経産省前脱原発テント座り込み日誌8月24日版
- 2023年 8月 28日
- 時代をみる
- 木村 雅英
経産省前テントひろば1807日後
◎ 汚染水放出の動きに関心たかまる 8月18日(金)
今日は、Yaさん息子さんの体調が悪く、Miさんは体調が回復せずで、イロハメンバーのうち2人がお休みとなりました。残りのメンバーで経産省に向かいます。途中、氷と水を購入し水分補給ができるように水タンクも忘れずに運びます。正門前に到着してすぐにセッティングを始めます。プラタナスの木陰は座り込みをする上で最高の場所で直射日光を遮ることができます。あとはパラソルを使って日陰を作るのですが、強い日差しがアスファルトを熱し、その照り返しで、どこに座っても暑い。太陽が文科省ビルの陰になる午後3時を過ぎないと、この暑さは収まらない。
今日は珍しくK.Mさんが午後1時過ぎにやってきた。「汚染水放出に反対する行動が国会前であったので行ってきた」とのことだった。その他にIさんもやってきて座り込みに参加した。Iさんが、私(S・S)に「最近、SSさんがfbに上げてくれないから残念だ」と言うので、久しぶりにfbに上げるためにテントの座り込みのメンバーの写真と先日行った浪江での現地行動の写真を合わせてアップしてみた。
https://www.facebook.com/photo/?fbid=2195411637295923&set=pcb.2195411720629248
随分たくさんの人がいいね!を押してくれた。汚染水放出については大勢の人たちが関心を持っていることが分かった。政府や東電がいくら安全だと言っても、汚染水は言葉を処理水と言って胡麻化しても汚染水に変わりはない。汚染水の海洋放出反対‼ (S・S)
◎ 汚染水海洋投棄「処理水海洋放出」絶対反対! 8月18日(金)
汚染水を海に流すな、老朽原発うごかすなどのコールで抗議行動を開始。Miさんが、この日に参議院議員会館で行われた院内集会の報告、福島からの訴えが心に響く良い集会で、この「海洋放出」を司法に訴える話も。はしゆきさんが、先週11日~13日の請戸海岸でのテント開設行動の報告。田中一郎さんが、海洋投棄がロンドン条約違犯と「ストップ・リニア!訴訟」で事業認可取り消し認めずの報告。Obさんが、隠れ野党と省庁の税金無駄遣いを厳しく批判。
K.Mが、グリーンランド南東の氷床のヨウ素129(半減期1570万年)の調査から、核実験やチェルノブイリ事故や英仏の再処理施設からの放射性物質汚染を確認、人類が核で地球を汚し続けている。
Moさんが、「座り込め、ここへ」と「水に流すな」の歌。Miさんが、黒田さんが準備している福島発のキャラバン行動他をアピール。Hoさんが、8月26日の東海第二集会と、医療問題。 K.Mから、高浜2号再稼働に反対する9月1日「一食断食」行動集会の紹介。Waさんから、9月12日の大間原発裁判報告集会の紹介、函館市長が交代。Ogさんが、汚染水海洋投棄反対の集会の報告と共に、来週8月25日の首相官邸前行動の案内。
Raさんが、請戸海岸で吉沢さんの孤軍奮闘テントに経産省前テントひろばからのテント設立を紹介、テント拠出のお願い。歴史的地球破壊、9.11韓日市民徒歩行進との連帯。K.Mが、スリーマールからもチェルノブイリからも事故炉経由の放射能を海外に放出したことは無い、日本が初めて。何としてもとめよう。コールで終了。続いて首相官邸前で原発いらない金曜行動。
なお、このところ何度も中国メディアから私たちの行動が取材され、個人的にインタビューを受けた人も多い。それらの報道情報を入手したので以下に紹介する。ちょっと覗いて観て欲しい。
・新華通信社東京支局から(8月9日)
先日コメントを頂き、ありがとうございました。記事が配信されましたので、ご報告いたします。
https://english.news.cn/20230809/3e059d0e66124237a29081497609abb4/c.html
