SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】540 原爆の日、ニジェールにECOWAS(旧仏植民地共同体)が最後通牒
- 2023年 8月 5日
- 評論・紹介・意見
- クーデターニジェール平田伊都子西サハラ
ウクライナ戦争、ニジェール軍事クーデター、激増する移民難民、米国大統領選挙戦争、、毎日、たくさんの惨事が凄いスピードで勃発しています。
が、8月6日午前8時15分と8月9日11時2分は、時を止めて、黙とうしませんか、、
① ラクダで入りたかったニジェール:
ニジェール人の工芸家・ヤヒアに会ったのは、灼熱の8月、アルジェリア南東部にあるジャネットだった。アルジェリア中部のオアシス・ガラダイヤから同乗してきた籠の小鳥が、飛行場から町に向かうバスの中で死んでしまった。クーラーを入れた車の中は、45度あった。
ジャネットの近郊には、新石器時代にトゥアレグ族の先祖(?)も描いたという世界遺産のタッシリ・ナジェール洞窟壁画が残されている。「哲学の回廊」でジャネットを紹介した森本哲郎氏が語る鉄製の焼けるベッドで、筆者は蚊やハエと闘いながら約1週間、寝た。そして、ヤシ林の中にある<アルチザナ>と看板をかけた、トゥアレグの部落に通った。
フランス人たちが憧れた勇壮なラクダの騎士トゥアレグ族は、チッチャな銀のクルスをチッチャなコテで焼く、工芸家に変身していた。「冬になったら、アガデス近くの村に帰るから、その時一緒にラクダでサハラ砂漠を渡ろう」と、リーダーのヤヒアに誘われ、「日本人はニジェール・ビザを取るのが難しい」と、言ったら、「そんなもん必要ない。砂漠に国境フェンスなんかない」と、嬉しい答えが返ってきた。以前、マリの首都バマコからニジェールの首都ニヤメに飛行機で入ろうとした時、日本にニジェール大使館がなく、パリのニジェール大使館でビザを貰った経験がある。因みに、現在も東京にニジェール大使館はなく、外交業務は中国北京のニジェール大使館が代行している。
トゥアレグ人が創ったシルバー・ネックレス、トゥアレグクルスとも呼ばれ、
パターンは家紋が使われる。
ニジェールは、トゥアレグ族が多いサハラ砂漠の北部と、首都ニアメを中心にハウサ族やジェルマ・ソンガイ族が支配する農耕地域の南部に分かれる。最初の取材で、1960年の独立以降クーデターが続く南部を見た。<北部の取材はヤヒアとラクダで>と決め、ロケハンも兼ね、大親友になった案内人のテイジャー二と、テイジャーニの車日産パトロールで、ニジェールとの国境の町、アルジェリア最南端のインゲッザムに向かった。二週間の厳しくドキドキするサハラ砂漠横断の旅は。またの機会にお話します。
そして、インゲッザムで出会った勇壮な青い貴族の一団は、UNHCRのテントでうずくまる難民になっていました、、
② ニジェールで軍事クーデター勃発:
「CNSP(祖国防衛国民評議会)の樹立を宣言し、憲法の停止、政府と議会の解散、陸路・空路の国境封鎖、夜間外出禁止令を命じる」と、アマドゥ・アブドラマン大佐・大統領の警護隊兵士が、7月26日に国営テレビで、軍事クーデターとモハメド・バズム大統領の失脚を発表した。翌27日には、ニジェール国軍参謀総長のアブドゥ・シディク・イサ将軍が「軍部内の致命的な衝突を避けるため」として、CNSPの声明に支持を表明。続く28日には、クーデターを首謀した大統領府警護隊司令官であるアブドゥラハマネ・チアニ将軍が「バズム政権下で助長された治安悪化や失政に対処するため軍事政権を樹立し、ニジェールに正しい統治を復活させる」と、自らがCNSPの首班であることを宣言した。2021年に大統領になったバズマ氏は隣国チャドに逃げた。
外務省によると、ニジェールの産業は遊牧やウランなどの鉱物採掘で、フランス、マリ、ナイジェリアを相手に鉱物性燃料及び鉱物油等、鉱石類、貴石・貴金属類などを輸出している。一方、中国、フランス、インドから、穀物、車両類、機械類、を輸入している。一人当たりの年収は610$(約8万円)で、通貨はCHAフラン(フランス圏共通通貨)を使っている。総人口2,621万人、フランス語を共通用語とし、イスラム教徒が大部分を占める。2022年の時点で、駐ニジェールの日本企業は0、日本人は25人と報告されている。
