の値段が上がったと、石油会社に税金をばらまく政策は、医療で言えば対症療法で全く本質的対策になっていない、環境に捨てられる熱を活用するコジェネを生かす、再エネを推進する、化石燃料への依存を減らす、など本質的な政策をしない経産省・岸田政権、税金ばらまき政策をやめろ。
K.Mから、GX実行会議を受けた岸田政権の原発政策転換への反対行動を紹介、経産省前テントひろばによる毎週の申入れ行動、11月7日の院内集会で炉規法を管轄する原子力規制委員会が老朽原発延長期間について逃げていると同時に資源エネルギー庁がこの判断から逃げている、その結果、11月16日の規制委でも、この検討が保留になった、原子力小委員会や基本政策分科会では委員がエネルギー危機を口実に原発推進しようとしている、総合経済政策の議論で有識者から資源エネルギー庁に節電・託送料金下げ・再エネ推進・ガソリン援助はCOPに反する、太陽光と蓄電伸ばせ、イチエフ汚染水「海洋放出」について環境アセスメントをすべき、北太平洋を対象にアセスメント必要、国際法に違反している等の追及、韓国で海洋投棄反対の日本大使館前の行動がありオンライン中継、電力逼迫について資源エネルギー庁の説明不足を追求、このように、岸田政権の原発推進政策に各省庁が苦労している。
続いて、Moさんと、はしゆきさん他で「座込め、ここへ」と「水に流すな」。
Miさんから、岸田政権の原発回帰を批判、原発依存を減らす・新増設凍結の決定を無視して進めることを批判、参議院選挙で誤魔化しておいて、選挙後に政策転換することがひどい、民主主義の原則を破っている、独裁的だ、専制政治だ、このような政治権力を抑制する運動(大衆運動)を展開していこう。
乱鬼龍さんから、ウクライナ戦争で原発が原爆になりうることが明らかになった、原発は駄目、戦争は駄目、農薬が駄目、海も山も川も放射能汚染、ガンなどの疾患増、岸田政府(セイフ)はアウト、このままでは日本は駄目になっていく、頑張りましょう。
Yoさんから、IAEAが原発推進しているが、今週も3回地震、この日本で原発動かしてはいけない、高市早苗議員がイチエフ事故で誰も死んでいないと言った、ひどい、死刑廃止を実現しよう。
Ogさんから、11.20「高裁は弁論再開を! 一審判決を破棄し、公正な判決を求める集会」の案内。最後にコールで締めくくった。続いて「原発いらない金曜行動」に多数が移動。なお、集会中に中国中央TVが撮影、集会中の、トラメガ音量不足も反省、片付けは、藤原節男・はしゆきさんに依頼。(K.M)
https://twitter.com/keroppu8649/status/1593432285575274497/photo/1
https://twitter.com/keroppu8649/status/1593617271083393025/photo/2
(はしゆき)
今日は撮影が入っています。映画学校の留学生さんです。卒業制作の作品に私たちを撮ってくれています。横断幕「放射能汚染水を海に流すな」がピカピカに新しくなっていますね!誰か作り直してくれたようです。国会南庭前「未来のための合唱」第三金曜日19:00-20:00、10年の歴史のある合唱グループだそうです。今日は、コロナ後では最大級の盛り上がり、最終的には12人の大合唱(大合奏?)になりました。ことに十数種類の楽器を身につけ、歩きながら合奏するひとりブラスバンド?のSさんには大喝采。(はしゆき)
◎日本を守るって、どういうことなのか 11月19日(土)
・守る
昔、「ウルトラマン」というテレビドラマがあった。ウルトラマンは、地球の平和を守るヒーローである。当時、小学生だった私は、気にもならなかったが、とにかく怪獣に負けず劣らず、民家やビルを壊しまくるのである。怪獣との格闘結果による不可抗力ではあるが、地球の平和を守るために、日本の町を怪獣ともども破壊しまくるのである。その破壊の特撮も売りなので仕方がないが。ウルトラマンが、畳一面にばら撒かれた画鋲を踏まないかのように、つま先立ちで、建物をよけて怪獣と戦ったら視聴率取れないしね。
もっと昔に「地球防衛軍」という映画があった。冒頭に宇宙人の巨大ロボットが富士山麓の村を襲い、自衛官・警察官・消防団員らが必死に村民の避難誘導していたシーンが強く印象に残っている。「自民党って、ウルトラマンなんだなあ」と思う今日この頃。(O・O)