http://www.china.org.cn/world/Off_the_Wire/2023-08/09/content_100496073.htm
・中國日報の記者から(8月19日)
経済産業省前でのラリーでお会いできて嬉しかったです。ラリーに関する記事は中国国際新聞のウェブサイトに掲載されています。以下のリンクをご確認ください。
Japanese protest discharge of radioactive water https://www.chinadaily.com.cn/a/202308/05/WS64cdd6eca31035260b81a769_1.html
Singing against radioactive water
https://global.chinadaily.com.cn/a/202308/06/WS64cf3090a31035260b81a834.html
Protests held in Tokyo against nuclear water discharge https://global.chinadaily.com.cn/a/202307/31/WS64c7b5d8a31035260b819829_1.html
(K.M)
◎ 全漁連と首相の会談のことを気にかけた方が訪れた 8月21日(月)
きょうも暑いが、反原発ソングを流しながら座り込み準備。座り込み準備を終えて氷水を2杯ほど飲んだが、いつものように涼しく感じられない。どうしてだろうと考えたら原因は風がないことだった。「気温38℃湿度40%」。この数字はこれまでもあったし体も暑さに慣れてきたので驚かない。しかし、風が全くないとこんなに暑く感じるのかと思わされた。午後2時ごろになって風も出てきたので我慢出来るようになった。
午後2時過ぎに女性が来られて「全漁連の人達はいつごろ官邸に来るんでしょうか?」と聞かれたが、情報が何も来ていないので、答えられなかった。その方は福島・会津の出身で、以前からテントひろばには来られている方でした。この日も沖縄のお菓子・ちんすこう一袋を差し入れて頂きました。皆さんで美味しく頂きました。官邸を訪ねた全漁連の方たちのことがどうしても気になるらしく午後3時頃、官邸に行かれました。
★夜のニュースによると全漁連側は「海洋投棄について理解が深まったが反対の姿勢は変わっていない」というコメントを出している。一見矛盾しているように感じる。既に近隣諸国からの輸入禁止状態が起きているので、反対するしかない!のである。政府は明日の閣僚会議で決定するようだ。反対する我々の覚悟が問われている。頑張ろう!(保)
◎通りがかりの女性から激励「適度に頑張ってください」 8月22日(火)
小雨の中を事務所に午前11時過ぎに到着。運び出す椅子などの用意をしていたら、幟旗用の竿が一本もない。どうしようかと思案しているところに、Tさんが現れる。彼女にそのことを言うと、今朝、官邸前の抗議行動で使用して今は経産省前に立っているという。
少しだけの雨が止んで、蒸し暑くなった経産省前に着く。そこには、テントひろばの男女4人ほどが官邸前の抗議行動から戻ってきており、座り込みの準備を手伝ってくれる。Kさん、Iさん、Bさんが経産省前に揃ったところで女性たちは帰っていった。その後は雨も降らずに暑い中で読書。そんな中、「カンパさせてください」という女性が通りかかって、テントニュースなどのチラシを渡すと、その女性から「岸田総理」に対する不満を4~5分お話しされ、「適度に頑張ってください」と激励された。
午後1時半近くになって食事に行き、2時前に戻るとAさんと東京西部ユニオンの二人組が来ていた。午後4時前に雷が轟き、雨が少し降り出したところで撤収を開始して3人で事務所に戻る。午後4時過ぎに戻った事務所の冷房で体の熱を冷ましてから、3人それぞれ帰途に就く。(O・E)
◎ バナーを声に出して読んでくれた小学生 8月16日(水)
