杉田水脈氏のバンクーバー映画会「潜入」事件の続き およびカナダでの「歴史戦」について(ツイートまとめ)Japanese Diet member Sugita Mio’s attacks on history and minorities, and Canada’s “History War” (continued from previous post)
- 2022年 12月 13日
- 評論・紹介・意見
- 「ピースフィロソフィー」
See here for my English article describing Canada’s “History War.”
参考写真:2015年~2018年、バンクーバーの地元の週刊日本語新聞『バンクーバー新報』は、日本政府と日本右派、地元右派による、「慰安婦像」や「南京の日」に反対するなどの「歴史戦」の事実上機関紙と化した。 |
前回の投稿に続いてツイートしたことをまとめておく。杉田水脈氏がバンクーバーで取った行動やその後の報告は、右派が第日本帝国の加害の歴史を否定する「歴史戦」の一環であるという捉え方をしてこそ本質がわかると思う。
海外で広島、長崎の原爆投下を記憶させようと頑張っている人たちが日本軍「慰安婦」や南京大虐殺については手のひらを返したような態度を取る有様をたくさん見てきました。被爆者像がバンクーバーの公立公園にあるのに「少女像」があってはいけない説得力のある理由をいまだ一度も聞いたことない。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600589948671098881
2019年、当時の在バンクーバー日本総領事と面会させてもらいました。ネトウヨとかでは全然ない、穏やかな人でいい会話が持てましたがやはり私と鹿毛さんに対し注意を促す発言がありました。安倍政権下、日本政府が「歴史戦」を主導していることを実感した日でした。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600591057305350144
面会中、側にいたスタッフは必死にメモを取っており、これは霞が関に報告するためなのかと思いました(私なんかのために・・・)。当時の総領事もこのスタッフの人も韓国の専門で韓国の日本大使館にいたことがあるとのことでした。韓国語習得のコツなども教えてもらったのですよ。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600592974219743233
2015年「少女像」、2018年「南京大虐殺の日」で日本政府、右派、現地日本移民右派の間で盛り上がった「歴史戦」直後に、韓国通の総領事がバンクーバーに着任したのはなにか偶然ではないような不思議な気がしたのを覚えています。偶然かもしれませんが。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600594076415709184
総領事からは、もう二度とこのようなこと(慰安婦「像」が建つとか、「南京大虐殺の日」を設けるとかの動きを指して)はないように、協力してほしいみたいに、念を押されました(私に言われても・・・ )。私の主張は、「日本人がこれらに反対するのは恥ずかしい」という一点だったのに。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600594769759305728
世界中にある広島・長崎原爆や、ホロコーストの記念碑や記念館などに現地の米国系やドイツ系が束になって反対運動を展開したら、やっぱり恥ずかしいですよね?同じことを「少女像」について日系がこぞって反対するのが「当然」とされ、異議を唱える人間が村八分になるっていう異常な状態だったんです。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600596425083346946
鹿毛達雄さんが亡くなった今年、鹿毛さんの名誉のためにも、当時のことを振り返っている日々です。これだけ日系社会に寄与し日系人強制収容「リドレス」に貢献した人が、他の日系人要人が受けているような表彰は一切ないですし(鹿毛さんは別に欲しくなかっただろうけど)。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600597641716715520
強いていえば、名作 OBASAN で知られる日系カナダ人作家ジョイ・コガワ氏が日本政府から旭日章を受けた2010年、総領事邸での祝賀行事のスピーチで、冒頭に鹿毛さんと私の名前を挙げて、「表彰」してくれたのはびっくりだったが興味深い体験であった。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600599191310733312
コガワ氏は、重圧を恐れずに「南京大虐殺の日」設立を支持した日系カナダ人である。日系カナダ人強制収容のリドレスが実現したとき、カナダの他民族の支援と祝福を受けた。その日系人が、「少女像」や「南京大虐殺の日」を設定する動きに連帯できないのは嘆かわしいと言っていた日系人の一人である。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600600163265183744
山口智美さんが「ポリタス」というネット番組に出てこのときのことを語ってくれた。
(杉田水脈氏がバンクーバーでの上映会を「反日集会」と称して産経新聞のサイトに報告したとき虚偽があったので産経新聞に抗議して修正してもらったが杉田氏は無反応だった件について)
今久々に産経記事読み返してますw。「歴史戦」の典型ですが地元の右派が杉田氏とか「なでしこ」とかとつながっていてこういう活動を「通報」するんですよね。この時の杉田氏もそういう呼びかけに応じてカナダまで来たようです。この映画会も地元のインフォーマントと一緒に来てた可能性有りです。 https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600371926014521349
(山口氏からの返答)「本には地元の3人の日本人と一緒に来たと書いてありました。」https://twitter.com/yamtom/status/1600337330291625984
産経に直させたところは現在「『BCアルファ』にかかわっている日本人」とある箇所です。当初杉田氏は、私と鹿毛さん両方を「カナダ抗日連合会」に「所属」していると記述していたんです。まず「カナダ抗日連合会」なる団体は存在しないし、これが「BCアルファ」を指すとしたら「所属」などしてない。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600374676311904256
BC ALPHAの行事に参加したことはあるんで「関わっている」と記述する分には問題ないんです。「抗日連合会」も訂正させました。別に自分の団体じゃないから自分が直接の被害者ではないですが間違いは間違いなんで。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600375530091872256
