報道機関がChatGPTをシャットアウト
- 2023年 10月 26日
- 評論・紹介・意見
- 藤澤豊
Yahooニュースが八月二十九日付けでCNN Reliable Sourcesの記事「Closed to OpenAI」を配信してきた。
https://mail.yahoo.co.jp/u/pc/f/message/AIg6QGQAABfTZO055Qn2yGZi-1E
Yahooのメール配信だから、削除されている可能性がある。直接下記を参照した方が手っ取り早い。
CNN Reliable Sourceの記事は下記の通り。
「Disney, The New York Times and CNN are among a dozen major media companies blocking access to ChatGPT as they wage a cold war on A.I.」
https://edition.cnn.com/2023/08/28/media/media-companies-blocking-chatgpt-reliable-sources/index.html
Yahooニュースが伝えてきた記事の主要個所を機械翻訳すると下記になる。
「報道機関はOpenAIと冷戦状態にある」
「国内最大のニュースルームのいくつかは、すでに苦境に立たされているニュース業界への潜在的な侵略者とみなされている画期的な人工知能チャットボット、ChatGPTから自分たちのコンテンツを守るために積極的に防御策をとっている」
「多数の主要なニュースルームが最近、OpenAIのウェブクローラーであるGPTBotが自社のプラットフォームでコンテンツをスキャンするのをブロックするコードをウェブサイトに注入した。ガーディアンのアリエル・ボーグル記者は先週、CNN、ニューヨーク・タイムズ、ロイターがGPTBotをブロックしたと報じた。しかし、Reliable Sourcesの調査によると、Disney、Bloomberg、The Washington Post、The Atlantic、Axios、Insider、ABC News、ESPN、Gothamistなど、ニュースやメディアの大手数社もこの措置を静かにとっている。コンデナスト、ハースト、ヴォックス・メディアといった出版社もまた、この防衛策をとっている」
「これらの報道機関の深いアーカイブと知的財産権は、ユーザーに正確な情報を提供するためのChatGPTのようなA.I.モデルを訓練する上で非常に貴重であり、間違いなく極めて重要である。ある報道機関の幹部は、会社を代表して公に話す権限がないため匿名を要求したが、月曜日に私にこう言った:「インターネットの大半はゴミだ。一方、伝統的なメディアは事実を重視し、質の高いコンテンツを提供する」
「NYTもOpenAIを提訴するかどうかを検討していると報じられている。一方、AP通信は別の道を歩み、A.I.開発者と独自のライセンス契約を結んだ」
何が起きようとしているのか、状況をざっと整理すると下記になる。
AIチャットボットは、知的財産の侵害、著作権の侵害になるとして、アメリカの大手報道機関がAIチャットボット(ChatGPT)からのアクセスを遮断し始めた。
AIチャットボットが報道機関の情報や業界組織や学会の資料にアクセスできないと、AIチャットボットの進化が難しくなる。極端な場合、AIチャットボットは、我田引水のプロパガンダや詐欺もどきの広告宣伝を拾って整理した情報からしかサマリーを生成できないことになる。
AIチャットボットがあれこれ参照してサマリーを提示してくれれば、ユーザーとしては手作業でサマリーをつくる手間を省けるからありがたい。ただ提示してきたものが報道機関の知的財産権を犯すことによって作られたものかもしれないとなると、AIチャットボットが生成したものをどう使うかは利用者の責任でとは言ってられない。
2023/9/2 初稿
2023/10/24 改版
Private homepage “My commonsense” (http://mycommonsense.ninja-web.net/)にアップした拙稿に加筆、編集
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion13336:231026〕
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