本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(430)
- 2023年 10月 7日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
BRICS新通貨の実現可能性
現在、海外の金融市場では、「BRICS諸国による、金(ゴールド)を裏付けとした新通貨の実現可能性」が、さかんに議論されているが、ほとんどの意見は、「貨幣の歴史」を無視した「暴論」とも言える内容のようにも感じている。つまり、過去の歴史を吟味すると、「新たな通貨制度の出現」は、常に、「それまでの通貨制度の崩壊」、すなわち、「既存の貨幣が価値を失う展開」を伴うことが理解できるのである。
別の言葉では、現在の「1971年から始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度」に関して、「金融システムに存在する大量のデジタル通貨が価値を失う状況」のことであり、このことが、私の想定する「約600兆ドルのOTCデリバティブ]と「約330兆ドルの世界債務残高」という「目に見えない金融ツインタワーが崩壊する事態」のことである。つまり、大量の「紙幣」、あるいは、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」が発行され、その結果として、「実物資産」の価格が急騰する展開のことである。
より具体的には、「生活に必要な物資」に対して、「世界中の人々から、大量の需要が、急激に発生する状況」であり、実際には、「1991年のソ連」や「1980年代の中南米」のようなハイパーインフレが、世界全体で発生する事態である。そして、この原因としては、過去20年に大膨張した「デリバティブ」が、大量の「デジタル通貨」のみならず、「返済不能な世界の債務残高」を作り上げた点が指摘できるものと考えている。
そのために、数多くの政府や中央銀行は、今までに、大量の「金」や「銀」を買い集めてきた状況でもあったが、今後、想定される展開としては、最初に、「神様となったデジタル通貨が、単なる紙切れに移行する事態」、すなわち、「ハイパーインフレ」と言われるものが発生する状況でもあるが、実際のところ、「1923年のドイツでは、約6ヶ月間で、紙幣の価値が無価値になった」という状況だったことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、「ケインズ」が指摘するように、「100万人に一人も気付ないうちに発生するインフレ(通貨価値の下落)」は、「ランナウェイ・インフレ(手に負えず、制御できないインフレ)」という言葉のとおりに、「あっという間に逃げ去っていくような展開」となることも想定されるのである。つまり、「目に見えない金融ツインタワーの崩壊」により、世界経済が、きわめて深刻な「信用消滅」、あるいは、「マネーの消滅」に見舞われる結果として、大量の「紙幣」や「デジタル通貨」が発行され、その結果として、「80億人の人々が、慌てて、換物運動に走り始める可能性」のことである。(2023.9.6)
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100年前のイギリス国債
現在の「世界の金融市場における最大の関心事」は、以前の「中国の不動産市場」や「世界の実体経済」の動向から、「日本を初めとした先進各国の金利と国債価格」へと移行中の状況とも思われるが、この点に関して、大きな参考となるのが「100年前のイギリス国債」だと考えている。つまり、19世紀末から20世紀の初頭にピークを付けた「大英帝国」において、「イギリス国債(コンソル債)が、約30年の期間、上昇を続け、金利の低下が見られたものの、その後、1923年に発生したドイツのハイパーインフレで、大きく価値を失った」という展開のことである。
そして、この事実に関して、ケインズは、その著書で、「30年間も同じ動きが継続すると、人々は、その動きが永遠に続くと錯覚しがちになる」と述べているが、結局は、「どのようなバブルも必ず弾ける運命にある」という言葉通りの展開だったことも見て取れるのである。別の言葉では、今回の「先進各国における史上最大規模の国債とデリバティブのバブル」も、結局は、同じ運命をたどるものと考えているが、「40年以上の長きにわたり、実践の相場で、この展開を見続けてきた私自身」としては、「ケインズの言葉を学んでいなかったら、私自身も、同様の過ちに陥っていたのではないか?」とも感じられるのである。
