ジャニーズ、ジャニーズと、手さぐりで奮闘してみると~なぜ、メディアは沈黙していたのか
- 2023年 9月 6日
- 評論・紹介・意見
- ジャニーズ内野光子
8月29日、ジャニーズ問題で、ジャニーズ事務所が依頼した「外部専門家による再発防止特別チーム」の調査報告書が公表され、記者会見が開かれた。当日のニュースや翌日の新聞報道に接して、ジャニー喜多川の<性加害>の実態とメディアとの関係で、どこか歯切れの悪さが印象に残った。それではと、私の悪いクセ?全国紙とテレビ各局の社説とコメントを読み比べてみようと思った。
調査書に、マスメデイアはどう対応したのか
その前提として、特別チームの2頁の調査書(概要)と70頁(公表版)を通読した。後者のヒヤリングの記述などは、生々しく嫌悪感から読み通せるものではなかった。しかし、被害者たちが悲痛な思いで語った事実は事実として尊重されなければならないはずである。
・調査報告書(概要版 pdf (saihatsuboushi.com)
その上で、全国紙の社説とテレビ各局のコメントを以下のような表にした。横長になったので、本文には掲載できないが、以下のpdfで見て欲しい。
ジャニーズ問題調査書を受けてマスメディアの対応一覧
ダウンロード – e382b8e383a3e3838be383bce382bae5958fe9a18ce8aabfe69fbbe69bb8e38292e58f97e38191e381a6e3839ee382b9e383a1e38387e382a4e382a2e381aee5afbee5bf9ce5a794e4b880e8a6a7.pdf
まず、言えることは、同じ調査書を受けての対応が、新聞社とテレビ局では異なっている。調査書で指摘された長期間の「マスコミの沈黙」に対して、社説においても、朝日は「朝日新聞を含むメディアは」日経は「われわれメディアも」という主語で、反省、自省しており、毎日は、主語がはっきりしないまま、「芸能スキャンダルと軽視して人権問題と捉えるる視点を欠いた」とする。一方、読売は、見出しでもわかるように、もっぱらテレビ局の問題として「テレビ局、芸能界の性加害、セクハラ認識が浸透していなかった」とし、字面の上でも反省の弁はない。
テレビ局のコメントは、東洋経済のオンライン記事、木村 隆志「ジャニーズ問題、テレビ6局声明への違和感の正体 どういう構造でこうなったか解き明かされるか」(2023年8月31日)が指摘するように、総じて反省の色はいっこうに見えない、横並びのコメントであった。<性加害>の重大性と、調査書の指摘は「重く受け止め」はするが、今後の自らの局の対応については、ジャニーズ事務所に対して、被害者の救済と再発防止を求めるとする、他人事のようなコメントだったのである。その最たる局はNHKのコメントであっで、8月29日の記者会見当日の「ニュース7」の報道には、驚くほかなかった。NHKとジャニーズ事務所との関係は、紅白歌合戦の出演歌手をめぐって取りざたされていたので、コメントも注視していたのだが、ニュース報道と同旨で、「人権、人格を尊重する放送を行うこと」という「行動方針」に従ってきたので、「今後もその姿勢にいささかの変更もありません」と言い切ったのである。
これほどまでに、ジャニーズに占拠されていた
以下は、「ザ・テレビジョン」のデータによるが、ジャニーズタレントが出演する直近1週間のテレビ番組を示すカレンダーである。https://thetv.jp/program/selection/253/
その対象は、地上波からBSまで、TOKIO、KinKi Kids、KAT-TUN、NEWS、関ジャニ∞、Hey!Say!JUMP、Kis-My-Ft2、Sexy Zone、A.B.C-Z、ジャニーズWEST、King & Prince、SixTONES、Snow Man、Travis Japan、HiHi Jets、美 少年、なにわ男子ら、ジャニーズ事務所所属タレントたちのレギュラー&ゲスト出演番組を一挙に紹介する。テレビ局の対象は、NHK #日本テレビ #テレビ朝日 #TBS #テレビ東京 #フジテレビ #TOKYO MX #NHK BSプレミアムとなっている。
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上の表は、私が調べたのは、9月3日(日)の日付が変わる時だったから、9月4日(月)~10日(日)のデータになると思う。そして、9月3日(日)朝刊テレビ欄で、このカレンダーを参考に、NHKをチェックしてみて、また驚いた。