今の記述だと「アメリカに本拠地を置く『世界抗日戦争史実維護連合会』のカナダ支部である『BCアルファ』」ってありますが私は「支部」ではないと聞いたことがあります(双方独立した団体だと)。だからここも今も間違ってる可能性あります。まあ私もよく知らないからそれ以上主張しませんでしたが。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600375957923459073
あとこの記事はこの映画会を私が「主催」していると言っていますが、これはBC州の公立大学であるサイモンフレイザー大学の研究所と私のピース・フィロソフィー・センターの共催だったんです。大学のHPに今も情報がありますよ。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600377425413931009
実際は大学の研究所が主催で、協力した私の団体も名前を加えてもらったという理解が正しいです。杉田氏は、外国でご自分がどこにいるのかわからなかったのでなければ、このように私が個人で「主催」した映画会であったような言い方をして、大学が行った映画会であるということを隠したと思います。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600378340757893121
地元の大学が「反日集会」を主催したなんて書いたらあまり説得力を持たないでしょうw。結果として「反日工作活動」wにいそしんでいる個人が開いた映画会であるかのような印象を生み出す記事になってますね。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1600379951429353472
山口さんのおかげでこの出来事がより多くの人に知られるようになって有り難いです。これはバンクーバーのサイモンフレーザー大学のInstitute for Transpacific Cultural Research研究所やコミュニケーション学部が主体となって企画した映画上映会+監督トークでした。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1602079120439283712
Institute for Transpacific Cultural Researchの女性教授(日系カナダ人)が中心となって企画したことを付け加えておきます。そこには日本軍「慰安婦」問題で博論を書いた日本出身の女性学者も来ていました。杉田氏も認めているように会場には日系人や日本出身者が多かったのです。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1602079898415534080
なかには広島原爆の被爆者もいました。このように日本にゆかりを持つ人たちが、日本の沖縄に対する植民地支配を学び考える映画会に参加したことはとても意義のあることと思いました。杉田氏と一緒に来ていた地元の右派の人たちも、何かを学び取ったのではないかと思います。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1602081038477701120
この写真を見ると、私がカメラを向けたときうつむいているのが杉田水脈氏で、他の人たちは熱心にユンカーマン監督の話を聞いているように見えます。杉田氏が英語を解するか知りませんが、解さないとしたらまあ、「潜入」のスリルを楽しむぐらいのことしかすることがなかったのでしょう。https://twitter.com/PeacePhilosophy/status/1602082247511011329
まとめ以上。
ここで触れている、杉田水脈氏による産経の記事で私が間違いを産経に直してもらったという記事は以下です。ひどい内容なので別に勧めてませんがリンク置いておきます。
杉田水脈のなでしこリポート(23)沖縄の基地反対運動を美化したドキュメンタリー映画…私には見るにたえない作品でした
カナダの「歴史戦」は主に、2015年バンクーバー近郊のバーナビー市の公園に日本軍「慰安婦」を記憶する「平和の像」を建立する計画をめぐって、そして2018年、連邦議会で「南京大虐殺を記憶する日」を制定する動きを巡ってでした。それに対し日本政府、日本の右派、カナダの日本移民の右派、日本の「歴史戦」に影響を受けた地元の日系カナダ人などがネットや日本語新聞、地元での署名運動、直訴行為などで反対運動を展開しました。私は、上述したように、加害国にゆかりのある日本出身者や日系人がこれらの動きに反対するのは恥ずかしいとの考えから「反対運動に対する批判」の言論を展開しました。この時期のことについては、2019年11月に、「歴史戦」研究の専門家である山口智美さん(モンタナ州立大学)がバンクーバーに来たときにUBC(ブリティッシュコロンビア大学)でUBC日本研究所・コリア研究所共催で講演していただいたときに、補足として私もカナダでの動きについて報告しました。山口さんをお招きしたこの催しによって、カナダにおける「歴史戦」が決して孤立した出来事ではなく、米国をはじめ世界中で日本政府、日本右派が展開してきた「歴史戦」の一環として整理することができました。これらの講演録は『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』に掲載されています。(2020年3月15日付)
Tomomi Yamaguchi, “The ‘History Wars’ and the ‘Comfort Woman’ Issue: Revisionism and the Right-wing in Contemporary Japan and the U.S.” 山口智美「『歴史戦』と『慰安婦』問題:現代日本と米国における修正主義と右派」https://apjjf.org/2020/6/Yamaguchi.html
Satoko Oka Norimatsu, “Canada’s ‘History Wars’: The ‘Comfort Women’ and the Nanjing Massacre” 乗松聡子「カナダの『歴史戦』:『慰安婦』と南京大虐殺」https://apjjf.org/2020/6/Norimatsu.html
自分の記事の日本語訳は準備中です。できたらこのブログにアップします。
初出:「ピースフィロソフィー」2022.12.12より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.com/2022/12/japanese-diet-member-sugita-mios.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion12631:221213〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。