SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】550 元モサド長官も誉めたハマス軍事作戦に100倍返し
- 2023年 10月 14日
- 時代をみる
- イスラエルパレスチナ平田伊都子西サハラ
「残念ながら作戦としては大成功。良く調整されていた」と、エフライム・ハレビ元モサド(イスラエル情報特務庁)が、2023年10月7日にCNNインタヴューで、ハマスの軍事作戦<アル・アクサ大洪水>を称賛しました。
「ハマスが発射したミサイルは24時間以内に3000発を超えた、、これはわれわれからみた想像を超えている。ハマスがこれほど大量のミサイルを持っているとは知らなかった」と、語り、「ミサイルは海上ルートで密輸入され、ガザ地区内で製造された」と、推測し、「何が起きていたのか、われわれは全く気付いていなかった」と、明かしました。
が、、、イスラエルの凄惨な100倍返しに火をつけてしまいました。
イスラエル軍のガザ虐殺戦争を停戦させる策は見つかったか?、
模索するカイロのアラブ連盟本部
① <アル・アクサ大洪水>VSイスラエル虐殺戦争:
「アル・カッサム旅団による<アル・アクサ大洪水>作戦は、イスラエルがイスラム教のアル・アクサ・モスクで繰り返し<レッドライン>を超えたことへの報復だ」と、ハマスのアブドゥル・ラティフ・アル・カヌ報道官が表明した。<ハマス>とは、ガザを実効支配するパレスチナ人の政治組織で<アル・カッサム>はハマスの軍事組織だ。対パレスチナ強硬派のネタニヤフ政権は、度々、パレスチナ人の礼拝者を襲っていた。
2023年10月7日午前6時30分、パレスチナのガザを実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエル南部に向けてロケット弾攻撃を開始した。アル・アクサ大洪水作戦は、小型ボートとピックアップで、陸海からイスラエル領土内に侵入。イスラエル国防軍は、ガザへの空爆を開始し。3日間で双方合わせて3.000人以上が死亡、イスラエルの掃討作戦で犠牲者は増える一方だ。 ハマスはイスラエル人捕虜約100人とパレスチナ人政治囚約5,000人と交換すると発表した。
「わたしゃ、知ってるよ!イスラエルの倍返しが10倍も20倍も凄いことを!!」砲弾の中を逃げまどいながら、パレスチナのおっかさんが叫んだ。
10月7日、ラマラに拠点を置くパレスチナ暫定政府大統領アッバスが、米国務長官ブリンケンにガザ戦争の鎮静化を、電話で要請した。
同日、バイデン米大統領はイスラエル首相ネタニヤフに全面支援を、電話で約束した。
ますます強気になったネタニヤフは、「戦争だ!勝つまでやる!!」と、叫んだ。好戦的なネタニヤフは、1973年10月6日の第4次中東戦争で大尉として、シリア領内に部隊を率いて侵入している。彼にとっても、2023年は第4次中東戦争50周年、節目の年なのだ。
バイデン発言に、ウクライナ大統領ゼレンスキー閣下は10月9日のNATO関連会合にオンラインで、「ハマスとロシアは同じ悪」と<忘れないでメッセージ>を送り、最新兵器と金をせびった。。英国、ドイツ、イタリアが尾っぽを振ってバイデンに追従した。
日本は、10月10日に岸田総理が、「双方の自制を促す」と、日本の立場を表明したが、10月13日には松野官房長官がハマスをテロリストと呼び、欧米にすり寄った。
バイデン米政権は、渡りに船と、ウクライナ戦争からこの新しいガザ戦争に乗り移った。
② 「私たちは75年前に故郷を追われ、ガサ難民キャンプに逃げてきた」とファッタ一家:
赤ん坊だったファッタ爺さんは、1947年にユダヤ人テロリスト集団<ハガナー>から「戦闘が始まるから身の安全のため避難しろ」と、ビラなどで通報され、故郷アシュケロンを離れガザに逃げ込んだ。翌年の1948年、ユダヤ人はイスラエル建国を宣言し、アシュケロンはイスラエルに併合された。それ以来、僅か12キロメートルしか離れていない故郷は、ファッタさんにとって遠い天国になってしまった。ファッタさんは故郷の家の鍵を家族に託して。本物の天国に避難した。
子も孫もひ孫も、ファッタさん一家はイスラエルのエレツ検問所から一番近いジャバリヤ・パレスチナ難民キャンプに住んでいる。子供たちはみんな、難民キャンプ内にあるUNRWA(アンルワ国連パレスチナ難民救済事業機関)の学校で学んできた。これまでもイスラエルの空爆があるとパレスチナ難民は学校に避難してきた。