バズム氏が失脚してから、街中でいきなりロシア国旗の色が見られるようになった。首都ニアメでは30日、数千人がデモに参加した。ロシアの国旗を振りかざす者や、フランス大使館を襲撃する者もいた。バズム大統領の伝統的な支持基盤でも、ロシア国旗の服を見せびらかす商売人が現れた。彼は、「フランスはウラン(世界第7位)やガソリン、金といったこの国の富を全て搾取してきた。貧しいニジェール人が1日3食食べられないのは、フランスのせいだ。」 と、匿名を条件にBBCテレビに語った。彼の町でも、8月31日に軍事クーデターを支持する数千人のデモが起きたそうだ。
バズム氏は親欧米主義のイスラム教徒で、反仏抗議運動を何度も禁止し2022年半ばに、マリから追放されたフランス軍のバルカン部隊に、ニジェール国内への再配備を許可したりした。活動家や市民団体や労働組合などが連合した<M62>と呼ばれる活動グループが、生活費の上昇や統治の欠陥、フランス軍の駐留について、反政府の声を挙げた。バズム政権は<M62>の抗議活動を禁止し、暴力で中止し、指導者のアブドゥライエ・セイドウ氏を2023年4月に逮捕した。国営テレビは、<M62>のメンバーたちが軍事政権を支持する大規模なデモを起こし、西アフリカの指導者らによる軍事政権制裁を非難したと、伝えた。
一方、隣国のマリとブルキナファソは、ニジェールの軍事クーデターを支持している。両国とも、軍事政権が成立すると、まずフランス軍を追い出し、数千人規模の国連の平和維持部隊も撤退させた。そして、ロシアの雇い兵組織「ワグネル」を迎え入れた。
アフリカ西部ニジェールの軍事クーデターで実権を握った将校の一人、サリフ・モディ将軍が2日、隣国マリを訪問したと、マリ大統領府が伝えた。
③ ECOWASがニジェール軍事政権に最後通牒:
8月2日、アメリカが大使館員の一部を退避させた。フランス政府支援の第1陣の航空機が262人を乗せて、2日未明にパリに着き、その後、第2陣の便も到着した。邦人2人と外国籍の家族1人もフランス手配の航空機で退避した。日本政府によると8月1日時点で約10人の邦人が残っているそうだ。
ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は7月30日、「追放されたニジェールのモハメド・バズム大統領を1週間以内に復権させなければ、武力の行使も辞さないと最後通牒を突き付けた。ECOWAS加盟国は、元フランス植民地で、CFAフランを共通通貨にしている。加盟国は、ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ の西アフリカ15か国で、フランスが指導して1975年に設立された。
モロッコは北アフリカに位置しているにも関わらず、フランス指導のECOWASに入りたくて、画策中だ。
8月3日、ニジェール軍事政権のアマドウ・アブドラマン氏が、1977年から2020年にかけてフランスと結んだ5つの軍事協定の破棄を表明した。フランスはニジェールに、1,000~1,500人規模の軍隊を駐留させている。
米国務省のマット・ミラー報道官は3日、「ワグネルが自らの利益のために、この状況に付け入ろうとしたとしても驚かない。これまでアフリカで自らの利益のために他の状況に付け入ろうとしてきた」と、ワグネルを牽制した。
8月4日、国連安保理で国連安保理8月議長を務めた後、ブリンケン米国務長官は安保理大会議場前でステイクアウト記者会見をした。「安保理8月の最大テーマは食糧危機」と述べ、ニジェール軍事クーデターに関しては、「強力なECOWASの解決に期待している」として、米国による直接の関与を(今のところは)否定した。
アルジェリアはニジェールと1,000キロメートル以上の 国境線を共有しています。現在、原油パイプラインの計画が進行中で、ニジェール軍事クーデターが平和裏に決着がつくことを願っています。 西サハラ難民も、同じ思いです。
広島原爆投下の日に、ニジェール軍事政権に対するECOWASの期限が切れます。 平和を祈る日に、戦争突入など、しないでください!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年8月5日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion13166:230805〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。