より具体的には、「1977年」から金融業に従事してきたために、私自身は、「1980年の金(ゴールド)のバブル」のみならず、「1980年代の初頭から始まったデリバティブのバブル」、そして、その後の「数多くのバブル」を、実際に経験でき、数多くの教訓を得られたものと思われるのである。そして、現時点で、最も必要とされるものが、「マネーの歴史」を深く理解することであり、この点が抜け落ちていると、今後、「多くの人々が、致命的な損失を被る可能性が存在する状況」のようにも感じられるのである。
あるいは、「村山節の文明法則史学」の理解も求められているものと考えているが、幸いなことに、私自身は、既存の経済理論に捉われることなく、「相場は常に正しい」という言葉を信じながら、「神様が、どのような事実を見せてくれるのか?」という点に集中することができたものと思われるのである。そのために、今後の相場についても、同様の方法で対処していきたいと考えているが、この時に陥りやすい過ちとしては、やはり、シュペングラーが指摘するとおりに、「成ったこと」である「神の意志」が理解できずに、「成ること」である「人間の知恵」に頼ることである。つまり、「希望的観測」に基づいた「投資の実践」のことでもあるが、結局のところ、最後にたどり着くのは、「大自然の摂理」の理解であり、また、「社会科学の未熟さ」の認識だと考えている。(2023.9.7)
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隠蔽され続けた不都合な真実
今回の「ジャニーズの問題」については、「隠蔽され続けた真実が暴露されたときに、どのようなことが起こるのか?」を如実に表している現象であるとともに、現時点で、我々が必要なことは、「その他に、どのような真実が隠蔽され続けているのか?」を考えることともいえるようである。別の言葉では、「権力者に忖度しがちなマスコミの報道よりも、ユーチューブなどによる報道が、今後、より重要な役割を持つ可能性」を考慮することでもあるが、想定される具体的な問題としては、「世界的に増え続ける国家の借金が、今後、どのような結末を迎えるのか?」が指摘できるものと考えている。
より具体的に申し上げると、現在の経済報道に関しては、「お釈迦さまの言葉」のとおりに、「目の見えない人々が象の身体を触りながら、勝手な意見を述べている状況」、すなわち、「ある人は胴体を触りながら、『象というのは壁のようなものだ』と述べ、また、別の人は足を触りながら、『象の身体は柱のようなものだ』などと述べている状況」のようにも思われるのである。つまり、全体像が見えないために、個々人が、勝手な意見を述べ合いながら、論争を繰り返している状況ともいえるが、このような状態については、冒頭の「ジャニーズ問題」と同様に、「当事者が事実を認めず、また、ファンの人々が応援し続ける限り、既得権を持つ人々にとって都合の良い状態」だったものと考えられるのである。
そして、現在の「国家の債務問題」についても、「どれだけ国家の借金が増え続けようとも、国家や中央銀行の資金繰りに問題が発生しない限り、ほとんどの国民が、問題の存在に気付かない状況」となっているのである。つまり、「外部からの指摘」や「円安、あるいは、金利高騰などの問題」が発生しない限り、「借金の残高が増え続けている状態」だったことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、「1980年代初頭から、約40年間にわたり、世界的な金利低下が継続した状況」だったわけだが、この理由としては、「デリバティブの膨張に伴い、金利やインフレ率が人為的に押し下げられた状態」だった点も指摘できるのである。別の言葉では、「ビーチボールが力任せに海中に押し込められた状態」だったものの、現在では、水面上に飛び上がり始めた段階となっており、そのために、今後は、「国家の借金に関する不都合な真実が暴露されることにより、世界中の人々が騒ぎ始めるとともに、自己防衛に走り出す展開」も想定されるのである。つまり、「劇場の火事」に例えられる「ボトルネック・インフレ」の発生であり、実際には、「デジタル通貨を、慌てて、実物資産へ移行させようとする動き」のことである。(2023.9.11)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion13284:231007〕
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