◎ いまいちパワーの上がらない感じ こんな日も 11月20日(日)(はしゆき)
https://twitter.com/keroppu8649/status/1596046767782780929/photo/1
空はどんより、雨は降らず。いまいちパワーの上がらない日曜でした。おなじみメンバーで、今まで参加したことのある集会のこととかを、おしゃべりしていました。
スタート時点で、藤原節男さん一人だったので、椅子はいつも通り並べたものの、幟は一つしか立てなかったそうです。そのあと人数は増えたのですが、幟そのままで、いつもより寂しい絵になりました。
◎ 静岡集会から送られたバナーが人気 11月24日(月)
きのうから降っていた雨は朝方に止んだので、空は晴れて陽の光が燦燦と降り注いでいて、暖かい座り込みであった。きょうは正午から福島原発事故被害者全国連が、東京高裁前でアピール集会をやっているので、座り込み準備を終えた後、急いで駆け付けた。原告が次々に高裁に向かって切々と訴えた。「交通事故であれば、被害の軽重に拘わらず加害者は処罰される。しかし一審の刑事裁判では東電経営者三名は無罪とされた。あのような重大事故を起こしたにも拘わらず!です。こんな理不尽なこと、許してはなりません。真実を見極める目を持って、どうか、この理不尽を正してください」とのこと。誠に説得力ある訴えでした。アピール集会を終えた後、原告団は新たに作成した上申書を裁判官に手渡すため、裁判所に入っていきました。
裁判所から帰って来たら、乱鬼龍さんが来られていた。「午後4時半から、関西生コン労働組合の週刊実話に対する民事裁判があるので、有給休暇を取った」とのこと。この裁判は、乱鬼龍さんが、たまたま買った週刊実話に、関西生コンを誹謗中傷する記事が三回にわたって載っていたので、これを救援連絡センターに相談したことから始まったものである。午後3時からビラ巻きがあるというので、30分ほど参加してきた。
午後2時頃、やって来た人が静岡の反核団体から寄贈された少女のバナーを何枚も撮っていた。「人気があるのだなー」と思って見ていたが、テントニュースを手渡して話を聞いてみたら「この絵を描いた人は友達なんです。毎日、ここに掲げられているというので、見に来た。これをフェースブックに載せて、友達に見せてやります」とのこと。やって来た彼は、こっちの生まれだが、たまたま、この絵を描いた静岡の人と友達であったとのこと。(保)
◎ 経産省前では、アスベスト被害の抗議行動があった 11月22日(火)
経産省前路上でYさんと15分前に合流して準備を始める。椅子に括り付けたバナーが倒されるほどに強風だったが、12時過ぎには大汗が出るほどの日差しもあって、快適な座り込みとなる。早速、この日の総務省交渉に参加するIさんが立ち寄ってくれる。そして、いつものPさんや、初めてのおじさん、そして常連の二人組などで賑やかになりました。
しばらくして、経産省前には東京土建の宣伝カーがやって来て、「これからアスベスト被害の裁判に関連して抗議を行う」という。そこで、西新橋事務所に戻って印刷したテントニュース最新号を100名近く集まった経産省前の人たちに配布。皆さんには、快く受け取って頂きました。アスベスト被害者訴訟というのは、「社会に暮らす人たちに安心して住むための家を建設する労働者が、誤って採用されたアスベスト建材で、被害を受けた。それも死に至る病に侵されてしまった」という事件。宣伝カーに貼られた横断幕には「あやまれ、つぐなえ、なくせ」と書かれ、その前で神奈川、埼玉、千葉の建設労働者の遺族たちが、マイクを握って経産省に対して責任を取るよう、経産省で働くみなさんに切々と訴えていました。(EO)
◎ 珍しく、雀の集団がやってきた 11月23日(水、祝)
天気予報どおりに、朝から雨で、気温も低く、寒かった。今日は休日なので、経産省前の人通りもほとんどなく、当番2人はセッティングのあと、静かに座り込んでいた。裁判所も休みなので、裁判傍聴で寄ってくれる人もいなかった。