今日も天気予報どおり36℃。お盆なので経産省に出入りする人もわりと少ない。セッティングしてから、ずっと当番の2人だけ。アジア系の若いカップルがバナーの写真をとったので、保っちゃんが「どこの国の人ですか」と聞いたら「ドイツだ」と言われた。そして男性はスマホに英語で「This news is very good.」と書いて私たちに見せて、親指を立てて、笑った。そして「さようなら」と日本語で言って、交差点の方に歩いて行った。
「海に流すな」の幟旗は、青い色がきれいで目立つ。郵便ポストの周りに立てた幟を見上げていく人が多い。小学4年生くらいの少年が「放射能汚染水を海に流すな」のバナーを声に出して読んでくれたので、「いまニュースにもなっていますからよく注目して下さい」と言うと「はい」と答えてくれ、お母さんも笑ってうなずかれた。
若い女性2人がバナーの写真を撮ったので、保っちゃんが話しかけたら、外国人らしくて笑って行ってしまった。午後2時過ぎに雨が降り出す。気温は36℃から30℃に下がったが、湿度が70%にあがって、蒸し暑くなった。S、Uの2人とAnさん登場。保っちゃんが、ガリガリクンを買ってみんなにふるまってくれた。今日は5人だった。(T・I)
◎ 祈禱会もこの暑さの中、無事に行われた 8月24日(木)
午前10:00からの東電前抗議集会終了後、Inさん、Yoさんと3人で事務所に寄り、荷物を運び出し設営作業。今日も日差しが強く、座っているだけで汗が滝のように流れる。やがてOgさん、Saさん、Ok妹さん、Minoさんが加わる。
13:00頃、香港のテレビ局の委託で取材をしているという男性が、私たちの映像を撮影し、立ち話をして行った。「新宿で若い人に取材したが、誰も汚染水放出のことを知らず、がっかりした」という。「これから農水省に取材に行く」と言って立ち去った。やがてネットで汚染水の放出開始のニュースが流れる。13:40にSuさんが参加。続いて三茶のWaさんが氷水の差し入れを持って来てくれた。続いてMineさんが参加。
14:30過ぎから、JKS47士の月例祈祷会が始まった。冒頭、以前この場で時事漫談を披露していた女性メンバーが6月に病気で急逝されたとの報告があった。享年51という。笑顔の素敵な方だったのを思い出す。祈祷会には英語の先生とその教え子の方をはじめ数人が、立ち見客として加わった。最後にSuさんがテントを代表してあいさつ、テント有志の浪江行動の経過を報告し支援を訴えた。先週まで鳴いていたミンミンゼミが声を潜め、今日はもっぱらアブラゼミの声が響きわたっている。セミの声を聞きながら残ったメンバーで撤収作業を終えた。日本の歴史に汚点を残す日の抗議行動はこうして終わった。(M.U)
========投稿1========= とうとうはじまったか 汚染水の海洋放出 (三上治)
テレビの報道番組を見ていた。場面は岸田首相と坂本全漁連等との会談だ。多分、8月22日の夜だった、と思う。「数十年に渡ろうとも全責任を持つ」と岸田首相は言った。これを聞いていて僕は驚いた。こういう無責任なことが、よくいえるなということであり、こういう発言自体が無責任をあらわしているが、岸田首相の政治的資質というか、性格を示していると思えた。坂本会長はこれを重い言葉だと評していたが、どうしてどうして、これは軽い言葉である。なんの根拠も確信もないことを、その場を取り繕くるために言っているにすぎないからだ。これは一種の政治的放言である。「福島漁連との約束」を破っておいて、全責任を持つなんて、どんな神経でいうのか、と誰しもが、おもうことである。
この発言は「数十年にわたろうとも」という形で、汚染水の海洋放出が環境に悪影響をもたらすだろうということを、首相も否定していない。暗にそれを認めている。政府筋は汚染水の海洋放出が「安全である」とかIAEAのいう国際基準に合致しているなどというが、本当のところは、それを信じてはいないのだろうと思う。要するに、これらは根拠を持つことではなく、海洋放出のための方便(政治的言葉)にすぎないことが分かっているのだと思う。