再放送を含めて、まず【総合】テレビ体感再び・首都圏直下地震(井ノ原快彦)/サンドどっちマンツアーズ(浜田崇裕)/どうする家康(松本潤)/サンデースポーツ(相葉雅紀)/【BSプレミアム】世界自然遺産・知床(相葉雅紀)/The Covers(堂本光一)
日曜日のNHKだけでも、こんなことになっているが分かった。1週間全局も調べたらどんなことになるのか、いまの私には、その余力はないが、関心のある方は調べて欲しい。やはりどうしても気になるので、9月3日(日)に限って、新聞のテレビ欄と照合しながら、調べてみると以下のようになったのである。きれいな表にはならなかったが、参考までに、局別に束ね、出演タレントの名前も調べてみたが、不備があるかも知れない。
各局の番組の詳細をみると、冠番組を持つタレントやグループも多い。報道番組にも、キャスターやコメンテイターとして出演しているのも分かる。私など、このタレントもジャニーズだったとわかって愕然!とすることもあった。
だから、テレビ局のコメントの、一種の「開き直り」にも近い、そして、もはや「開き直るしかない」状況がわかった。
なお、新聞はじめ活字の分野でも、新聞・雑誌のコラム連載執筆、インタビュー記事、グラビア、表紙への登場までも調べることができる。新聞社だって、そう威張れることではないのである。さらに、CMの世界での活躍も見落としてはならないだろう。
こうして、かつては、ジャニー喜多川、今では事務所のスタッフたちを「最高実力者」とかその「権力」とか称して甘んじ、メディアがここまで「表現の自由」を奪れていることに気づきながら、流していた情報とは何であったのだろう。
「たかがジャニーズ、されどジャニーズ」どころではない。国家による、政府による情報操作が本格的に始まっていても、メディアが気づかないふり、見て見ぬふりをするならば、かつての戦時下の情報統制などとは比べ物にならないほど、重大深刻な局面に立たされるのは国民ではないか。私たち国民も、「あやしい」と気づいたら、探求する根気、発信する勇気、地域、メディアや行政、政党への積極的なプッシュ・・・、どのようして真実に迫るべきかは、非常時ならず、常時心掛けなければならない。
そういえば、2018年、「山口達也容疑者」というべきところを、「山口達也メンバー」なる奇怪なる呼び方を連呼していたメディア、その時も、私は、NHKなどに抗議した経緯を記事にしていました。たしか読売新聞だけが「山口達也容疑者」と報道していました。事件は、NHKの「Rの法則」なる番組に出演した女子高校生への強制わいせつの容疑で書類送検されたというものだった。詳しくは以下をご覧ください。まだ、ジャニー喜多川が亡くなったのは2019年なので、まだ存命中のことであった。
「山口メンバー」の「メンバー」ってなに?(2018年5月1日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2018/05/nhk-1d88.html
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なお、余談ながら、
常々気になっていた紅白歌合戦への、ジャニーズタレントの登場ぶりだが、以下のサイトで知ることができる。1965年の1組から始まって、1974年に2組となり、2008年までは2・3組が続いたが、2009年には4組となり以降、5・6組となり、現在に至っている。出場回数の多いタレントやグループも分かる。
ジャニーズ百科事典「NHK紅白歌合戦」
https://jjpedia.web.fc2.com/kouhaku.html
オタクしか勝たん!
https://blackdaysfilm.com/johnnys-kouhaku-past-contestants/
初出:「内野光子のブログ」2023.9.5より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/09/post-689e06.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion13216:230906〕
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