ところが、どうしたわけか、雀の集団がきて、食べ物を要求するような感じで、足元でチュンチュン鳴いた。前回まで、数週間、みかけなかったのに。Ogさんが、会議があるそうで、ついでに寄られた。倉田さんが、規制庁前抗議がないのに、来てくれた。東京西部ユニオンの2人も来てくれて、今日は計7人。雨が降り続ける中、定刻3時に終わる。(T・I)
◎ 月例祈祷会があって盛り上がった 11月24日(木)
セッティング当初は、強風が吹き荒れて、人気のあるヒマワリ娘のバナーは、とても取り付ける状態ではなかった、他のバナーを何とか3枚だけ取り付けたが、強風に煽られてバタバタとはためき、そのバナーは水平状態になっていた。すると、「凄い風ですね」と言いながら、「東京地裁で行われる『日の丸・君が代裁判第5次訴訟』の原告です」という元高校の先生が「公判の始まるまで」と、座り込みに参加され、カンパまで頂きました。
今日は、体調を崩して2週間ほど、お休みしていたヨーカンさんも無事に復帰し、Siさんも来て下さり、久しぶりに前半・後半の当番者が全て揃いました。14時半頃、上記の公判に参加する前にと、八王子のKさんが「諦めない」お煎餅を持って来てくれました(いつもありがとうございます)。
14時半からは、JKS47士による月例祈?会が行われた。まず座り込み者に対して感謝を述べられ、音楽(①生活の柄 ②平和に生きる権利)から始まり、読経等を行い、経産省に対しては、原発再稼働糾弾・放射能汚染水海洋放出糾弾等を叩き付けた。次回の祈?会は、12月16日(金)とのことです。(Y・R)
=====投稿=====
師走が足音もなくやってくる、そんな日々なのだが
霞が関の街路樹も紅葉している。一句ひねりでもするか、なんて思って、ぶらつくのもいいかもしれない。各地の紅葉が映し出されるテレビを見ては、霞が関界隈も、なかなかのものだと思うことしきりだ。ポストには忌中の知らせが届き、メールでは忘年会の知らせも、ちらほら、師走が、足音もなくやってきてという感がする日々だ。
「国葬」が迷走の始まりだった岸田政権は統一教会問題で四苦八苦しながら、大臣の辞職が続いている。「任命責任を感じている」という紋切型の弁明に、「じゃあ、どうするつもりなのだ」と混ぜ返したくなる。たまにしか見ないテレビの国会中継を見ると、立憲民主党の岡田幹事長が「政府の救済法は40点だ」なんて言っていて、苦笑を誘う。被害者救済は、自民党が統一教会をカバ一してきた経緯をみれば、重要なことであり、被害者の救済を実情にそって行うべきであり、その有効な方法を考えなければならない。しかし、統一教会の解散を含めて、自民党が積極的に動くことが考えられない。したがって、野党の役割は大きいのだから、この問題くらいは「合格点だ」と言われる活動をして欲しいと思う。
統一教会と自民党の癒着問題の一番重要な点は、自民党の安倍派(清和会)と統一教会との政策の癒着にあることで、その点にメスを入れてほしい。岸田文雄が、統一教会と安倍晋三の関係の調査を拒んでいるのも、この政策での野合が明らかになることを恐れているからだ。家族問題、原発問題、憲法問題で安倍政権の政策を、統一教会は支援し、そこに浸透してきた。安倍派はそれを受け入れてきたのであり、政策の癒着が問題なのだ。この問題を切開することは、安倍政権の政治的構造を明らかにすることだが、それは岸田文雄には無理な話と言える。それをやれば、岸田文雄を含めた自民党の政治的中身をさらけ出すことになるのであり、岸田文雄がそこを切開することはない。「せめて、野党がここを切り込んでくれたら」と思うが、「これは無理か」とも思う。今のメディアにも、そんな力はない。
大臣が、次から次に辞職に追いやられ、政府の体たらくを見せつけられる。これは、大相撲で言えば、ころころと負ける弱い大関陣の姿を見ているのに、似ている。大相撲なら「弱いね」ということで済まされもするが、岸田政権については、そんな感想だけでは、済まされない。なぜなら、岸田政権は、国会での体たらくをさらけだしながら、他方で、恐るべき政策の推進をやっているからだ。