汚染水の海洋放出にあたって、僕らが注目してきたのはメデイアの発言だった。政府が無理と危険を承知で海洋放出に踏み切ってきたのは、政治的理由だった。彼らが言うように汚染水の保管が大変な状態になってきているということもあるだろう。もっとも、この理由に対する対抗的な方法(保管の解決方法)は、いろいろと提示されているし、可能性があることだと思える。政府や東電がそれを拒否して海洋放出に踏み切ったのは、「海洋放出が安価だ」ということがある。けしからぬ話だが、これがあると推察される。
だが、それ以上に、背後には原発政策の転換がある。再稼働や新規建設を積極的に進めるという転換があるが、同時に汚染問題の処理に踏み切ったということがある。福島第一原発事故は、その事故による放射線被爆を生みだした。よく言われる急性被爆の状態を出現させたのである。そして、また、放射能汚染が内部被爆を生み出すことも明らかにし、核のゴミ問題をも提示した。原発は、その事故によって急性被爆の現象が起きるのであるが、同時に内部被爆を生みだす放射線汚染という問題を明るみにした。福島第一原発の事故は、多くの被爆を招く放射能を生みだした。そこから避難することを余儀なくさせるというものであり。福島での漁業などを禁じた。もちろん農業もふくめてである。これは急性被爆を生みだす放射能の露出であるが、同時に内部被爆を生みだす放射能の環境への残留というものことも生みだした。福島第一原発の事故は急性被爆をもたらす放射能の露出と同時に内部被爆をもたらす放射能露出でもあった。放射能の露出は二重に結果するものだった。
放射能の露出がもたらすこの二重の問題に対して政府や東電はもっぱら急性被爆に対する対応策を講じようとしてきた。これについての問題はここでは省くが、一番大事なことだが、政府筋はこの内部被爆の問題を軽視してきたことであり、それ以上に内部被爆などは存在しないというように、それを隠蔽してきたことだ。内部被爆の問題は、呼吸や食事などで、環境に残留する放射能を取り入れるなどのことであるが、それは軽視し、また存在しないという立場を取ってきたことである。遠くは原爆を投じたアメリカが放射能の残留とその研究に神経をとがらせ、禁じてきたこともあるが、ICRPやIAEAなどの国際的な原子力対策機関もそれを軽視してきたことがある。放射能の残留と内部被爆という問題は核兵器にせよ原発にせよ、その存続の根本問題に関わるから、その研究も言及も避けてきたのである。確かに、この内部被爆ということは急性被爆と違って、その病状が現れるのに時間を要するし、実証が難しいことがある。それには時間を必要とするのである。先に言ったように核兵器や原発のような人工的放射線を輩出することについての歴史的な研究が阻まれ隠蔽されてきたこともある。
政府は福島第一原発の事故によって急性被爆の問題を起こす安全神話が壊れると同時に、内部被爆をもたらす問題に直面した。これは核のゴミの処理問題としてクローズアップされたが、原発の排出する汚染水の問題としても出てきた。政府が取ってきた放射線被爆に対する対応は急性被爆に対する対処であり、内部被爆の問題は軽視、あるいは無いという対応だった。僕が先のところで注目してきたメデイアは、この政府の対応の枠組みにあって、放射能の内部被爆というところには視線がいかなかった。だから権力の所業としての放射能の放出ということに対する監視、あるいは批判という点において基本的な視座を欠落させ、部分的な批判しか出来なかったのである。彼らの対応の鈍さも、いい加減さもここに原因があった。
汚染水の海洋放出において、汚染水がどのように環境を悪化させ、内部被爆に結果するのかは未解明である。僕は、「そのすぐれた想像力と経験が導いた分析力で、これに届いていると思われるのは、西尾正道の見解だけだ」と思う。このすぐれた知見は一部の人に知られているだけで、一般的には未解明と言ってもいい。だが、この未解明は、汚染水による内部被爆がいまだ実証しきれていないということであり、逆に言えば内部被爆がないということも実証は、されていないということである。政府は、内部被爆が実証されていないということを持って、それはない安全だと言っているだけである。