くらしを見つめる会つーしん NO.234から
- 2024年 11月 26日
- 交流の広場
- 村山起久子
原発延命の為に、総括原価方式復活の動き
経済産業省は原発の新増設を進めるために、イギリスの原発支援策「RABモデル」を参考にして、さらにひどい総括原価方式を導入しようとしている事が報道されています。
これは、原発の建設が始まった時点で、建設費や維持費を電気会社が負担し、電気料金に上乗せして回収するという、過去の制度よりもさらに悪質なものです。
原発依存度低減を掲げてきた日本政府ですが、新たな第7次エネルギー基本計画の策定で、原発の立替えや新増設に舵を切ろうとしているようです。
福島原発事故後、安全対策費や維持費が膨らみ、原発は他の電源と比較して発電コストが最も高く、さらに高騰する可能性が予想されます。
今でも、原発の建設や運転には多額の公的資金(私たちの税金)が投入されています。立地対策や核のゴミ関係の巨額な税金を思い出してください。
それなのに、発電事業者や投資家は、さらなる確実な利益を政府に求めているのです。
巨額な建設コストを含む原発のコストを、稼働して発電する前から電気料金に上乗せして、消費者、国民負担にする新たな制度が導入されれば、電気代は徐々に上がっていくことは確実です。
政府は原発推進の理由として、温暖化対策やエネルギー安全保障を挙げていますが、原発建設と稼働でエネルギーを使いまくり、温排水で海を温め、ウラン石炭石油を輸入し、何をか言わんや!です。
こっそり閣議決定をさせないために、情報を拡げてください。署名も始まっています。
(西澤雅子)
上記についてのオンライン署名を紹介します。
:巨額の原発新増設コストを国民からこっそり徴収する新たな制度 #RABモデル の導入をやめてください | 原子力資料情報室(CNIC)
――中略――
♬こんな本いかが?①
日本の精神科医療を問う ルポ・収容所列島
風間直樹 井艸恵美 辻麻梨子著 東洋経済新報社
世界の5分の1を占める日本の精神病床。世界でも例をみない長期入院。特に問題なのは「医療保護入院」。本人の同意が無くても家族一人の同意と精神保健指定医の診断があれば強制入院させられるというもので、入院中、外部との関係を一切断たれ自由を奪われる拘留状態が無期限に続く。DV被害者がDV夫によって長期入院させられた例など、恣意的に悪用されるケースも少なくない。手足肩を固定する身体拘束も2019年時点で年1万件以上報告され、死者も複数出ている。また、自殺を図った患者の5~6割は精神科による薬剤(向精神薬)の過剰投与によるという。本人や家族への薬剤の副作用についての情報提供は少なく、過剰投薬は児童養護施設や学校、保育園で発達障害の診断を促された子どもたちにも広がり薬剤依存による弊害も増えている。死者が出るほどの虐待が複数起きた病院も、問題がうやむやなまま経営が続けられているのは福祉・医療行政の貧困など人権軽視の国の政策の不備ゆえだろう。やっかいな精神病や認知症の人を社会から隔離して(儲けを優先する)精神病院に押し込める密室での人権侵害は人権・人命軽視の社会の縮図に他ならない。社会的に広く問題を伝え、精神病院の情報公開と公的財政支出による患者の受け入れ先確保、精神保健福祉法改定等、一刻も早く改善しなければと思う。
♬こんな本いかが?②
「コモンの『自治』論」 斎藤幸平+松本卓也編 集英社コモン
・白井聡・・・・大学における自治の危機
・村松圭一郎・・資本主義で自治は可能か?
・岸本聡子・・・<コモン>と<ケア>のミュニシパリズムへ
・木村あや・・・武器としての市民科学を
・松本卓也・・・精神医療とその周辺から自治を考える
・藤原辰史・・・食と農から始まる「自治」
・斎藤幸平・・・「自治」の力を耕す<コモン>の現場
新自由主義・資本主義によって環境破壊、格差拡大が止まらない今、「国」という大きな単位でなく身近な「自治体」を変えていこう。強いリーダーを求めるのでなく、市民が主体性をもって自治をする。コモン(みんなのもの)を他者と協働しながら管理しシェアする(地域や学校、近くのお店や農とつながる消費者、様々なところで自律的につながりをもって)。
政治ありきでなく市民が、弱い立場の人、意見の異なる他者を思い自己制限しながら<コモン>の再生に関与していく。「自治の実践こそが資本主義の暴走から民主主義を守る」「コモンの自治」こそが「希望なき時代の希望」という斎藤幸平さん。要になるのは「自律した市民」。
〈編集後記〉
2024年世界報道自由度ランキングで日本は70位。夕方、家事をしながらTVで報道番組を見ていると、どのチャンネルに変えても延々と同じニュースが繰り返されます。辛口のコメンテーターは少なく(干され)芸能人や元スポーツ選手、元維新の橋下徹さんや松井一郎さん、元自民党国会議員ら(政治的偏向!)が重宝されています。政府への批判は偏向報道のように言われ、「中立」が強調されるあまり選挙報道は事前の討論番組も無く、政策チェックもしないで結果だけ大騒ぎで報じます。そもそも報道は権力の監視こそ使命。圧倒的力を持ち、日常的に情報発信している権力の言い分より批判報道を多くしてこそ、と故筑紫哲也さんがよく言われていました。次の選挙の報道ぶりはいかに?流されずしっかりチェックしたいです。 (きくこ)
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