その一つは、前回の投稿で触れた原発政策の方向転換「原発回帰」に舵を切ったことである。もう一つは「敵基地反撃能力の保有」という防衛政策の転換である。これは、従来の「専守防衛」からの逸脱であり、憲法解釈のさらなる変更である。「敵基地反撃能力」は、必然的に先制攻撃論に発展する。従来の「侵略を受けてからの、自衛(抵抗)としての防衛(専守防衛)」ということ、すなわち「侵略」という具体的事実において防衛(自衛)を成立させるという線は、かつての戦争経験から導かれたことであり、「政府の勝手な意向で、戦争を始める」ということを防ぐ規定であり、歴史的にみれば重要な規定である。これが、なし崩しに変えられようとしている。防衛問題では、「侵略を誰が判断し、防衛行動を誰が発動するのか」が問われる。今は、一応、内閣総理大臣ということになっているが、これは、信頼できるものでないことは明確だ。こういう「侵略を誰が判断し、防衛行動を誰が発動するのか、根本的な問題での国民的合意を持たない」ということは、「内閣総理大臣には、戦争担当能力などない」ということであり、こういう問題を考えないで、「敵基地反撃能力の保有」なんて議論することが無意味であり、結局のところ、「政府の独断で戦争を開始できる根拠を与える」ということにしかならない。安倍の「戦争のできる国家への道」を、岸田が踏襲しているだけである。
これら「原発回帰」「敵基地反撃能力の保有」の二つが、政策として危険なものであり、権力の暴走というべきものである。そして同時に、この手続きというか、政治的手段は恣意的であり、非民主的なものである。「どのようにして国民的合意を形成するか」というところから、国民の意向を無視している。
国民意識の現状も、それを踏まえての合意形成手続きも、全く無視して、政府の独断的な、専制的な方法でやっているだけである。これは「権力の暴走」なのである。体たらくな政権運営の背後で、こういう暴走をやっている動きを見ていなければいけない。
「原発回帰」「敵基地反撃能力の保有」の二つを進める岸田政権の動きに僕らは注目し、それに抗っていかなければならないが、「原発回帰」のうちの「原発稼働の時間的制限の撤廃、あるいは変更」について、少し論じておきたい。というのは、この動きは無責任だし、危険だからである。原発運転期間は、福島原発事故後に、原子炉等規制法が改正され、「原則40年、原子力規制委員会が認可すれば、例外として、最長で20年延長できる」と認められた。この規制に対して岸田政府は規制を撤廃する方向を打ち出した。この撤廃案は、この「原則40年、例外60年」という枠組み(ルール)そのものを撤廃する案と、「稼働停止期間は稼働期間(時間)から除外する」という2案があり、この後者の方向を採用すると伝えられている。「停止期間は、40年と60年という枠中から稼働停止期間を外し、その分だけ、時間を延長できる」ということである。単純に言えば「停止期間が10年なら、最長70年に」ということである。「原則40年のうちから、この停止期間10年を除き、実質50年にする」というものである。運転期間制限は稼働による経年劣化(老朽化)の判断であり、それゆえに稼働期間を規制の対象にすることだった。これは福島原発事故後に国会(立法府)で審議され、決められたことである。この変更は、停止中は稼働による劣化がないものとみなし、稼働可能時間とすることである。
この点ついて、原子力規制委員会は次のような報告をしている。「停止期間中は原子炉の放射能が照射される環境にないから、劣化の要因は考えられない。考慮しなくてもよい」というものだ。要するに「稼働していなければ劣化を考えなくてもよい」ということである。だが、他方で「コンクリート構造物の中性化、塩分浸透、アルカリ性骨材反応、機械振動…原子炉圧力容器のスタビライザ等の消耗と言った事象については、長期停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展する」(運転期間延長許可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解)とも述べている。評価の必要を語っている。そして、「発電用原子炉施設の運転をどのくらいにするかは、原子力の利用のありかたに関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べることがらではない」という(前同)。原子力規制委員会は「評価はするが、稼働するかどうかは自分たちが判断すべきものではない」という逃げを打っている。これは「利用期間の規制が安全規制の重要な柱のひとつであることを無視している」のであり、政府の規制撤廃の動きに呼応するものだ。「原子力規制委員会が認可すれば、例外的に最長60年の運転ができる」とした規制からの逃亡である。逃亡というよりは、政府の政策に迎合して、規制委員会の役割を変更(放棄)しているのだ。