ここには実証には時間がかかるというだけのことだ。政府は未解明であることをもって安全であり、内部被爆などはないと言っているだけである。そしてそれが科学的立場であるという。ここにはすり替えがある。内部被爆のことが実証に時間がかかるということは、内部被爆がない、ということではないからである。まして、それが科学的ということもないことだ。人々は実証に時間がかかるにしても、そこに内部被爆、内部被爆に連鎖する環境の悪化があるのではという疑念を持っている。これには様々の濃度があるにしても、かなり広がりのあるもので、岸田首相が「何十年にわたって」という言葉を口にすることも疑惑があるということだ。科学的ということについて田尾陽一はこう語っている。
「処理水海洋放出に反対している福島漁民の主張は、ある意味で科学的である。科学は、未知のものや現象への直感的な好奇心や恐れを原動力にしている。直感的であれ、漁民が長年の経験に基づき、海やそこに生きる生物(人間を含む)への影響に懸念を持つことは正しい科学的判断である。」
何の科学的根拠も示さずに、ご都合主義的に「科学」を持ち出す政府の見解は非科学的なのだ。中国の汚染水放出への対応に対し、科学的な話をなんていうのは、ばかげたことだ。
汚染水放出が始まった。僕らはこの汚染水放出との闘いが長期的な、ある意味では、永続的なものであり、放射能の内部被爆との戦いであり、長期のものであることを自覚している。汚染水放出という政府の行為に対して、一過性的な闘いに終わらせてはならない。ここが大事なところであり、汚染水放出との闘いには未来からの視線と一過性に終わらせない工夫と知恵が必要である。浪江での現地での闘いを含めて、昔よく使った言葉を使えば、「脱原発闘争の新しい地平を開かなければならない」。これは「これまでのままでいいのか」という自問とそれを含めた討議から始まる。(三上治)
========投稿2=========
経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その213
関西電力の老朽原発再稼動ラッシュを糾弾する~古賀茂明<「反社」関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」だ>から~
2023年8月26日 木村雅英(経産省前テントひろば)
関西電力は、美浜3号・高浜1号の超老朽原発を含めて6基を稼働、更に高浜2号も既に燃料を装填して9月15日に営業運転予定。7基の稼働は、福井県のみならず近畿の水がめ琵琶湖の放射能汚染を心配させる。
ここでは、古賀茂明さんの「改革はするが戦争はしない」フォーラム4の文章を借りて、関電の「反社会性」と経産省、岸田政権の「亡国トリオ」を糾弾する。
関西電力という会社は驚くようなスキャンダルを量産し続け、しかも、ほとんど何の痛手も被らずに、今も経産省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている。
(1)歴代経営幹部金品受領事件(2019年9月)
関電の不祥事と言えば2019年9月に発覚した、岩根茂樹元社長ら歴代経営幹部20人が福井県高浜町の元助役(故人)から金品を受け取っていた事件。公益事業のトップらが長年にわたって大金を受け取ることを習慣化していたことに国民は驚愕した。受領した金品の総額は約3億2000万円相当。内訳は、現金が1億4500万円、商品券6300万円、金貨365枚(1枚15万円相当)、小判型金貨3枚、金杯8セット、金500グラム、スーツ75着などで、一人で1億2367万円相当を受け取った者もいた。しかも、関電経営陣は、のちに、所得税の追加納税を余儀なくされた元役員1人に計120万円を支払い追加納税分を補填すると決めた。これは、関西電力が金銭受領問題について何ら反省をしておらず、むしろとんだ事故に巻き込まれたという程度の認識しか持っていなかったことの証左。
(2)顧客情報の盗み見事件(2021年12月)