ハマスが生まれたのは、1987年に始まったインティファーダ(住民蜂起)の時だ。そのインテイファーダはジャバリヤ難民キャンプで勃発した。1987年12月8日、ジャバリヤキャンプの入り口にガザのオレンジを満載した黄色いイスラエル・ナンバープレートのトレーラーが近づいてきた。対向車線を白いガザ・ナンバープレートを付けた2台の乗用車が走ってきた。ところがイスラエル・トレーラーはスピードを緩めず対向車線に突っ込み2台の乗用車をなぎ倒した。乗っていたパレスチナ人のうち4人が即死し6人が重傷を負った。イスラエル軍は単なる交通事故で処理しようとしたが、怒ったパレスチナ住民は、イスラエル軍の戦車や機関銃に向かって石で歯向かう<抵抗運動>を始めた。「アナ―。ヒジャーラ(アラビア語で私は小石)!」と叫ぶ子供たちの声が、ガザからヨルダン川西岸占領地、そしてリビアにまで響き渡った。
当時のPLO(パレスチナ解放機構)はチュニジアに追いやられ、アラファト率いる執行部を首都チュニスに置いていた。ガザ出身でアラファトの右腕アブ・ジハードが、極秘で占領地のインテイファーダを指揮していた。そして、1988年4月16日午前1時過ぎ、フロッグマン部隊も動員し海から侵入した<モーゼの密使たち>と自称するモサド暗殺部隊が、アブ・ジハードをハチの巣にした。「75発も打ち込んだのよ!」と、ガザでアラファトを訪ねた時、健康大臣の要職に就いていた未亡人のウンム・ジハードが語ってくれた。
その後、ハマスはオスロ和平合意に反発して、アラファト一派と袂を分かつことになる。
③ イスラエルのガザ住民大虐殺は戦争犯罪:
イスラエルの恐ろしい地獄の100倍返しが始まった。
バイデン米大統領の100%支持を受けて、ネタニヤフは、30万の予備役兵士を動員した。
「兵糧攻めだ!食料もガスも電気も止める!我々は動物と戦っているんだ」と、10月9日、ヨアヴ・ガラント国防大臣が叫んだ、「水を止めろ!」と、インフラ大臣も叫んだ。そして、イスラエルはガザのガス・水道・電気・支援食料を止め、ガザを包囲し空から陸から猛爆を続けた。ガザは面積が新宿区の6割で、その狭い中に殆どが支援物資に頼って生きている230万の人々がひしめいている。
10月11日の国連定例記者会見で、「国連事務総長は事態鎮静のため誰に電話をしたのか?」という質問に、「イスラエル大統領、ヨルダン国王、パレスチナ大統領、エジプト大統領、レバノン首相、カタール首相兼外務大臣、トルコ大統領、イラン外務大臣などと話した。ネタニヤフ首相との電話は保留中」と、国連事務総長報道官は答えた。「なぜ、戦争当事者であるハマスと話さないのだ?」という、誰もが持つ擬問に「彼(事務総長)が必要だと思う人物に、声をかけている」と、答えた。
「ハマスはテロリストだと、事務総長は言ったが、確かだね?」との念押しに、「彼が使った言葉だ」と、主席報道官は答えた。「ガザ市民を掃討作戦の名の下に大虐殺するのは、戦争犯罪ではないのか?」という質問に、「そうだ」と、副報道官が認めた
「9日、欧州連合委員会がパレスチナ人への全ての援助を凍結と発表したが、UNRWAも含まれているのか?」との質問に、「そうあって欲しくないが、、」と、即答を避けた
10月13日、イスラエル軍は「ガザ市民は、自らと家族の安全のため南へ避難し、あなた達を人間の盾として利用しているテロリスト・ハマスから離れろ」と最後通牒を発した。
国連は、「パレスチナ自治区ガザの住民約110万人が24時間以内に地区南部に避難すべきとする通告をイスラエル軍から12日夜に受け取った」と、明らかにした。さらに、 国連のステファン・デュジャリック報道官は声明で、「イスラエル軍による命令は、ガザの半数に上るパレスチナ住民だけでなく、全ての国連職員、学校、保健センター、診療所などの国連施設に避難する人々にも適用される」と発表した。そして、「国連は、こうした対応が人道上壊滅的な影響を及ぼさずに行われることは不可能だと考える」と、通告の撤回を求めた。
あの、高名なイスラエル・スパイ組織のモサドが、本当にハマスの軍事攻撃を知らなかったでしょうか?
10月8日のワシントンポスト紙のコラムニスト・デヴィッド・イグナテイウスが、「ハマスの攻撃をイスラエルは知っていた」と発表し、10月9日の<Times of Israel >は、エジプトは攻撃以前に何度もイスラエルに警告していた」と報道し、10月11日に米下院外交委員会に属する共和党のマイケル・マッコールが、「ネタニヤフはハマスの軍事行動を知らされていた」と、暴露しました。
情報合戦がどうあれ、ガザ市民の大虐殺は止めてください!
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年10月14日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye5128:231014〕
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