福島原発事故後に稼働期間が問題とされたのは、経年劣化が問題とされ、その判断を電力業界等の利害団体や政府などではなく、「科学的なグループ(原子力規制委員会)による判断にゆだねる」ということにしたのだが、結局、政府がそれを尊重せず、原子力規制委員会も独立した判断(機能)をしていないということだ。コロナ対応でも、その政策は「科学的判断を優先して」ということが、問われた。原発の稼働期間も、「科学的知見を優先して判断する」ことになっているが、今の原子力規制委員会には、その機能がないことを示している。政治と科学的判断を要するものとの関係だが、そこに、僕らは文化程度をみているといえようか。原子力規制委員会を見ていると、科学技術者の自立度(独立度)を見ていることになるが、これは科学技術が社会化されるときに、科学技術的に運営されるかということの問題である。そしてそのこと自体が優れて政治的なことだ。原発政策を構想する政治には、そうした文化的なことがなければならないのだが、岸田の原発政策の転換に、文化的なものはどこにも見えない。原子力規制委員会は、科学技術的立場から抵抗しなければならないはずだが、情けないことに、その片鱗すらみられない。
現実には再稼働が進まない中で、現在、稼働停止中の原発が40年を迎えることも多々あり、政府や官僚は、例外だった40年超の原発稼働(原子力規制委員会の認可した原発のみ、例外として稼働が可能)を、例外ではなく、あたりまえのことして稼働させようとしている。老朽原発の稼働である。その画策である。東海第二原発、高浜原発、川内原発などである。老朽原発への規制を撤廃しようという動きだ。この政治的判断は、結局のところ、原発を利用し尽くそうということである。ここでは福島原発事故の教訓だった安全性への考慮は消えている。
運転期間制限ということは、時間とともに原発が劣化していくことへの対応である。これは、地震や津波のような外的条件で安全性が脅かされるというよりは、原子力発電所内の内的条件で、時間を経ることで安全性が危惧される状態になることへの対応である。従来、原子力発電所の経年劣化が対象になり、40年で稼働をとめるという判断であった。今のところ、これを変更する判断の根拠は示されていない。政府、電力独占体、官僚は、利害によって、規制の変更を進めようとしているだけである。老朽原発の稼働延長には多くのリスクがあるという僕らの判断は科学的な推論としてあることだが、「疑わしきは罰せず」ではなく、「疑わしければ罰する(稼働延長を避ける)」ことをやらなければいけない。予測できるリスクを考えれば、当然のことである。(三上治)
=====デモ・集会のおしらせ====
★12月2日(金) 経産省前抗議行動(17時~18時)(毎週)
★12月2日(金)、12月3日(土)。4日(日)
東海第二原発いらない 第6波一斉行動
★12月4日(日)老朽原発動かすな!関西集会
13時 関電本店前 15時「うつぼ公園」からデモ
★12月7日(水)東海第二原発 運転延長20年許すな
第53回原電本店抗議行動 17時~17時45分 日本原電本店前
★12月7日(水)東電は責任を取れ! 第111回東電本店合同抗議
時間:18時30分~19時30分 場所;東電本店前
★「原発政策の大転換を許すな!全国統一行動」
12月4日(日)~18日(日)
再稼働阻止全国ネットワーク
★「原発政策の大転換を許すな!東京集中行動」
12月8日(木)午後
再稼働阻止全国ネットワーク
★12月9日(金) 経産省前抗議行動(17時~18時)(毎週)
記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4981:221128〕
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