次に、2021年12月に発覚した顧客情報の盗み見事件もまた世間を驚かせた。大手電力7社で行われていた不正で、中でも関電は悪質だとして経産省から業務改善命令を受けている。とりわけ事件が発覚した後に引き続き一部社員が盗み見を続けていた。
(3)カルテル主導事件
関電は、この他にも、建設工事に関する社員らの国家資格不正取得や、一部送配電営業所での検査不正などの不正も報じられていたが、最も衝撃的だったのは、カルテル主導事件。
法人向けに顧客の争奪戦を回避するカルテルを行っていたとして、公正取引委員会が、中国電力など4社に総額1000億円超の課徴金を課したが、そのカルテルを主導していたのが関電。これは電力自由化の根幹を崩壊させるとんでもない事件。ここでも関電はその悪質性を存分に発揮。自分が主導した犯罪であるのに、公取に仲間を売った。独禁法には最初に犯罪を申告して捜査に協力すれば責任を免れるという制度(リニエンシー)があり、関電は最初に自主申告して良い子になり、処分を免れた。悪に手を染めるだけでなく、仁義にも悖る行為。
(4)核のごみ処理やるやる詐欺
そして、これから注目を浴びるであろうタチの悪い詐欺的行為が、核のゴミ処理のやるやる詐欺。放射性廃棄物の処分は答えのない大問題。本来は、これを解決しないまま原発を動かすことなど許されないはずで、実際には全く見通しが立っていない。とりわけ、7基の原発が稼働する予定の関電は大量の核のゴミを現在も生産中で、その処理策を示すことは地元のみならず、社会全体に対する責任。ところが、関電は、ゴミを何とかしろと言われると、「はいわかりました」と安易に答えるだけで本気では何もしなかった。私が知る限り、これまでに、5回も大嘘をついてきた。最初は、1998年に中間貯蔵施設を福井県外に作ると約束、その見返りに燃料プールの容量を増やすことを認めてもらうため。次の嘘は、2015年高浜原発の再稼働を認めてもらうために、20年までの中間貯蔵施設の県外建設により核のゴミを県外に持ち出すという約束。もちろん大嘘。
2017年の大飯原発再稼働を認めてもらう際には、20年末までに候補地を決めると約束。その後、関電は、18年に東電と日本原電が建設中の青森県むつ市の中間貯蔵施設に関電が出資して相乗りするという虫の良い計画を立てたが、むつ市長が不快感を示して頓挫。
さらに、懲りない関電は、電気事業連合会を使って、むつ市の中間貯蔵施設の電力大手による共同使用案を検討させようとした。しかし、さらにむつ市長の怒りを買い、「むつ市は核のごみ捨て場ではない」と激怒されて、結局この案もお蔵入り。
そして、関電は運転期間40年超の美浜3、高浜2、3号機の運転延長を認めてもらう必要に迫られると、中間貯蔵施設の候補地を2023年末までに決めるとし、「できなければ美浜3号、高浜1、2号の運転を停止する」と、とんでもない空約束をした。もちろん口から出まかせ。
2023年の半ばになりいよいよ追い詰められた関電は、経産省と結託して、とんでもない「解決策」を発表。高浜原発の使用済MOX燃料10トンに普通の使用済燃料190トンを混ぜて行う再処理の実証試験をフランスで行うという。これで合計200トンの使用済燃料をフランスに搬出するというが、この計画は全くの焼け石に水。
関電の森望社長は「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」と胸を張り。中間貯蔵施設建設候補地の決定と同じというが、あまりの図々しさ。もちろん、地元も世論も強い反発を示したが、関電は経産省に手を回し、西村康稔経産相に「中間貯蔵と同等の意義がある」と言わせて国のお墨付きを得た、ふざけた話。
(5)ズルの上塗り
さらに、関電は、「ズルの上塗り」を進めようとしている。
