日本への警告:岸田首相が防衛費をGDPの2%に設定したことで、日本は東アジアにおける最大の不安定要因になる
- 2022年 12月 12日
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- グローガー理恵
中国のメディア”Global Times“による日本の防衛費引き上げに関する報道をご紹介させていただきます。Global Timesの記事は、黒龍江省社会科学院北東アジア研究所の笪 志剛 (Da Zhigang) 所長と中国社会科学院日本研究所研究員の吕 耀东(Lü Yaodong) 氏の見解を基に展開され、結論として、「日本の防衛費増加は東アジアにおける最大の不安定要因となる」と、日本政府の決定を明確に批判しています。
原文(英語)へのリンク:https://www.globaltimes.cn/page/202211/1280795.shtml
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日本への警告:岸田首相が防衛費をGDPの2%に設定したことで、日本は東アジアにおける最大の不安定要因になる
2022年11月30日
岸田文雄首相
平和憲法を掲げ、平和の道を歩むと主張する国である日本が、さらなる武装化を目指していることを考えると、日本が歴史的な過ちを繰り返すのかどうか、その将来に大きな疑問符が付く。月曜日(2022年11月28日)に、日本の岸田文雄首相が、2027年度の防衛予算を国内総生産(GDP)の2%に引き上げるように指示したことに対して、中国観測筋は深い懸念を表明した。
火曜日(2022年11月29日)のジャパンタイムズによれば、岸田首相は防衛大臣と財務大臣に、2027年までに防衛費をGDPの2%に増大させるように指示したという。ー これは与党が長年求めてきた予算目標額だったが、今、岸田首相は明白に示された予算額として言及したのである。
浜田靖一防衛相は会議で、「財源不足のためにできないと言うのではなく、我々は迅速に必要な資金を確保する方法を見つけなければならない」と、述べた。
日本は長い間、年間の防衛費の上限をGDPの約1%、すなわち5兆円(360億ドル)に設定してきた。防衛省は、「国の防衛能力を改善するために、今後の5年間で48兆円が必要になるだろう」と述べた。共同通信の報道は、中国の軍事力の増大と北朝鮮のミサイル開発に対する懸念を引き合いに出している。
黒龍江省社会科学院北東アジア研究所の 笪 志剛 (Da Zhigang) 所長は「5年間に防衛予算をGDPの2% ー 軍事同盟NATOの加盟国と同じレベル ー に引き上げるという日本の決定は、近年においてー とくにロシア・ウクライナ紛争以来ー 日本政府や政治家およびメディアの語り口である”外部からの安全保障上の脅威”についての誇大宣伝が増えているからだ」と、火曜日(2022年11月29日)にGlobal Timesに語った。
笪 志剛 (Da Zhigang) 氏は、クライナ危機が引き金となってこの決断を速めることになったのかもしれないと評する一方、防衛費の増加は本質的に中国をターゲットにしたものと理解している。
最近、尖閣諸島 (釣魚島) をめぐる日中間の論争が激化しているだけでなく、台湾問題をめぐる緊張も日本の保守勢力によって誇張されていると、観測筋は述べている。さらに観測筋は、このような強い感情的反応を誘発する問題は、日本の保守勢力によって、外部環境についての日本国民の懸念を煽るために利用され、その結果、社会全体の右傾化を進めたと語った。
中国社会科学院日本研究所研究員の吕 耀东(Lü Yaodong) 氏は、「これまでに日本政府はロシア・ウクライナ紛争や周辺領域および国際情勢の変化を強調し、「国家安全」を守るためだと主張して防衛費増加の下地を作ってきた」と語った。そして今や、予算増額の課題は実行段階に入り始めたようである。
防衛予算がGDPの2%に引き上げられるとすれば、他の支出費用が減らされなければならなくなる。さらに、増税するのか否か、どのような税金を引き上げるのかは、日本の与党である自民党が議論しなければならないことであると呂( Lü )氏は指摘した。
日経新聞の中国語版によると、防衛費増額の会議で、何人かの政治家は、「日本国民が広い範囲の税金を通して増加した予算額を支払うべきである」と提唱したという。さらに日経新聞は、一部の日本政府関係者が「政府は法人税、所得税、たばこ税などを増税することによって財源を捻出すべきだ」と主張したことに言及している。
「ここ数十年間でもっとも高いインフレの中で、この決定は税金の引き上げと市民の負担を増やすことになる可能性が高いため多くの日本の人々が、この決定に反対するだろうが、反対の声が決定を覆すには程遠い可能性が強い」と、笪 志剛 (Da Zhigang) 氏は述べ、「このことは。より保守的な日本社会における最大問題の一つを露呈したものだ」と指摘した。
土曜日、共同通信はこの問題に詳しい情報源を引用し、「日本は攻撃を受けた場合、同盟国であるアメリカと共に敵基地攻撃能力、あるいは『カウンターストライク能力』と呼ぶべきものを使うことを検討している」と述べた。
岸田外相の防衛予算増額の指示も、敵基地攻撃能力の使用計画も、日本の長期外交・安全保障政策の指針である国家安全保障戦略の更新と、4月から始まる2023年度の当初予算の年内編成を前にしたものだと地元メディアは報じている。
「日本のメディアが最近、岸田氏が1月の通常国会を前に、就任後初めてホワイトハウスを訪問し、ジョー・バイデン米大統領と会談することを検討していると明らかにしたことから、岸田氏の防衛予算引き上げ指示と米国との敵基地攻撃能力使用計画は、ホワイトハウスでの最初の会談でバイデン氏への『贈り物』となるだろう」と笪 志剛(Da Zhigang)氏は語っている。
吕 耀东(Lü Yaodong) 氏は、「日本は、第二次世界大戦中に侵略戦争を行った国として、平和主義憲法に制約されながら、防衛力を増強し始めていることにより、東アジアの安全保障環境における最大の不安定要因になる」と述べ、「平和の道を歩むと言いながら、またさらに武装しようとするこの国には、大きな疑問符が残存している」と付け加えた。
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〔opinion12629:221212〕
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