岸田政権の原発回帰を許さず 東京の「さようなら原発全国集会」に4700人
- 2023年 3月 22日
- 時代をみる
- キシダ原発岩垂 弘
世界を震撼させた東京電力福島第一原子力発電所の事故から12年を経た3月21日(祝日)、東京の代々木公園で、「さようなら原発全国集会」が開かれた。集会を主催したのは、「さようなら原発」一千万署名市民の会。岸田政権が昨年の参院選直後に「原発再稼働」を打ち出したことから、会場には「岸田政権の原発回帰反対」のプラカードやシュプレヒコールがあふれた。
「さようなら原発」一千万署名市民の会は、福島第一原発の事故直後に、作家の大江健三郎、落合恵子、澤地久枝、ルポライターの鎌田慧、音楽家の坂本龍一の各氏らの呼びかけで結成された市民団体。福島第一原発の事故直後から毎年3月に、東京で「さようなら原発全国集会」開いてきたが、コロナ禍のため2020年は集会を中止、2021年と2022年は参加人数を制限した首都圏規模の集会を開いてきた。今年はコロナ禍が下火となったため、4年ぶりの全国集会となった。サクラが開花した会場には、東日本の各地から旧総評系の労組員、生協組合員、平和団体関係者、一般市民ら4700人(主催者発表)が集まった。
集会が掲げたスローガンは「岸田政権の原発回帰反対!」「老朽原発の再稼働やめろ!」「放射能汚染水を海に捨てるな!」「フクシマを忘れない!」の4本。3本目のスローガンにある「放射能汚染水」とは、事故を起こした福島第一原発に貯蔵されている、トリチウムを含む汚染水のことで、政府は、これをこの春から夏にかけて海に放流すると公言している。
福島からやって来た女性2人
座り込んで原発汚染水の海洋放出反対を訴える人も
「さようなら原発」から「くたばれ原発」へ
集会は午後1時30分に開会。まず鎌田慧氏が主催者あいさつをしたが、その中で同氏は「原発被災地の福島県にかつて『原子力 明るい未来のエネルギー』という標語が掲げられていた。国はこの標語を使って原発を推進した。その結果はどうだったか。分かったことは、原発は未来をつぶすエネルギーであるということだった。この間、政府はうそをつき続け、膨大な国家予算を原発につぎ込んだ。その結果、原発は人間を破壊し続け、その一方で、日立や東芝や三菱重工業などが大もうけをした。こうしたことが分かったのに、岸田政権はとにかく原発を動かすんだと言っている。まさに恥知らずで、無知、無謀だ」と述べた。
さらに、同氏は「これまでは『さようなら原発』と言って運動をやってきたが、これからは、一人ひとりが『くたばれ原発』というスローガンを掲げて運動してゆこうではないか」と呼びかけた。
次いで登壇した澤地久枝さんは「岸田政権がやることは何もかも悪い。こんな悪い政府は安倍政権以来だ。おかげで、この国は悪い方に向かっており、日本はアメリカよりも右の方にいる」「沖縄の与那国島にミサイル基地をつくるという。台湾有事に備えるためだそうだが、もし有事という事態になれば、島の人たちの命はどうなるのか。原発でも同じことが言える。つまり、日本の中で、一部の人たちが切り捨てられつつある。こうしたことに『反対』の声を挙げましょう。反対の声を挙げなければ、政府は国民は賛成しているんだと受け取りますから」「『反対』を言うのに、勇気はいらない。これからは、頑張って『反対』の声を挙げてゆきましょう」と訴えた。
福島から参加した佐藤和良氏(これ以上海を汚すな!市民会議共同代表は「新聞社の世論調査によれば、福島第一原発の汚染水の海洋放出に国民の5割以上が賛成だというが、福島県民の7割が海洋放出に反対している。政府はなぜ、この県民の声を聞かないのか。汚染水は薄めて流すと政府はいうが、いくら薄めても放射能の核種の量は変わらない」として、海洋放出計画の撤回を求めた。
集会は、最後に参加者全員で4本のスローガンを何回もコールし、デモ行進に移った。
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