8月2日、中国電力が山口県上関町に新設を計画する上関原発周辺の所有地に、中間貯蔵施設の建設を検討する方針を発表。矢面に立つのは中国電力で、実は関電と組んで進める話。関電は中国電を後ろで操り、地元との調整は中国電にやらせる。関電は成果だけを享受するわけ。今回この計画が頓挫しても、傷を負うのは中国電だけという図式。とんだとばっちりに逢ったのが上関の町民です。中国電の原発建設計画を反対運動で何とか止めているのに、またもや「札束で横面を張る」やり方で、強引に核のゴミ捨て場にされそうになっている。その裏には関電がいて、さらには経産省と原発ゴリ押しの岸田内閣がいる。大変な相手との戦いがもう一つ増えた。
(6)日本海側に集中する関電原発
とりわけ、関電の原発は日本海側に集中している。
岸田政権は、北朝鮮のミサイルの脅威を強調し、中国の危険性も強調します。もしこれが正しいのであれば、日本海側にある原発は直ちに稼働を止めて、核燃料などは地中深くの施設に移してミサイル攻撃を受けないようにすべきことは誰にもわかること。
原発そのものがミサイル攻撃で破壊されれば大惨事になるが、それよりも脆弱な構造の核燃料プールが破壊されても同じことが起きるし、それらの施設ではなくても電源を完全に断つような攻撃で大変なことが起きる。
それにもかかわらず、関電が漫然と自社の利益を求めるために老朽化原発まで動かそうとするのを政府は後押しし、関電の嘘をむしろ庇いながら、原発再稼働に邁進している。現有の原発が安全保障上日本の最大の弱点になっていることを全く無視しているのはどういうことなのか。
稀に見る悪質性 と 「亡国トリオ」
関電という企業の稀に見る悪質性。単にスキャンダルまみれに止まらない。
関電の特徴は、第一に企業トップが犯罪を主導、第二に発覚すると表向きは謝罪するが腹の中では全く反省していない、第三に自己が利益を得るためなら他人を裏切ることなど何とも思わないというヤクザも驚くような不誠実さ。こんな企業が原発という危険なものを動かして良いのか。
大嘘つきの関電、これに完全に絡め取られた経産省、そして安倍内閣を超える原発ゴリ押しの岸田内閣。古賀茂明さんは、これを「亡国トリオ」と呼ぶ。
=====添付資料=====
原発週報2023. 8.16-8.22 編集:漆原牧久
テントニュース272号
=========デモ、集会==========
・9月1日(金) 経産省正門前(テントひろば)抗議行動
17時~18時 経産省前テントひろば
・9月6日(水)東電は原発事故の責任を取れ「第120回東電合同抗議」
時間18時45分~19時45分 東電本店前 たんぽぽ舎他
・9月11日(月)14時~15時
**放射能汚染水(処理水)放流中止日韓市民徒歩行進**
**~東京行動:新橋駅西口SL広場~2.2km~国会議事堂**
**李元栄(イ・ウォニョン)さんと共に歩こう**
**汚染水海洋投棄開始への怒りを東電と国会に**
**協力:経産省前テントひろば*
・9月11日(月)15時半~18時半
**9.11「経産省前テントひろば」12周年大集会
**~海を汚すな!核ゴミ増やすな!脱原発を!~
**経済産業省本館前
**(第1部)放射能汚染水海洋投棄を中止せよ
**李元栄さん、黒田節子さん、吉沢正巳さん
**(第2部)テントひろばはかく闘う
**河合弘之さん、鎌田慧さん、国会議員ほか
**座り込み者から
**その他
**(音楽)日音協ほか
・汚染水放出開始後の諸行動
(1) 浪江では9月1日(土)・2日(日)に現地行動がある。13時30分 浪江駅集合。
(2)テントでは9.11集会の準備をしている。(目玉は韓国の行進との合流及び韓国の行動に呼応した福島からのキャラバンと合流)、これを一部にした集会、2部はテントの集会。
(3)福島の黒田さんたち9月11日にあわせてだが、韓国の人たちの行進に呼応する形で、福島から東京への行進(キャラバン)をする。9月6日から11日。福島から東京まで5日の宿泊を含めての行動。チラシ点府。
(4)浪江では9月17日(日)・9月18日(祝)に現地行動あり。詳細は次号。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5100:230828〕
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